"大晦日、義実家の60億円計画を知った" 第5話
『完しました。これで、都信託にする黒川アセットの資、約億円の全額が、の午をもって菱UFJの本座へと斉に着します。……都信託の残は、当座の諸経費用の数万円を残して、完全にゼロになります。吉実エステートが担保に取ろうとしていた預は、跡形もなく消滅しました』
堵の息が、喉の奥から漏れた。 だが、さんの声は、まだく張っていた。
『しかし……社。つだけ、極めて穏な点がございます』
「穏な点……?」
さんは、元のモニターの奥にある「ある記録」を見つめながら、戦慄を押し殺すように言葉を継いだ。
『幸様が本、窓へ事相談を持ちかけてきた際、持参すると予告していた類のリストのに……黒川アセットの実印や印鑑証だけでなく、もうつ、絶対にしてはならない類の名が含まれていたのです』
私の臓が、ドクンとたくねがった。
『幸様は、こう言ったそうです。「義父である黒川茂会の、自署捺印入りの【債務保証承諾】と【印鑑証】もけに揃う」と』
「な……んですって!?」
助席の父が、わずを乗りした。 「馬鹿な! 俺がそんな類に判を押すはずがないだろうが!」
『ええ、ですから偽造です。ですが、問題はそこではありません』 さんの声が、氷点のたさを帯びて私の朶を打った。
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『幸様が持ちそうとしていたその会の印鑑証の発……それは、今朝の付ではありませんでした。……か、に、区役所で正規に発された本物の印鑑証の番号が控えられていたのです。……社。吉実は、今夜いついていたのではありません。なくとも数かから、黒川の資産を根こそぎ奪するための【別の罠】を、面で周到に張り巡らせていた疑いがあります』
「か……!?」
内に、凍りつくような沈黙が落ちた。 。その付を聞いた瞬、私の脳裏に、あるの景が鮮烈に蘇った。
の初め、幸が珍しく級な産を持って私の実を訪れ、「親父の会社がしく設する般社団法の役員に、ぜひお義父さんの名をお借りしたい。名を連ねていただくだけでいいんです」と、父にをげていたあのだ。 父は「引退しただから」と頑なに断ったはずだった。だが、あの、幸は実の斎で、父が席をした数分にで部に残されていた。
「あいつ……あの、親父の斎の庫の鍵を盗み見して、印鑑カードを勝に持ちして区役所へったのか……!?」 父の茂が、絞りすように唸った。ハンドルを握る拳が、くなるほど震えている。
『それだけではありません』 さんの報告は、さらに淵のへと踏み込んでいった。
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『吉実エステートのメインバンクである興方の審査部に、私の同期がおります。内々に探りを入れたところ……吉実側が提している追加融資の申請額は、億円などという易しい額ではありませんでした』
「……いくらなの?」
『総額、億円です』
息が止まりそうになった。億。
『吉実エステートが掛けている郊の複リゾート発は、すでに盤沈と汚染が発覚し、ゼネコンへの事代の未払いが累積して、完全な破綻状態にあります。放置すればけ々に形が渡りになり、倒産する運命でした。……彼らは、その破滅な焦げ付き億円を、黒川アセットの預を担保に差し入れることで丸ごと肩代わりさせ、黒川もろとも共倒れにさせる計画だったのです』
「……最初から、会社を救う気なんてなかったのね」 私の唇から、乾いた笑いが漏れた。
救済ではない。延命ですらない。 沈みゆく舟に、がの億円を無理やり縛り付け、自分たちだけが保険や役員報酬を掠め取ってびするための、計画な贄。 、する夫として私の隣で眠っていた男は、私の実を丸ごとい殺すための毒蜘蛛だったのだ。
『社、今夜のうちに預の退避指図を完させたのは、まさに危髪、神のファインプレーでした。
……ですが、相はすでに億円の融資契約に、偽造した黒川会の印鑑証を添付してへ提しています。
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