"大晦日、義実家の60億円計画を知った" 第10話
負債総額は、グループ全体で約億円。代表の正雄氏、ならびに専務の幸氏は、巨額の個保証を抱えているため、確実に自己破産です」
彼らは、沈没寸のタイタニック号だったのだ。 その舟に、がの億円を燃料として投げ込み、自分たちだけが救命ボートで逃げそうとしていたのだ。
「川先」 私はちがり、く礼した。 「吉実エステートのメインバンクである興方、ならびに融資団の全融関に対して、黒川アセットからの【正式見解通】を内容証郵便で即刻送付してください」
「文面は、すでに準備してあります」 川先が机のに広げた面。
そこには、誰かをに罵倒する言葉は切なかった。 ただ、企業法務の徹な事実だけが、刃のように並べられていた。
『当社(株式会社黒川アセット)は、吉実エステート株式会社に対し、資支援、債務保証、担保提供等を承諾した事実は過・現において切しない。貴に提された当該計画における当社に関する記載は完全な虚偽であり、万当社資産を提とした融資続がした、当社は貴および吉実エステートに対し、民刑両面において断固たる法措置を講じる』
「先。私の実印を、ここに押してください」 私は鞄から、しく登録し直した黒川アセットの代表印を取りし、朱肉にく押し当てた。
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ジュッ、とに染み込む鮮血のような朱。 それは、の偽りの婚姻に、私ので完全に引導を渡す、反撃の引きだった。
、曜、午。 郵便局の追跡サービス画面に、酷なステータスが表示された。
【引受: 本郵便局】 【配達完: 午分 興方本・融資統括部】
「届いたわね」 実の居で、私はめたコーヒーを見つめながら呟いた。
配達完から、わずか分。 私のスマートフォンが、まるで発狂したかのように激しく振を始めた。 画面に点滅する発信者名――【幸】。
私は呼吸をつし、録音アプリを起させてから、通話ボタンをスワイプした。 に押し当てるまでもなく、受話器のスピーカーから、獄の底から響くような絶叫がび散った。
『ッ……! お、本当に……本当に弁護士を使って、興に内容証を送りつけやがったなァッ!!』
声が、恐怖と絶望で完全に裏返っている。 昨のような尊な傲さは、微も残っていなかった。
『さっき……本から、融資部と審査役が血相を変えてうちの本社に乗り込んできたんだぞ! 「黒川アセットから資支援のなどしないという内容証が届いた。貴社が提した資計画は、な虚偽記載・詐欺未遂に該当する」って……! 追加融資の審査は永久凍結、既の融資億円についても、期限の利益を喪失させて括返済を求めると宣告されたんだぞ!!』
「そう。
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妥当な判断ね」 私の淡な返答に、幸がヒュウヒュウと過呼吸のような音をてた。
『妥当だと!? 親父は……親父はそのでショックで倒れて、今、救急で運ばれたんだぞ!! 事業者の連も嗅ぎつけて、本社の玄関に押し寄せてシャッターを叩いてるんだ! このままだと、今末の形が落ちない! うちは……吉実エステートは、倒産するんだぞ!!』
「自業自得よ」
『お、それでも妻かよぉぉっ!!』 幸が受話器の向こうで泣き叫んだ。
『頼むよ! 今からでもいい、「あれは弁護士が勝に送ったき違いだった」って興に話してくれ! 俺を共同代表にして、座の預を見せてくれれば、まだを繋ぎ止められるんだ! 頼む、この通りだ! 座でも何でもするから! 俺たちののは、全部嘘だったのかよォッ!!』
「の?」 私は窓の、鉛の空を見げた。
「私の父が命を削って残した財産を、舟の借のカタに差しそうとしていた男が、よくもそんな言葉をにできたものね。……していたなら、なぜ私を騙したの? なぜ、私が反対すると分かっていて、裏で実印を盗もうとしたの?」
『それは……会社が助かれば、おだって幸せになれるとったから――』
「嘘をつかないで」 私の声が、受話器を凍りつかせた。
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