"大晦日、義実家の60億円計画を知った" 第12話
正雄の掠れた声に、部の隅にっていた幸がビクッと肩をねさせた。
「丸め込むだと!?」 叔父が激昂し、幸の胸ぐらを掴みげた。 「お、嫁御せなかったのか! も緒に暮らしておいて、実印の所つ握っていなかったというのか!」
「だ、だって……あいつ、普段はおとなしくて、俺の言うこと何でも聞いてたんだ! 晦の夜に、まさか斎のち聞きをしてたなんて……!」 「言い訳をするな、この役たずが!」 幸の頬に、叔父の平がパチンと炸裂した。
「あんたたち、やめてよ!」 幸子が泣き叫びながら割り込む。 「幸だって懸命やったのよ! 悪いのは全部、あの血な嫁じゃないの! 実に億もあるくせに、婚の危を見殺しにするなんて、のにれてるわ! 私が直談判にってやる! あの娘の親のに乗り込んで、どれだけ恥らずなことをしているか、所に言いふらしてやるわ!」
「やめろ、幸子!」 ベッドのの正雄が、々しく叫んだ。 「今、あの娘を刺激してみろ……川という特捜の弁護士がついておるんだ。私文偽造で警察に告訴されたら、儂も幸も豚箱きだぞ……!」
「じゃあ、うちらの投資したはどうなるのよ!?」 「吉実の名は終わりだ……おたちのせいで、親族全員が破滅だ!」
罵声と号がび交う病。 かつて「方の名士」として栄華を誇り、正には親戚同がをげて集まっていた吉実の絆など、が消えた瞬に、ただの醜いの引っ張りいへと成りがっていた。
広告
幸は赤く腫れた頬を押さえ、たい病のを見つめながら、絶望の淵でち竦んでいた。
。 私は百法律事務所の応接で、川弁護士と共に、分い申の束を最終確認していた。
京庭裁判所へ提する【婚姻関係破綻に伴う婚調申】、ならびに【財産分与対象財産目録】。
「完璧です、社」 川先は老鏡をし、満そうに頷いた。 「吉実幸氏が、妻である社の財産を騙し取る目で印鑑証等を正取得しようとした為、ならびに無断で連帯保証に仕てげようとした為は、民法第百条第項第号の『婚姻を継続し難いな事由』に完全に該当します。責配偶者はに夫側です」
「財産分与については、どうなりますか?」
「これが最もな防線です」 川先は、分けされた資産チャートを指差した。
「幸氏側は、窮に陥れば『の婚姻期に形成された資産であるから、黒川アセットの預も夫婦の共財産として分のの分与を求める』と主張してくる能性があります。しかし、最裁の確定判例において、婚姻から族が保していた株式、ならびに実父の事業売却益を原資として設された資産管理会社の資産は、に【特財産】と定義されます。
広告
幸氏は黒川アセットの経営や資産形成に円たりとも寄与していません」
先は、私が持参した過分の活費の通帳コピーをトントンと揃えた。 そこには、々の費や費、マンションの管理費に至るまで、幸の与座からではなく、私の個預から部分が支払われていた事実が克に記録されていた。
「活費の面倒まで見てもらっていた夫が、妻の実の資産を『夫婦の共財産だ』と主張するなど、裁判官のでにすれば失笑を買うだけです。……々の求は点。即の婚成、ならびに幸氏が黒川アセットの全資産に対する財産分与請求権を確定に放棄すること。これ以には切妥協しません」
「わかりました」
私は申の署名欄に、万で迷いなくサインした。 に婚姻届をいた、私のは未来への希望で微かに震えていた。 だが今、婚届と調申に署名する私のは、鋼のようにたく、ミリの揺らぎもなかった。
「本に庭裁判所へ類を提します。来旬には第回調期の呼びし状が、吉実幸氏の元へ特別送達で届きます」
「よろしくお願いします、先」
事務所をると、え切った都会のがコートの襟を吹き抜けた。 私のは、晦の夜の恐怖から完全に解き放たれ、自分のの舵を自らので握り返した誇りで満たされていた。
広告
おすすめ作品
-
完結第26話
特上寿司と、消えた妻の半年
3月31日22時、激務を終えて帰宅した私の席にあったのは、冷え切った白米一杯だけだった。目の前で1万8900円の特上寿司を頬張る夫と義母は、「反省したらおかずをあげる」と大笑いする。家計の大半を私が支えているにもかかわらず、9ヶ月間も「罰」として食事を奪われ、夫は横で嘲笑っていた。だが二人は知らない。私が半年かけて集めた出前明細の履歴と、義母が隠し持っていた一枚の申告書の存在を。「じゃあ、外で食べてきます」――二度と振り返らずにドアを閉めた夜、経理の私が仕掛けた冷徹な清算が幕を開ける。嫁姑|夫婦4.0万字5 459 -
完結第34話
妻の葬儀の夜、義母が外した指輪と娘の写真
妻・美保の葬儀が終わった夜、修二の結婚指輪を外したのは、亡き妻の母・麗子だった。「もう美保に隠す必要はないでしょう」と唇を寄せたその瞬間、娘・咲から1枚の写真が届く。そこには半年前の病院で抱き合う修二と麗子、そしてガラス越しに2人を見つめる病衣姿の美保が写っていた。 闘病中の妻を支える献身的な夫を演じながら、修二はいつしか自分の弱さを理解してくれる義母へ逃げ込み、越えてはならない境界を越えていた。しかも麗子は「美保も知っていた」「私がいなくなったら修二さんを1人にしないでと頼まれた」と主張し、その証拠となる録音まであるという。 だが翌朝、咲が告げたのは「お母さんの声を最後まで聞いて」という一言。 亡き妻が本当に残した言葉を前に、2人が都合よく信じてきた“許し”が崩れ始める――。夫婦|修羅場5.1万字5 612 -
完結第16話
四十九日の追放、母の隠し遺言
「十年世話しただけの妹に、実家の取り分はないわ」 母の四十九日、喪服の兄夫婦は親族の前で澄子を指差し、台所の冷えた板の間へ追いやった。信金を辞め10年間、720万円の私財を投じて母を看取った澄子に、兄は「今週中に出て行け」と冷酷に通告する。 母のキャッシュカードは7年前から兄が独占し、消えた年金は1240万円。 家財すべてが二束三文で業者に売り払われようとする中、母が50年愛用した古い足踏みミシンの奥底から、厳重に隠された「ある物」が滑り落ちた。 「その言葉、そっくりそのままお返しします」 あの日からちょうど49日後、審判の幕が上がる――。兄弟姉妹|修羅場2.3万字5 439 -
完結第27話
妻を追い出した翌朝、7枚のブラックカードが止まった
結婚3年目の夜、美桜が帰宅すると、夫・達也は若い愛人と義両親を囲み、離婚届を突きつけてきた。「無能で地味な女」「1円も稼げない寄生虫」と嘲られ、慰謝料もなく豪邸から追い出される。 だが4人は知らなかった。美桜の正体は、世界経済を動かす巨大グループの総帥。倒産寸前だった達也の会社を救い、資金も仕事も与え、彼を“天才社長”に見せていたのは全て美桜だった。 さらに豪邸も別荘も、7枚のブラックカードも、達也自身の資産ではなく美桜の法人名義。 離婚届が受理された瞬間、美桜は静かに全カードを停止し、豪邸の退去手続きと会社への特別監査を開始する。 勝ち誇っていた一家がまだ知らない、本当の“無一文”への転落が始まろうとしていた――。修羅場|熟年離婚4.0万字5 285 -
完結第15話
全盲の義母が言い当てた味噌汁の色
「お味噌、白味噌に変えたでしょう?」。11年前の事故で全盲になったはずの義母・かず子が、漆塗りの椀を抱えて微笑んだ。亡き実母への後悔から、365日欠かさず介護と手料理を捧げてきた嫁の私。だが翌朝、ゴミ袋の底から現れたのは、手つかずのまま無残に捨てられた私の料理と、1万8千円の銀座高級寿司やフレンチのデリバリーレシート30枚だった。夫は「お前の味付けが悪い」と冷笑し取り合わない。孤立無援の中、弁護士の助言を得た私はある罠を仕掛ける。そして勝手口の前で義母が放った「ある一言」で、11年間の嘘が音を立てて崩れ去る――。嫁姑|真相2.3万字5 3039 -
完結第22話
夜勤の救急外来に運ばれた夫と義姉
深夜2時、救急外来で夜勤中の看護師・佐藤み咲のもとへ、交通事故で重傷を負った男女2人が搬送されてきた。シーツの下にいたのは、夫・拓也と義姉・麗子。しかも2人は、決して「姉弟愛」では説明できない姿で倒れていた。 み咲は5年間、看護師という仕事を見下す夫と、「子供も産めない」と侮辱する麗子、その2人を庇い続ける義母・里子に耐えてきた。 それでも彼女は感情を捨て、看護師として2人の命を救うことを選ぶ。 だが、惨状を目にした義母まで「全部あなたのせい」とみ咲を罵倒した瞬間、最後の迷いは消えた。 何年も残してきた暴言の記録と証拠を武器に、奪われ続けた人生を取り戻す反撃が静かに始まる――。夫婦|修羅場|不倫3.3万字5 2905