"三日待て――命を懸けて起爆盤を粉砕した現場主任、120人を救い500億の黄金を暴く" 第13話
消されたログ
第区画の破滅な崩落からが経過した。黒事業所の会議は、苦しい静寂と、気器の却ファンのい唸りだけに支配されていた。
部の央に据えられたテーブルには、京本社から急遽派遣された法務コンプライアンス、内部監査部、そして保推部の野謙吾が陣取っていた。壁際の角には、パイプ子に腰をろした酒井誠と太田雄、藤本栄作が控えている。
対面に座る現監督の雅史は、までの威勢を完全に失っていた。作業の襟元は垢じみ、剃り残した無精髭が頬を覆い、血った両目はテーブルの目の点を見つめたまま泳いでいる。
「――では、照作業を始する」 内部監査部の徹な声がを切った。 壁面の型プロジェクターに、つのデータウィンドウが並んで投される。
「側に表示されているのは、監督、あなたがの夕刻に最終承認し、本社務部へ送信した『現全報』の公式アーカイブだ。そこにはこう記されている。『第区画ガス測定、再測定にて全域異常なし。作業継続』。これに対し、側のデータを見ていただきたい。野部が現の携帯型能ガス検器からダイレクトに抽し、保全処理をかけた揮発性メモリのデータログだ」
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プロジェクターのが、監査部の鏡の奥で鋭く反射した。 「午分秒。第区画切羽メートル点において、燃性ガス濃度が爆発限界のパーセントを検。次警報ブザー作、赤LED点滅。器固のシリアルナンバー、位置ビーコンの座標、タイムスタンプが完全に致している。……監督、あなたが承認した公式報から、この分の警報作の事実が綺麗に削ぎ落とされている理由を説してもらおうか」
は喉を鳴らし、乾ききった唇をいた。 「……それは……現の判断です。太田技士がその直に入側で再測定をい、正常値を確認したと報告してきた。過性の誤作であると確信したため、本社への無用な混乱を避ける目で、最終結果である正常値のみを記載したまでです。悪ある改ざんではありません」
「嘘をつくな!」 耐えかねたように子を蹴ってちがったのは太田だった。 太田の両拳はくなるほどく握りしめられ、その全は激しいりと悔で震えていた。
「俺はあの、警報が鳴った事実をそので監督に伝えました! 械の誤作ではなく、奥の岩盤から噴きしている能性があるから、装薬を待ってくれと頼んだんです! それを『送ダクトの正面で測り直せ』としたのは監督、あなたじゃないですか! それだけじゃない……! にも同じことがあった!」
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会議内の空気が瞬で凍りついた。野部が線をげる。 「、というとか。太田君、詳しく話しなさい」
「はい!」太田はから線を逸らさずに叫んだ。 「の午点検でも、第区画の奥で瞬だけガス警報が鳴ったんです。俺が監督に報告すると、『械の置き方が悪い、入側で測り直せ』と蹴されました。そして報には切記載されなかった。俺が抗議しようとすると……『来期の配置転換で請けの掘り現へばされたいのか。おには建て売りのローンと幼い子供がいるんだろう』と……そうやって脅されたんです!」
「太田ッ、貴様適当なことを言うな!」が机を叩いてを乗りした。 「証拠もないのに司を陥れる気か! 職務怠の責任を俺になすりつけるつもりか!」
「証拠なら、ここにある」 野部が淡々とを挟み、元のノートパソコンを操作した。 プロジェクターの画面が切り替わり、の検器バックアップデータが表示される。そこには太田の証言通り、午分に記録された警報作のタイムスタンプがくっきりと残されていた。
「器のログは嘘をつかんよ、君。さらに、君のパソコンのアクセス履歴もすべて示させてもらった」 スクリーンに映しされたのは、の社内アカウントによる報修正ログの履歴だった。
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太田がき保した「警報あり」の記述を、のアカウントが度にわたってで消し、「全域異常なし」にきした事実が、秒単位のアクセス記録として呈していた。
さらに、法務が枚の社内稟議の写しを机のに叩きつけた。 『奥羽系・黒事業所における採掘程倒し達成の特別評価に関する具申』。 そこには、の直署名とともに、期縮が達成された暁にはを京本社務次へ特させ、特別役員報償百万円を支するという社内条項が記されていた。
「全の危険兆候を現から握りつぶし、発破をしようとしたはこれだな」 法務の徹な宣告が、の臓を撃ち抜いた。 「百名の現作業員の命を担保にして、自らの世と百万円のボーナスを掠め取ろうとした。就業規則第82条に基づく懲戒解雇処分、ならびに鉱保法違反、業務過失致傷危険惹起、および法監禁の容疑での刑事告発を決定した」
の顔から、完全に表が抜け落ちた。いたから浅い呼吸が漏れ、唇がに変していく。 酒井は帳をき、その決定な瞬をき留めた。 りや憎しみではない。ただ、数字と記録という徹な事実ので、いかなる権力も嘘も無力化されるという真実が、そこにあった。
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