"不妊を理由に別れた元妻が、機内で双子を抱いていた" 第16話
その姿は、5に彼が毎見ていた景と全く変わらなかった。
しかし、彼女の瞳の奥に宿る表は、あの頃よりもずっとく、母としてのたくましさを備えていた。
「どうぞ、入って」
彼女は微笑んで招き入れた。
のに入って靴を脱いでいると、奥のリビングから子供たちがドタドタと音をててってきた。
「パパだ!」
彼らはもう、初のように健を怖がってはいなかった。
悠斗が健のにギュッと抱きつき、美結が彼のを嬉しそうに引いた。
「見て見て、僕たちの部があるんだよ」
子供たちは健を引っ張り、2階にある子供部へと連れてった。
陽当たりの良いさな部には、とりどりのおもちゃと、たくさんの絵本が綺麗に理されていた。
壁のコルクボードには、2がクレヨンで描いた絵が何枚も貼ってあった。
「これね、族の絵だよ」
美結がそのの枚を指差した。
その画用には、笑顔の4の物が描かれていた。
「これがお母さんでしょ、これが悠斗、これが私。そしてね、番きいこれが、パパだよ」
健はその拙くも温かい絵を見て、再び目にい涙が込みげてくるのを必に堪えた。
リビングにりての夕の席で、健は器用ながらも懸命に子供たちの世話をした。
悠斗のハンバーグをナイフでさく切り分け、美結の空になったコップに麦茶を注ぎした。
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「パパ、もこのおに来るの?」
のデザートをべながら、悠斗が期待に満ちた目で尋ねた。
「はお仕事があるから無理だけど、週末のお休みなら必ず来られるよ」
「えー、毎来てほしいな」
美結がを尖らせて言った。
その言葉に、健は気の利いた返事ができなかった。
彼はそっと百の方を見たが、彼女は何も言わず、ただ静かに自分の器を片付け続けていた。
子供たちが遊び疲れてベッドで寝入った、健と百は1階のリビングで向かいって座った。
「ありがとう」
健が静寂を破って言った。
「今、こうしてに招いてくれて本当に嬉しかった」
「子供たちのためよ。私自のためじゃないわ」
百は茶のカップを両で包み込みながら答えた。
「分かってる」
再び、い沈黙が流れた。
「あなたが会社を完全に辞めたこと、ニュースで聞いたわ」
百がぽつりと話し始めた。
「の莫な財産も、全て自分から放棄したって」
「として、当然のことをしたまでだ」
「でも、それでは子供たちに財産として何も残してあげられないわよ」
百はし配そうに言った。
「俺は、おなんかよりもっとずっと切なものを、あの子たちに残したいんだ」
健は彼女の目を真っ直ぐに見つめて答えた。
「としての誠実さ、自分のへの責任。
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そして、違いを犯したにそれを認める勇気だ」
百はその言葉を聞いて、この初めて、わずかにだがの底からのような微笑みを浮かべた。
「あなた、本当に変わったのね」
「変わらざるを得なかったんだ」
健は苦笑した。
「あのままのき方なら、俺はからず父と全く同じような酷なになっていたはずだから」
「お父様とは、今どうしているの?」
「切連絡を取っていない。もう度と会うこともないだろう」
百は茶をゆっくりとんだ。
「章から話で聞いたわ。あなたが彼と協力したこと」
彼女はカップを置いた。
「過の証拠を自ら集めて、告発に踏み切ったこと」
「彼がいなければ、到底できなかった」
健は素直に認めた。
「彼には、本当にから謝している」
「彼もね、最あなたのことをしずつ認め始めているみたいよ」
百はし笑った。
「最初は、あなたのことを全く信用していなかったけどね」
「当然だ。俺は度、完全に信用を失っただからな。それを取り戻すには、果てしないがかかる」
百はしばらくの、静かに黙って窓のを見ていた。
それから、ポツリと言った。
「子供たちは、とても幸せそうよ。あなたが緒にいると」
「俺も幸せだ」
健は即座に答えた。
「まれて初めて、自分が本当にきているって実できている」
「でもね、健」
百は急に真剣な表に戻り、彼を見た。
「私は、あののことをそう簡単には許せない」
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