みかん小説
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"「子どもを産めない」と捨てられた妻の逆転" 第3話

しかも、スーツの襟元に微かに擦りつけられたかのように、く残っていた。

「……女がいる」

胸の奥で、カチリと何かが音をててえ切った。

しみや涙は湧いてこなかった。ただ、鉛のようにくたいりが、静かに腹の底へと沈んでいった。

自分には「のない穀潰し」「子どもの産めない欠陥品」と罵詈雑言を浴びせ、活費をし惜しみしながら、ではの女と級なを過ごしている。

かな子はちがり、誠が脱ぎ捨てて浴へ向かったスーツの着を静かにに取った。

胸ポケット、内ポケット、サイドポケット。震える指先で裏を探る。

指先が、スラックスのポケットの奥に潜んでいたさな円筒形のい物体に触れた。

引き抜いてのひらに乗せる。ゴールドのキャップに刻まれたブランドロゴ。繰りし式の、鮮やかなローズピンクのだった。使いかけの先端には、微かに唇の形が残っている。

「……隠す気すら、ないのね」

かな子はの品番をスマートフォンのカメラで撮し、元の位置へと戻した。

自分を縛り付けていた「私が悪いから」「子どもが産めないから」という自責の鎖が、音をてて弾けんだ瞬だった。

翌、スーパーのパート勤務も、かな子のからは夜のの触が消えなかった。

バックヤードで段ボール箱を畳みながら、かな子は激しい葛藤に苛まれていた。

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証拠を掴みたい。だが、興信所に依頼するような貯は、毎の活費を切り詰められている自分にはない。友に相談しようにも、夫のモラハラを隠し続けてきた羞恥が邪魔をする。

「かな子さん、丈夫? なんか今、顔がすごく悪いけど……」

声をかけてきたのは、同じ帯で働くパート仲の戸田まみだった。代半ばで児の母でもあるまみは、いつもるく面倒見がよく、職で最も親しくしている同僚だった。

「……まみちゃん」

かな子はわず線を泳がせた。周囲にはの従業員の姿はない。休憩のの暗い通には、換気扇のい唸り声だけが響いていた。

「あのね、すごく変なことを聞くかもしれないんだけど……」

かな子はを決し、震える声で言葉を紡いだ。夫が以から暴言を繰り返していること、子どものことで見されていること、そして昨夜、スーツから女性用のが見つかったこと。

話し終えた、かな子の目には涙が滲んでいた。みじめだった。されて結婚したはずの夫にそこまで虐げられていた事実を、に告することがけなくて仕方がなかった。

だが、話を聞き終えたまみは、驚きや同の声をげるどころか、険しい表で唇を真文字に結び、沈痛な面持ちで俯いていた。

「……まみちゃん?」

「かな子さん……ごめん。

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本当にごめん」

まみは顔をげ、すまなそうに眉を寄せた。

「私、ずっと言おうか迷ってたんだけど……かな子さんの庭を壊しちゃうんじゃないかとって、どうしても言いせなかったことがあるの」

まみはエプロンのポケットからスマートフォンを取りし、画面を数回タップした。

「これ……先週の曜の夜、駅のイタリアンレストランので撮ったの」

差しされた画面を覗き込んだ瞬、かな子の息が止まった。

灯のに照らしされた歩。そこには、等なコートを着た誠が、見らぬ若い女性と腕を絡ませて歩く姿が鮮に写しされていた。女性は代半とおぼしき華奢な体型で、巻き髪にぶりのピアスを揺らし、誠の肩に甘えるようにを預けている。の顔ちだけでなく、をつないでラブホテルの角へと曲がっていく決定な瞬まで、枚の写真に克に記録されていた。

「これ……誠さんよね?」

「……ええ」

かな子の喉がカラカラに渇いた。

「実はね、この女の……私のの職の輩にそっくりなの。名は園寺るい。羽振りのいい既婚男性ばかりを狙って貢がせるので名な子だった。……かな子さん、誠さん、かなりのおをこの子に使ってるかもしれないよ」

の芯が急激にえ込んでいくのをじながら、かな子はまみから写真のデータを転送してもらった。

「まみちゃん、ありがとう。

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