みかん小説
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"「子どもを産めない」と捨てられた妻の逆転" 第11話

警官に引きずられ、パトカーへと押し込まれていく誠の喚き声が、の青空の彼方へとざかっていった。

事件からヶが過ぎ、季節は巡って柔らかなを迎えていた。

吉。穏やかな陽がり注ぐ、コミュニティカフェ&カウンセリングサロン『ルポ(Repos)』のプレオープン初を迎えていた。

エントランスにはとりどりの祝いが並び、そのには父・信郎の直メッセージが添えられた見事な胡蝶蘭と、スーパーの元同僚たち同からのらしいフラワーアレンジメントがあった。

「かな子さん! おめでとう!」

ガラス扉をけてび込んできたのは、束を抱えたまみだった。

「まみちゃん! 来てくれたのね、ありがとう」

「当たりじゃない! すっごく素敵なお……! の匂いがして、空気が柔らかくて、本当に落ち着くわ」

まみは内を見回し、嘆の声をげた。カフェスペースの奥には防音仕様の個が設けられており、そこでは妊治療に悩む女性や、夫婦関係に葛藤を抱える当事者たちが、専のカウンセラーとともにしてを打ちけられる仕組みになっている。

オープン初から、予約の枠はほぼ満席となっていた。SNSを通じてかな子が発信した「妊の苦しみと、そこからの自」を綴った記がくの共を呼び、同じ痛みを抱える全国の女性たちから応援のメッセージが殺到していたのだ。

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夕暮れ、最のお客様を笑顔で見送った、かな子はのテラス席に腰をろした。

運ばれてきたハーブティーの湯気越しに、庭の片隅を見る。そこには、信郎と緒に植えた桜の若が、桃のさなを健気に咲かせていた。

スマートフォンの画面がり、神崎弁護士からの最終報告が表示された。

誠はストーカー規制法違反および脅迫未遂で略式起訴され、罰刑と接禁止命令の更が確定したこと。会社を完全に解雇され、現は方の実へ引き取られ、親族からも絶縁同然の扱いで監に置かれていること。

かつて自分を縛り付けていた呪縛は、完全に過のものとなっていた。復讐を望んだわけではなかったが、自らを偽り、者を踏みにじり続けた男には、それ相応の結末がのにされただけだった。

「ふう……」

かな子は温かいカップを両で包み、く息を吐きした。

子どもができないとった、世界が終わったとった。自分は女として失格であり、誰にもされる資格がないと絶望した。

だが、違っていた。

誰かに依し、誰かの嫌を伺うためにきるは、もう終わったのだ。自分のでを踏みしめ、傷ついた経験を誰かのための灯に変えていく。これからのい、使い切れないほどの富があろうとなかろうと、自分のを満たすものは、自分自の誇りい選択のにしかない。

「かな子、片付け終わったよ。そろそろお茶にしようか」

厨から、しく雇い入れたスタッフのるい声が響いた。

「はーい、今きます!」

ちがったかな子の取りは、羽のように軽やかだった。

夕暮れの空には、の宵の柔らかながつ、凛として輝き始めていた。

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