"娘の就職祝いで夫は私を泥棒と呼んだ" 第9話
説会の夜
私たちはで証拠を並べ直した。病院記録は私が録音にも送にも関われないことを示す。ログと搬入映像は、隆司と原が会社にいたを示す。原音と編集音声の比較は、言葉が別々の会議から切り取られた事実を示した。
ただし、証拠がければ勝てるわけではない。隆司は「妻が経理代に仕組み、自分たちはから気づいた」と主張するはずだ。過の送には私の認証トークンが使われているため、術当の件だけを除けば疑いは残る。
そこでは、送承認メールの受信先を調べた。私が責任者だった頃は段階承認で、次承認が私、最終承認が社の隆司だった。ところが問題の取引だけ、規程変更の文が作られ、私で送できる形になっている。
規程変更は、私がドックで会社を休んだ。取締役会議事録には私の署名があるが、原本のページ番号がと異なり、から差し込まれていた。
元総務担当者が、当の会議に私は席していないと証言した。彼女は会社を辞めるつもりはなく、匿名での確認だけを望んだ。私たちは無理に表へさなかった。社員が活を守りながら話せる範囲を、証拠として積みげた。
方、隆司は説会夜、従業員へ臨集会をいた。
「美が勝てば会社は倒産する。
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しい会社を作ると言って社員を引き抜くつもりだ」
私はまだ会社の話などしていなかった。だが主取引先社から、隆司が退任するなら取引継続を検討するという連絡が来ていた。と品質管理責任者は、従業員を守るため別法への事業譲渡案を準備していた。
それを隆司がり、私の乗っ取り計画へすり替えたのだ。
義母は説会へないと言った。自分も騙されたが、息子を公ので追い詰めることはできないという。
私は説得しなかった。
「欠席する自由はあります。でもF・リンクの代表者として、質問にはで答えることになります」
夜遅く、義母から話が来た。
「美さん。隆司は、私のマンションをもう売ったと言っている」
登記を確認すると、売却ではなく、I・プランニングを債権者とする根抵当権が設定されていた。義母が節税類だとって押印したに、担保設定契約が混じっていた。
息子を守ろうとして欠席するはずだった義母は、翌朝、通帳と実印を持って説会へ現れた。
説会まで残りとなった、会社側から百ページい資料が届いた。提期限直に量のを送り、こちらが読み切れないまま当を迎える狙いだった。と私はページを分担し、送番号、付、承認者だけを覧にした。
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すると、同じ設備の見積が種類あり、自治体へ提した額だけが割いことが分かった。
見積を作った方の械商社へ確認すると、担当者は百万円の設備など扱っていないと答えた。実際に相談を受けたのは百万円の古凍庫で、隆司は「補助の審査用に品の参考価格が必だ」との会社用を受け取っていた。担当者は社内処分を恐れたが、正式な照会があれば事実を説すると約束した。
さらに資料のには、千が責任者としてかから事業会議へ参加したという議事録があった。か、彼女はまだ学の卒業論文を仕げており、会社へ度もっていない。オンライン会議の参加履歴もなく、署名は入社類から転用されていた。
「私の名、何枚あるの」
千は自分の署名が並ぶ資料を数え、途でを止めた。母親を犯にする自だけではない。父親は娘が入社するから、彼女をしない会議へ席させていた。
私は千へ、の証言を断ってもよいと伝えた。事実を話すことと、勢ので父親と対決することは別だ。面だけでも提できる。
「逃げたら、またお父さんが私の言葉を作る」
「席するなら、お父さんを負かすためではなく、自分が見たことを説するためにしなさい」
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彼女は原稿を度き直した。最初の原稿は父親へのりばかりで、度目は自分を被害者としてきすぎていた。最には、署名を求められた順序、説された内容、途で疑ったのに従った理由を、飾らず記した。
夜、元総務担当者から追加のメールが届いた。隆司が社員へ回した嘆願には、署名しなければ次の賞与査定へ響するとで告げられていたという。の署名は、の自由な支持ではなかった。
私はその事実も資料へ加えたが、署名した社員の名は伏せた。彼らまで公ので裁けば、隆司が作った「会社対美」という構図から抜けせない。
窓のがるくなった頃、義母が来た。彼女は晩、息子からの話を受けていたという。
「席したら親子の縁を切るって」
「どうしますか」
義母は実印のケースを握った。
「縁を切るかどうかは、今あの子が決めることじゃない。私が自分で決める」
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