"月30万円の親孝行は、誰の財布から?" 第4話
隠された期講習代と義母からの段ボール
活費の拠を基本額のみに絞り込んでから目の朝。 午、台所で族の朝の卵焼きを焼いていると、階段をりてきた女のが、制のブレザーのポケットからさく折りたたまれたプリントを取りした。 申し訳なさそうに線を泳がせながら、カウンター越しに私へ差ししてくる。
「お母さん……これ、来からの学受験の期講習の申し込み用なんだけど……」 受け取ったプリントのには、太字で【受講料計:万千円】と印刷されていた。 推薦入試ではなく般受験を目指すにとって、志望対策の期講習はどうしてもせない関だった。 「いよね……ごめんね、お母さん。でも、塾の先が、この講座だけは取っておいた方がいいって……」 は私の顔を伺い、怯えるように呟いた。
これまでの私なら、どうしていただろうか。 違いなく、そのプリントをすぐにエプロンのポケットへ隠し、 『丈夫よ、。おの配なんかしなくていいから、勉に集しなさい。お母さんののボーナスからしておくからね』 と笑って答えていただろう。 父親である達也のでおの話をせば、「塾なんてそんなにがかかるのか」「おがで勉を教えてやればいいだろ」と嫌な顔をされるのが分かっていたからだ。
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子供に惨めないをさせたくないで、私は子供の教育費すら、夫の界から隠し続けてきたのだ。
だが、今朝の私は違った。 私はプリントを丁寧につ折りに広げ直すと、リビングのダイニングテーブルの央、達也が座る席の真正面に置いた。 「、ここに置いておきなさい。今夜、お父さんと緒に確認するから」 は目を丸くして驚いた。 「えっ……お父さんに? でも、お父さん、おの話をするといつも嫌が悪くなるじゃん……」 「いいのよ。がこれから学へくためにどれくらいのおが必なのか、お父さんにも父親としてっておいてもらわないといけないからね」 私の毅然とした言葉に、は戸惑いながらもさく頷いた。
午、パートではなく正社員としてフルタイムで働く堅商社の経理部へ社した。 私の業務は、各部署からがってくる経費伝票の精査と、支払いの承認作業だ。 パソコンの画面に向かいながら、営業部から提された枚の稟議に目が留まった。 事の承認ルートを通さずに事報告でがってきた、万円を超える取引先との会費用だった。 私は迷わず内線話を取り、営業部の担当課へ伝えた。 『課、社内規定で定められた事決済のない額支は、経理として処理できません。ルール通り、事に部の承認印をもらってから再提してください』
受話器を置いた、私はパソコンの黒い画面に反射する自分の顔を見つめた。
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会社ではこうして、ルールを破った理尽な支を毅然と撥ねつけ、数字の円単位まで厳格に管理している。 それなのに――なぜ庭という最の組織に戻った途端、私は夫の無責任な決済を無条件で受け入れ、裏帳簿を作って帳尻をわせるような真似を続けてきたのだろうか。 「夫婦だから」「波をてたくないから」という甘えと臆病さが、夫をモンスターのような無自覚な暴君に育てげてしまったのだ。
夕方、定で仕事を終えて帰宅すると、玄関のがり框にさな段ボール箱が置かれていた。 発送元の伝票を見ると、達也の実――義母のふみ子さんの名があった。 箱をけると、聞に包まれた付きの根と、揃いなキャベツが玉、そして自製の梅干しの瓶が入っていた。 野菜の隙に、い便箋が通、添えられていた。
を洗い、ダイニングテーブルに座ってをいた。 し震えた、だが几帳面で温かみのある義母の跡だった。
『美奈子さん、いつも達也と子供たちを支えてくれてありがとう。 昨、達也から「毎万円送る」と話がありました。 息子の気持ちはにも昇るほど嬉しいけれど、万なんて、私にはとても受け取れません。 最はスーパーのキャベツもいので、所の農さんのお伝いをして、規格の野菜を分けてもらって夫して暮らしています。
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の灯油代がし配なだけで、あなたたちの活を壊してまで助けてもらうつもりは毛ありません。 美奈子さんも毎お仕事で変なのに、達也が無理を言っていませんか。どうか、絶対に無理だけはしないでくださいね』
を読み終えた瞬、私の目がくなった。 義母は、息子の見栄のために庭を破壊されることなど、ミリも望んでいなかったのだ。 スーパーの値げにを悩ませながらも、自分のできる範囲で懸命に爪にを灯して暮らしている。 それなのに達也は――母親の本当の困窮の度いも、額も、必な支援の額も何つ調べようとせず、ただ「親孝な俺」という記号をに入れるためだけに、万円という数字をにしたのだ。
私は便箋を胸に当て、く息を吸い込んだ。 そして、そのを、が置いていった万千円の期講習のプリントの真隣に、綺麗に並べて置いた。 子どもの現実の教育費と、義母の切実な真実の。 夫が直しなければならない「現実」のカードは、すべて揃った。
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