"血染めの写真と三文字のSOS" 第4話
「お母さんが……かいだんから落ちて、うごけないの……。でんわも、こわれちゃって……」
「わかった。今すぐ救急を呼ぶからな。もう丈夫だ」
私は即座にスマートフォンを取りし、画面をタップして番へと発信した。
『はい、消防署です。事ですか、救急ですか?』
「救急です! 成女性が階段から転落し、を負傷してけない状態です! 識はありますが激痛を訴えています!」
オペレーターに所と建物の特徴を正確に伝え、容態を説する。通話をしているも、女はそのから歩もかず、きな瞳を潤ませながら私の顔をじっと見つめ続けていた。
救急の請を終えると、私は髪を入れずに〇番をダイヤルした。
「警察ですか? 先ほどコンビニで血のついたSOSの写真を拾い、その所に駆けつけた者です。ので女性が負傷して倒れており、何らかの事件性の能性があります。至急パトカーの配をお願いします」
事を伝えると、警察官も現へ急すると答えてくれた。
通話を終えてスマートフォンをポケットにしまうと、私は再び女に向き直った。
「もう丈夫だぞ。救急も警察も、すぐにここへ来てくれるからな」
私が歩づこうとすると、女はビクッと体を張らせ、母親のをぎゅっと握りしめた。
「怖がらなくていい。
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俺は君たちを助けに来たんだ」
私はそのにしゃがみ込み、女の目線のさまでをげた。
女の両には、まだ赤黒い血がこびりついている。よく見ると、のひらに、ガラスか何かで切ったようない直線状の切り傷が残っていた。
「その、痛いだろう。でお医者さんにしっかり当てしてもらおうな」
「……うん」
蚊の鳴くようなさな声が返ってきた。
この子は、けなくなった母親を救うために、自らののひらを傷つけ、その血を使ってあの写真にメッセージをき込んだのだ。歳にも満たないさな体で、どれほどの恐怖と痛みに耐えながら、あのコンビニまでったのだろうか。胸が締め付けられるような痛みが込みげてきた。
その、に倒れていた女性が、掠れた苦しげな声を漏らした。
「み……お……」
「お母さん! しゃべっちゃ駄目! うごいちゃ駄目だよ!」
女が慌てて母親の顔にすがりつく。
女性はく目をけ、激痛に顔を歪めながら、線を私へと向けた。
「ありがとう……ございます……。写真を……見つけてくださって……」
「喋らなくていいですよ。息をえて、じっとしていてください。もうすぐ救急が到着しますから」
女性の首は、素目に見ても骨折していると分かるほど、自然な角度に折れ曲がっていた。しかすだけでも激痛がるはずだ。
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「……何があったんですか?」
私が静かに尋ねると、女性は脂汗を流しながら、途切れ途切れに答えた。
「階段から……突き落とされて……」
それだけ言うと、女性は苦痛に耐えかねたように固く目を閉じた。識を失ったわけではないが、限界にい状態であることはだった。
「お母さん……! お母さん、だいじょうぶ……?」
女が半泣きになりながら、母親のたい頬にを当てる。
「丈夫だよ、お母さんは気絶してない。痛いから目を瞑っているだけだ」
私は女の背にそっとを添えた。そのさな体は、刻みに震え続けていた。
「君、名は何て言うんだ?」
「……みお」
「美桜ちゃんか。俺は俊介っていうんだ。町で写真を撮る仕事をしているんだよ」
「……しゃしんやさん……?」
「そう、写真さんだ。だからね、コンビニのであの写真を見た、すぐに気付いたんだよ。『この血はまだ乾いてない、急いで助けにかなきゃ』ってね」
美桜ちゃんは黙って私の瞳を見つめ返した。その瞳の奥の警戒が、しずつ、柔らかなへと溶けていくのが分かった。
「美桜ちゃん、本当にすごいよ」
「……え?」
「あの写真、君が作ったんだろう? お母さんを助けたくて」
美桜ちゃんの唇が、さく震えた。
「だって……でんわも壊れちゃったし……だれにも言えなくて……」
「怖かったよな。も痛かったよな。でも、美桜ちゃんが勇気をしてくれたから、俺はここに来られたんだ。
君がお母さんを救ったんだよ」
その言葉をにした瞬、美桜ちゃんのきな瞳から、粒の涙がポロポロと零れ落ちた。
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