"血染めの写真と三文字のSOS" 第11話
カシャリとよいシャッター音が響いた。
液晶画面に表示されたプレビューには、満面の笑みを浮かべる子供たち、目を細めて微笑む両親、そして隣りって温かなに包まれる私と結さんの姿が写しされていた。
誰が見ても、そこにあるのは紛れもない『族』の姿そのものだった。
その帰り、夕暮れに染まるを歩きながら、太が私のをキュッと握りしめてきた。
「父ちゃん」
「ん? どうした?」
「美桜ちゃん、ずっと俺の妹だったらいいのになあ」
を突かれた私はを止めた。
「どうして急にそんなことを言うんだ?」
「だってさ、美桜ちゃんがいると毎すっごく楽しいし、結さんも優しくて料理も美しくて……ずっとみんなで緒に暮らしたいんだもん」
子供の無垢な直は、にの理性よりも遥かに鋭く本質を射抜く。
私は太のをそっと撫でながら、夕焼けの空を見げた。
ずっと緒にいたい――それは、太だけでなく、私自の胸の奥底で静かに芽え、きく育ちつつあった偽らざる本だった。
しかし、その穏やかで温かな幸福を切り裂くように、悪は再び唐突に訪れた。
数の平、午を回った頃のことだった。
学へっている太と美桜ちゃんを待つ、私と結さんはスタジオのカウンターでの撮の打ちわせをしていた。
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その、スタジオのガラス扉が、ドカンという暴力な轟音とともに乱暴に蹴破られるようにいた。
「……いたな、ゆい」
をうような、濁ったい男の声がフロアに響き渡った。
私が弾かれたように顔をげると、入りのマットのに、ボロボロの革ジャンを着た代半ばの男が仁王ちしていた。充血した鋭い目つき、無精髭に覆われた頬、そして全から滲みる隠しようのない暴力の気配。
背から、息を呑む微かな音が聞こえた。
振り返ると、結さんが持っていた類を取り落とし、顔面を蒼にしてガタガタと震えていた。
「た……達也……」
「やっと見つけたぞ、クソ女が……」
男――達也は元を醜く歪め、股で結さんに向かって歩み寄ってきた。
私は迷うことなくカウンターをびし、結さんのにちはだかった。
「お客様、当に何かご用でしょうか。アポイントのない方のち入りはお断りしています」
「ああん? 邪魔すんなや、てめえ! 俺はそいつの夫だ! 妻を連れ戻しに来ただけだ!」
達也が血った目で私を睨みつけ、胸ぐらを掴もうとを伸ばしてきた。
「達也! やめて! ここはあなたには関係のない所よ!」
結さんが震える声を張りげた。
「関係ねえだと!? 俺から逃げして、こんな男のにしけこみやがって! 美桜はどこだ! 美桜をせ!」
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その、スタジオの奥の居スペースのドアがさくき、ランドセルを背負った美桜ちゃんがひょっこり顔をした。して戻ってきたばかりだったのだ。
「……あ」
美桜ちゃんの線が達也を捉えた瞬、そのさな顔から気に血の気が引いた。
「美桜! パパだぞ! こっちへ来い!」
達也が鳴り声をげ、美桜ちゃんへとを伸ばそうとした。
「いやああああっ! 来ないで! あっちって!」
美桜ちゃんはを塞ぎ、壁に背を擦りつけながら鳴をげた。結さんがを引きずりながら駆け寄り、美桜ちゃんを自らの体で抱きしめ隠した。
「美桜に触らないで! 私たちはもう、あなたとは何の関係もない!」
「ふざけんな! 俺たちはまだ籍が入ってんだろうが! 力づくでも連れて帰るぞ!」
達也が結さんの腕を掴もうとへ踏みした。
その腕を、私は全力で掴み、力任せにねじりげた。
「ぐわっ……!? てめえ、何しやがる!」
「警察を呼びますよ」
私は歩も引かず、達也の瞳を至距で睨み据えた。
「呼べるもんなら呼んでみろ! 俺は自分の族を迎えに来ただけだ! 警察だって民事介入でしできねえよ!」
「あなたには、過に結さんを階段から突き落とし、複雑骨折を負わせた傷害罪の確な診断があります。そして今、私の舗に法侵入し、脅迫と暴未遂を働いている。
現犯ですよ」
達也の顔が瞬、引きつった。
「な……あれは事故だ! 勝に滑り落ちただけだ!」
「事故かどうかは、警察署の取調で説してください」
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