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"十字の紙片と売られた生家" 第10話

健太に勝な処分権など最初からありません」

さらに内先は、頼もしい言葉を続けてくれました。

「その真由美さんのりいという産業者の件も、背任や詐欺未遂に該当する能性が極めてい。私が今すぐ辺を洗わせます。美智子さん、午に、私は信頼できる調査員と公証役のを伴って、そちらのお宅へ伺います。それまで、普段通りに装ってを稼いでください」

「分かりました、内先。本当にお願いいたします」

受話器を置いた瞬、胸の奥をく押し潰していた鉛のようなが、すっと消え失せていくのをじました。

夫が、私とこのを守るために残してくれた法な防壁が、今まさに能しようとしていたのです。

私は計を見ました。午分。

私は台所にち、普段と変わらぬつきで朝の支度を始めました。

鍋で湯を沸かし、豆腐とワカメの噌汁を作り、卵焼きを焼き、炊きてのご飯を茶碗によそいました。

午半、階からドタドタと音が響き、健太と真由美がりてきました。

はすでに用のスーツと価なワンピースにを包んでおり、リビングに入るなり傲な態度でテーブルにつきました。

「母さん、昨の話だけどさ。実印と通帳、権利証の準備はできてるんだろうな?」

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健太は席に着くや否や、挨拶のつもなく、品定めするような目で私を睨みつけました。

真由美もまた、笑いを浮かべながら元の級バッグをテーブルのにドンと置き、私を急きてました。

「今、に産業者の担当者が契約の仮類を持ってくるのよ。お義母さんは余計なを挟まないで、言われたところにポンポン判子を押してくれればいいですからね」

私は湯気のつ噌汁を静かにテーブルに配膳しながら、穏やかな微笑みを崩さずに答えました。

「ええ、分かっているわ。切な類だから、仏壇の奥の庫にしまってあるのよ。朝が終わったら、ゆっくりしましょう」

私の従順な態度に、健太と真由美は顔を見わせ、ほくそ笑みました。

そこへ、制に着替えた結菜が、青い顔をして階段をりてきました。

結菜は私の顔を見るなり、でたまらないといった表で線を揺らしました。

私は結菜の目をしっかりと見つめ、に気づかれないよう、わずかに度だけ力く頷いてみせました。

その私の微かな図を見て、結菜の瞳にっていた怯えが、微かな希望のへと変わったのが分かりました。

朝がむ、健太はまるで自分がこのの主であるかのように、偉そうにカナダでの移計画を語り続けました。

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「向こうに着いたら、まずは現法をちげる予定なんだ。母さんの代のがあれば、からの融資も簡単に引っ張れる。母さんも奥の施設で、せいぜいきしてくれよな」

真由美も調子をわせます。

「そうそう、奥なら空気も綺麗だし、認症の予防にもいいんじゃないかしら? 携帯話の波は届きにくいらしいけど、どうせ誰も話なんてかけてこないんだから関係ないわよね」

のから吐きされるあまりにも劣な言葉の数々に、結菜は箸を止め、唇をく噛み締めて耐えていました。

しかし、私はりで取り乱すことはありませんでした。

なぜなら、計の針はすでに分を指しており、彼らの破滅のカウントダウンが確実に刻まれていたからです。

午ちょうど。

玄関のチャイムが、ピンポーンと澄んだ音でらかに鳴り響きました。

健太は「お、もう産業者が来たのか。いな」と言いながら、嫌でちがり、玄関へと向かいました。

真由美もまた、勝ち誇ったような顔で「お義母さん、いよいよサインのですよ」と私に言い放ちました。

しかし、玄関の扉がいた直、廊から聞こえてきたのは、業者のへつらう声ではなく、く威厳に満ちた男性の声でした。

「突然の訪問、失礼いたします。

私は美智子さんの代理を務めております、弁護士の内と申します」

リビングの空気が、瞬にして凍りつきました。

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