みかん小説
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"剣を捨てない花嫁" 第12話

弟に刀を持たせなかった理由

数が過ぎた。

弟の直は、歳になっていた。

父は当然のように刀を持たせようとした。

私はそれを止めた。

「本がやりたいと言ってからでいい」

父は満そうだった。

「跡取りだぞ」

「だからです」

「何が」

「私と同じにしないでください」

父は黙った。

直は庭で虫を追いかけていた。

剣より絵を描くことが好きで、の枝を持たせても振るより面に線を描く。

「を継がないと言ったら?」

私が尋ねると、父はしばらく答えなかった。

以なら即座に「許さん」と言ったはずだ。

やがて彼は庭の弟を見た。

「そのは、そのだ」

私はし笑った。

は変わる。

急には変われない。

それでも変わろうとすることはできる。

久世でも変化があった。

志乃は帳へ戻ることはなかったが、敷から追いされもしなかった。

義隆はの功績も考え、事の部だけを任せていた。

ある、私は廊で志乃に呼び止められた。

「澄さん」

初めて名で呼ばれた。

「はい」

「絹乃が嫁ぐそうです」

「聞きました」

「商の次男へ」

「幸せそうでした」

志乃はし寂しそうに笑った。

「私は、あの子の幸せまで自分で決めようとしていた」

私は何も言わなかった。

「あなたのことも」

志乃は続けた。

「嫌いだったのではないのかもしれません」

「では?」

「怖かったのです。自分が正しいとってきたものを、全部壊される気がして」

私はその気持ちがしだけ分かった。

私も以は、父に認められることが正しいとっていた。

「私も、自分が違っていないといたかったです」

志乃は私を見た。

「許してとは言いません」

「はい」

「でも、悪かったとっています」

私はをげた。

許すかどうかは、そので決められなかった。

それでも彼女の言葉は受け取った。

何も言わなかった昔の父より、ずっと誠実だとった。

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