みかん小説
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"特上寿司と、消えた妻の半年" 第11話

それでも私は、粒残さずすべてをみ干した。残せば、またしい難癖をつけられることが分かっていたからだ。

唐揚げの夜は、「太るでしょ」と健康を気遣う偽善の仮面を被っていた。

だが、このすき焼きの夜、よしえは「反省しなさい」と、確に懲罰であることをにした。

料理の量を減らす嫌がらせから、特定の具材を物理に排除する嫌がらせへ。

よしえの暴力は、段ずつ階段を登るように凶悪化していた。

翌朝、勤の準備をしながらキッチンのカウンターを見ると、そこには公平の通勤バッグの横に、段ねの弁当箱が置かれていた。

ふとフタの隙から見えたのは、照り焼きのように甘辛く煮詰められた、あの黒毛牛の残りの肉だった。

肉は、最初から残っていたのだ。昨夜の私の夕から完全に排除された肉が、息子の昼の弁当箱のに、ぎっしりと詰め込まれていた。

台所に起きてきた公平は、寝癖のを掻きながら弁当箱を持ちげ、「おっ、すき焼き弁当か! 母さん、サンキュー!」と破顔して笑った。そして、度も私の顔を見ることなく、玄関をていった。

に入ると、よしえの専横は事の枠を越え、私への直接な命令へと拡していった。

、曜の朝のことだった。

スーツを着て玄関へ向かおうとする私を、よしえが呼び止めた。

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「麻子さん、今、科の定期検診に付き添いなさい。散瞳の目薬を差されると、帰りの界がぼやけて危ないのよ。休暇くらい、嫁なんだから取れるでしょう」

私は計を見つめ、静に答えた。

「すみません、お母さん。今は初めの締めで、経理部にとって最もな報告を作成しなければならないなんです。どうしても仕事を抜けることはできません。タクシーを配しておきますから、それで往復していただけませんか?」

「タクシーですって!?」

よしえの声が、切り声となってリビングに響いた。

「寄りをきりでタクシーに乗せる気!? 公平の嫁なら、姑の通院にわせて仕事を休むのが当たりの常識でしょうが!」

私はネクタイを締めていた公平に目を向けた。

「あなた、今は半休取れないの?」

公平は鏡のから振り向きもせず、即座にを振った。

「俺は回りのアポイントが詰まってるから無理。麻子、おがなんとか調しろよ」

「経理の初は、絶対に休めないの。ごめんなさい」

私はをげ、タクシー会社の迎専用番号をメモにいて卓に置き、をた。

背から、「聞いた、公平!? また私に答えしたわよ、あの嫁!」というよしえの叫びが追いかけてきた。

その夜、私が帰宅すると、よしえは自に引きこもって言もを利かなかった。

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呂からがってきた公平が、バスタオルで髪を拭きながら、ややかな線を私に投げかけてきた。

「母さんさ、結局所の友達に頼み込んで、げて付き添ってもらったんだってさ。お、本当に酷な女だよな。自分の仕事の方が、族の体より事なわけ?」

族の体。

その族のに、私のや、私が守るべき活の糧である仕事への敬は、微も含まれていなかった。

そして、運命の、曜の昼がやってきた。

午過ぎ、リビングのソファでくつろいでいたよしえが、元のiPadの画面を指でタップしながら、弾んだ声をげた。

「公平、今のお昼はにしましょう。今は私の奢りよ!」

ソファの端に座っていた公平が、嬉しそうにを乗りした。

「マジで!? 何にするの?」

「駅の老舗の鰻さんにしましょう。特の番いいやつを頼んであげるわ」

「よっしゃ! 母さん、最!」

公平はのように無邪気にび、画面を覗き込んだ。

休の代は、届いたに自分が現で払う――半、よしえ自がそう宣言していた。だから私は、何の疑も抱かずに掃除をかけ続けていた。

をし回った頃、インターホンが鳴った。

よしえが玄関へて配達員から黒塗りの箱を受け取り、リビングのテーブルへ運んできた。

箱の蓋をけた瞬、炭のばしい匂いと、甘辛い極のタレのりが部いっぱいに充満した。

ふっくらと焼きげられた特の鰻が尾、ご飯が見えないほど敷き詰められた箱が、よしえと公平の席のにつずつ置かれた。

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