みかん小説
本棚

"特上寿司と、消えた妻の半年" 第15話

「事というに関わる基本な欲求をコントロールし、図に差別して『罰』を与える。そして配偶者はそれをりながら放置・容認している。これはらかな婚姻関係を破綻させる法為であり、精神虐待に該当します。これだけ詳細な記録と写真が残っていれば、裁判になっても極めて利です」

原弁護士は、私の目をまっすぐに見つめて具体な順を授けてくれた。

「別居と婚を確実にめるためには、段取りを違えてはなりません。第に、確実にを寄せる居を確保すること。第に、持ちす荷物はご自の個財産だけに限定し、夫婦の共財産には切を触れないこと。そして第に――これが最もですが、をるその瞬まで、活費の負担割や支払いのルーティンを、絶対に急に変えないことです」

「急に変えては、いけないのですか?」

「ええ。支払いを突然止めれば、相にづかれて妨害されますし、から『悪の遺棄だ』などと当な言いがかりをつけられる実を与えてしまいます。変えるなら、をてく当のその瞬に、法な記録が残る形で気に切り替えるのです。そのの交渉は、すべて私が代理として面で引き受けますから」

プロのな指針に、私のので蠢いていた恐怖と迷いは、完全に消えった。

広告

そののの夜、私は自宅のパソコンで、クレジットカードのWEB細を精査していた。

原弁護士のアドバイスに従い、過の支をエクセルにまとめる作業をしていた、ふとアプリの請求額のでが止まった。

平の昼にを頼む程度なら、に数千円のはずだった。しかし、細に並ぶ数字は、もも、万円を遥かに突破していたのだ。

細には舗名と計額しか載らない。

私は胸騒ぎを覚え、自分のスマートフォンからアプリのアカウントへログインし、過の注文履歴を詳細に呼びした。

画面をスクロールした瞬、私の血の気はサーッと引いていった。

平の昼、鰻、特丼、黒毛牛ステーキ、握り寿司の盛りわせ。

の注文に混ざって、らかに「」の級料理が注文されているすらあった。所のカラオケ仲をに連れ込んで、私のカードで馳していたのだ。

そして、あのの曜の履歴をいた、私の呼吸は完全に止まった。

『()11:22 特鰻2 ¥9,600 決済完:麻子名義カード』

あの。

よしえはソファでを乗りし、「今は私の奢りよ!」とらかに宣言した。

休の分は自分が現で払うと約束していたはずのその鰻の代千百円は、私のクレジットカードから綺麗に引き落とされていたのだ。

広告

私が苔も巻かれていないえたおにぎりを喉に詰まらせながら涙を堪えていた横で、あの親子が貪りっていた特の鰻は、ならぬ私自の労働の結晶で支払われていたのだ。

嫁に罰を与えて虐げながら、その虐待の台装置の代すら、罰を受けている嫁の財布から巻きげていた。

りを通り越し、背筋にたい悪寒がった。

そのですぐにカードの登録を解除することもできた。だが、私は震える指を必に抑え、画面を閉じた。

原弁護士の言葉があったからだ。

今、カードを止めれば、よしえは異変に気づいて警戒する。

すべてを清算するのは、私がこのをる、その最のでいい。

私はアプリの設定をつだけ変更し、注文完のプッシュ通が、タブレットだけでなく私のスマートフォンにも同に届くように設定した。そして、すべての注文履歴のスクリーンショットを克に保した。

に入り、よしえの傲さは頂点に達していた。

「今のお節料理はね、嫁のあなたが全部作りで箱に詰めなさい。既製品を買うなんて抜き、うちのでは許されませんからね」

仕事納めを終えたから晦にかけて、私は買いしから仕込みまで、きりで台所にち続けた。黒豆を煮て、伊達巻を焼き、筑煮を炊き、数の子を塩抜きする。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: