"四万円を断った朝" 第4話
拾われた男
正式な辞令がたの午には、社内のほとんどが私のをっていた。
肩きは「社特別補佐」。
しかし担当部署も部もない。
社のある階につだけ机を与えられ、のような資料を置かれた。
秘の結由依は、最初から私を歓迎していなかった。
「社は会議です」
彼女は阪事業の資料を私の机に置いた。
「過分の議事録、発注記録、検査報告、輸送記録。必なものはここです」
「説は?」
「特別補佐なら、自分で考えてください」
「親切ですね」
「会社には、端から拾われたに研修するほど暇なはいません」
私は苦笑した。
噂は彼女より骨だった。
湯では、わざと聞こえる声で言われた。
「借持ちらしいぞ」
「社のを直して取り入ったって?」
「若い女社も趣が変わったな」
「どうせ副社への当て馬だろ」
田征副社。
会代から会社にいる古参で、財務と建設事業の両方を掌握している物だった。
創業者である耶の父が急してから。
歳で社職を継いだ耶に対し、田は表面は従順だったが、役員会では事実もうつのになっているらしい。
私が入社して目。
湯での部が話しているところへくわした。
「か持てばいい方だ」
「社も何を考えてるんだかな。
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元現監督の借男だぞ」
は私に気づき、顔を変えた。
私はコップへを入れながら言った。
「次からもうしきな声でお願いします。壁越しだと聞き取りにくいので」
は何も言えなかった。
私は笑って席へ戻った。
腹はった。
だが、昔のように殴りっても何も変わらない。
数字を読む。
今の私にできるのはそれだけだった。
阪事業は数百億円規模の物流施設建設。
類は驚くほどきれいだった。
発注価格。
納品記録。
検査。
承認。
全てに複数の署名があり、監査も通っている。
だからこそ自然だった。
悪い仕事ほど、どこかに雑さがある。
完璧すぎる類は、誰かが完璧に見せようとした痕跡でもある。
私は輸送記録と過の気象データ、現の報を照らしわせた。
第週。
阪は数激しいに見われ、基礎事が止まっている。
現報にも「コンクリート打設止」「止」とある。
ところが同じ期、請けの物流からは量のセメント材と鉄筋を「現仮置きへ輸送した」と請求されていた。
私は眉をひそめた。
ので使う予定のないセメント材を量に仮置きする。
まともな現ならやらない。
湿気を吸えば商品価値を落とす。
にもかかわらず、輸送費だけで数千万円。
さらに部の材料は「品質劣化による廃棄」
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として処理されている。
私は別のファイルをいた。
物流の倉庫用。
所者は、田副社の妻の弟が経営する産会社だった。
線がつながった。
材料そのものを増しし、しない輸送と保管を発させ、会社からを抜いている能性がある。
私は夜を過ぎても席をてなかった。
耶は何も指示しない。
こちらへ目も向けない。
試しているのだろう。
私が自分でどこまでたどり着くか。
翌朝、定例役員会があった。
私は耶の許を得て、資料を持ち込んだ。
田副社は丸い鏡の奥から私を眺め、穏やかな笑みを浮かべた。
「君が噂の特別補佐ですか」
「です」
「若いがしい点を持ち込むのは良いことだ」
声は柔らかい。
しかし目は笑っていなかった。
阪事業の報告へ移った、私はちがった。
「つ確認があります」
会議が静まった。
私はの輸送記録を示した。
仮置き。
異常な保管費。
親族企業。
数字だけ見れば分な違があった。
ところが私の説が終わると、田はさく笑った。
「それだけですか?」
別資料がスクリーンに映った。
材料価格騰を避けるための倒し購入契約。
根付き倉庫への搬入記録。
第者検査会社の品質証。
所者との関係もの取引審査資料へ記載済み。
全てに判がある。
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全てがっていた。
私は言葉を失った。
田が静かに言った。
「現経験者は、目ののには詳しい。しかし企業経営では契約と記録が全てです」
何かが笑った。
そのだった。
耶が机を叩いた。
「もう結構です」
鋭い声だった。
彼女は私を見た。
「補佐。根拠のい推測で役員のを浪費しないでください」
私はを疑った。
「社」
「あなたを阪事業の調査からします」
田の笑みがくなった。
私は拳を握りながら資料を集めた。
信じた私が馬鹿だったのか。
社で言われた「社内の誰にも属さないが必」という言葉まで、ただの使い捨ての誘い文句だったのか。
私は会議をた。
だが、そのの夕方。
駐でタバコを吸っていた私のに、耶が現れた。
そして彼女がにした言で、私は昼の屈辱がすべて「最初の」にすぎなかったことをる。
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