"誤爆LINEの夜" 第1話
今夜はホテルに泊まって
妻の子と結婚してになる。
俺――秦直と子は、もともと同じ会社で働く同僚だった。部署は違ったが、入社目の社内研修でりい、半ほど付きったあと結婚した。子は昔から目つ女だった。派な格好をするわけではない。それでもった顔ちと当たりのよさで、社内では男女を問わずりいがかった。
付きい始めた頃、俺は何度かになったことがある。
こんな綺麗な女が、本当に俺を選ぶのだろうか。
けれど子は、そのたびに笑っていた。
「直ってと配性なんだね。私はそんな器用じゃないよ」
結婚して、、と過ぎるにつれ、そのは消えていった。休には緒に買い物へき、互いの誕にはしいで事をした。子供はいなかったが、仕事の忙しい俺たちには俺たちなりの活があるとっていた。
なくとも、あのまでは。
そのは翌朝から方張の予定が入っていた。
午過ぎ、俺が仕事を終えようとしていると、先に退社した子からLINEが届いた。
《お疲れさま。まだ会社?》
《今終わったところ。は朝の幹線》
そう返すと、すぐに話がかかってきた。
「朝、何?」
「台。からだとには起きないとな」
「変じゃん。それなら今、駅のホテル泊まったら?」
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子の提案に、俺はし笑った。
「もったいないだろ。までもかからないし」
普段なら子も同じことを言うはずだった。
俺たちは決して活に困っているわけではないが、宅ローンもある。子自、旅先で千円いホテルを選ぼうとすると「寝るだけなのにもったいない」と止めるような女だ。
ところがそのに限って、妙にく勧めてきた。
「朝いんでしょ? 寝で張くほうが嫌じゃない?」
「まあ、そうだけど」
「駅なら朝も楽だし。たまにはいいじゃん」
声がるかった。
るすぎる、とじた。
だが、その点では疑う理由など何もなかった。
「じゃあ、そうするかな」
俺が言うと、話の向こうで子がほっと息を吐いたように聞こえた。
「うん。それがいいよ」
「なんでおがそんなに嬉しそうなんだよ」
冗談のつもりで言った。
子は瞬黙り、それから笑った。
「だって、朝からバタバタされると私も起きちゃうもん」
その答えに、俺もく考えなかった。
会社をたあと駅のビジネスホテルに入り、チェックインを済ませた。部へがってスーツの着を子へ掛けたところで、俺は仕事用の資料が入ったいファイルを自宅に置いてきたことに気づいた。
翌の会議で必なものだった。
データ自体は会社のサーバーにもある。
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だが、メモをき込んだの資料だけはに置いたままだ。
「最悪だな……」
瞬迷ったものの、自宅まではで分々だった。
取りに戻るしかない。
ホテルをようとした、スマートフォンが震えた。
子からLINEだった。
さっきまで普通にやり取りしていたため、俺は何気なく通をいた。
そこには、こんな文章が表示されていた。
《今旦いないから、いつもみたいにイチャイチャしよ♡》
俺は画面を見たままけなかった。
数秒、さらに通。
《ホテル泊まるって。絶対帰ってこないよ》
その直。
つのメッセージがて続けに削除された。
そして秒もしないうちに、子からしいメッセージが届いた。
《ごめん! 友達とのグループLINEに送るやつ違えた!》
俺はホテルの廊で、しばらくスマートフォンを握ったままっていた。
友達とのグループLINE。
そこに「旦いないからイチャイチャしよ」と送るのか。
しかも――
《いつもみたいに》
あの文字だけが、のに残った。
度の来ではない。
そうった瞬、今まで何ともっていなかった子の言葉が、全部別のを持ち始めた。
どうして今に限って、あれほどホテル宿泊を勧めたのか。
どうして俺が泊まると答えた瞬、あんなに嫌がよくなったのか。
そして何より――。
子は、いったい誰をへ呼ぼうとしているのか。
俺はホテルのカードキーをポケットへ戻した。
自宅へ帰る理由が、資料を取りにくためだけではなくなっていた。
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