"誤爆LINEの夜" 第4話
「あっくん、もうすぐ着くから」
幸いグラスは割れなかった。
いラグのへ落ち、のワインだけが赤い染みを広げた。
子は拾おうともしなかった。
青もかない。
俺はの顔を順番に見た。
「説して」
子が唇をいた。
「違うの」
俺はわず笑いそうになった。
こういう、は本当に最初に「違う」と言うらしい。
何が違うのか尋ねるから。
「何が?」
「その写真は……に会社のみんなで来たの」
「みんな?」
「そう。み会のあと何かで」
俺は写真を拡した。
写っているのは子と青だけ。
背景にはテーブル。
そこに並んでいるグラスもつだけだ。
「のは?」
「先に帰ったの」
「じゃあなんででこんな写真撮ってるの?」
子は答えない。
青が突然ちがった。
「秦さん。今は帰ります」
「どうぞ」
俺は止めなかった。
ただし続けた。
「帰るに、つだけ確認してください」
青が振り向いた。
俺は会社用のスマートフォンを取りした。
画面には子とのトークが残っている。
表示名は「あっくん」。
《もう来る途?》
《今も同じ格好する?》
そして写真。
青の顔が変わった。
「それ……」
子が画面を見た瞬、きく息を呑んだ。
「なんで直が持ってるの?」
「スマホ壊れたんだろ、あっくん」
俺が言うと、子は理解したらしい。
目を見いた。
「まさか……」
「そう。さっき話してた『あっくん』、俺」
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子は子へ崩れるように座った。
「最」
を疑った。
俺が最らしい。
「何が?」
「のふりして騙すなんて」
わず声がた。
「ああ、騙したよ」
俺は写真を指した。
「でも俺が送らせたのはこの写真だけだ。最初のLINEを俺に誤爆したのは誰だ?」
子は黙る。
「俺をホテルに泊めようとしたのは?」
沈黙。
「青をに呼んだのは?」
青がい声で言った。
「本当にすみませんでした」
俺は彼を見た。
「いつからですか」
「……」
「半?」
の表がわずかにいた。
その反応だけで分かった。
もっとい。
俺は急に吐き気がした。
「?」
青は目を伏せた。
子がをいた。
「そんなに続いてない」
「じゃあ何か?」
「……」
「今まで何回来た?」
答えない。
俺はのを見た。
自分のなのに、急にらない所のようにじた。
俺が座っていたソファ。
毎使っていた卓。
寝。
呂。
何もかもが気持ち悪かった。
「青さん」
俺は言った。
「今は帰ってください」
「直!」
子が叫んだ。
「青さんは悪くないの!」
俺はわず子を見た。
その言が、今までで番きつかった。
夫の目ので、妻が倫相を庇った。
青も驚いたように子を見た。
「子、やめろ」
「だって……」
俺は静かに言った。
「分かった。だったらとも今はてって」
子の顔が張った。
「ここ私のでもあるでしょ」
「名義は俺だけど」
宅ローンも俺名義。
も、ほぼ俺の貯からした。
もちろん夫婦の財産については、法律そんな単純な話ではないことくらい分かっている。
それでも今夜、同じで寝ることだけは無理だった。
「ホテルでも実でも好きなところへって」
子が何か言いかけた。
その、俺の会社用スマートフォンが震えた。
「あっくん」として送った最のメッセージに対する返信だった。
《く来て。もう待てない》
数分に子自が送った文章。
とも、その画面を見た。
子は完全に言葉を失った。
青はさく息を吐いた。
俺はそこで初めて悟った。
今夜問い詰めて終わる問題ではない。
このがどれだけく俺を騙してきたのか。
何を隠しているのか。
俺は全部確認しなければならない。
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