"誤爆LINEの夜" 第5話
「もう終わってる関係だから」
青が帰ったあと、子はしばらくリビングからかなかった。
俺は寝へき、翌の張に必な資料だけを鞄へ入れた。
クローゼットを見る。
子の。
俺のスーツ。
結婚式の写真が入った箱。
全部昨までと同じ所にあるのに、俺にはもう以と同じ物には見えなかった。
リビングへ戻ると、子が泣いていた。
けれど俺を見た瞬、その涙を拭った。
「話そう」
「今?」
「今じゃないと嫌」
俺はったまま子を見た。
「何を?」
「全部」
「じゃあ教えて。いつから?」
子はし黙ったあと、
「かくらい」
と言った。
俺はスマートフォンの写真をいた。
半の付。
子へ向ける。
「これは?」
子の顔が固まる。
「……かくらい」
「今かって言ったよね」
「ちゃんと付きうようになったのがかなの」
「じゃあそのは?」
「何回かんだだけ」
写真には青が子の頬へ顔を寄せている。
で。
だけで。
それを「んだだけ」と呼ぶらしい。
俺は反論しなかった。
その代わり、聞き方を変えた。
「に来たのは今で何回目?」
「回」
俺は玄関をいした。
青の靴はあまりにも自然に置かれていた。
そして青は「それどこ置いたっけ。寝じゃない?」と言った。
度目のが、寝に何があるかっているだろうか。
「子」
「何?」
「今から俺に嘘つくたびに、婚の話が歩ずつむとって」
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「そんな……」
「俺は本当のことだけ聞きたい」
子はまた泣き始めた。
「寂しかったの」
た。
予していた言葉だった。
「直、仕事ばっかりだったじゃん」
「同じ会社だから俺の勤務分かるよね」
「にいても仕事の話ばっかり」
「じゃあ婚してから青と付きえばよかった」
「そんな簡単な話じゃないよ!」
子が声をげた。
俺は疲れていた。
る気力すらなくなっていた。
「簡単だよ」
そう言った。
「既婚者のまま別の男をに入れるより、ずっと簡単だ」
子は俯いた。
やがてさな声で、
「もう終わってる関係だから」
と言った。
俺は顔をげた。
「何が?」
「青とは。本当はもう終わってたの」
「今来てたけど」
「今で最にしようとってた」
あまりにも都がいい。
誤爆したLINEには《いつも通りイチャイチャしよ》といてあった。
最の別れを話すが使う文章ではない。
「だから、お願い」
子は俺の袖を掴んだ。
「会社には言わないで」
「言うつもりない」
「本当に?」
「夫婦の問題を会社に言いふらす趣はない」
子は目に見えて堵した。
「ありがとう」
俺はその表を見て、し奇妙にじた。
婚するかもしれない。
庭が壊れるかもしれない。
それなのに彼女が番恐れているのは、会社にられることなのか。
「慰謝料は?」
俺が聞くと子は顔をげた。
「え?」
「俺が黙って全部忘れるとってる?」
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「でも……」
「青にも請求する」
「待って!」
急に声が変わった。
「青は関係ないじゃん!」
度目だった。
また青を庇った。
俺ので、何かが静かに終わった。
「分かった」
俺は子のをした。
「の張はく。帰ってから弁護士に相談する」
「婚するってこと?」
「今は決めてない」
本当は、ほぼ決めていた。
ただ、ここで全部言う必はないとった。
俺は再びホテルへ向かうため玄関へ歩いた。
そのだった。
ピンポーン。
インターホンが鳴った。
子の体がびくりと震えた。
俺はち止まる。
「誰?」
「分からない」
子はらかに揺していた。
インターホンがもう度鳴った。
そして玄関のから、男の声が聞こえた。
「あーちゃん?」
俺と子の目がった。
声の主は、さっき帰ったはずの青ではない。
別の男だった。
「あーちゃん、俺。けてよ」
俺はゆっくり子を振り返った。
「子」
妻の顔から、完全に血の気が消えていた。
「……青だけじゃないのか?」
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