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"孫に「ここに居たければ黙れ」と言われた私が、翌朝家を出た理由" 第9話

私が決めること

桐野理弁護士の事務所は、駅の古いビルの階にあった。窓際の棚には分い法律が並び、机の端にはさな観葉植物が置かれていた。私は千鶴と並んで座り、昨夜のことだけでなく、の同居と銭援助の経緯を話した。桐野は話を急がせず、分からない付だけ確認しながらメモを取ってくれた。

「まず、全を優先しましょう。お孫さんが襟元をつかんで壁へ押しつけたことは、軽く扱ってよい為ではありません」。桐野は病院の記録と写真を見て、警察や自治体の相談窓へつなぐ方法も説した。族だからといって暴力をする必はないこと、再び会うならきりにならないことを、私はつずつき留めた。

次に桐野は、の登記報を確認した。「所者は幸子さんですね。息子さんご夫婦が将来の相続を期待していても、今すぐを譲る義務はありません」。私はそこで初めて、胸の奥に溜まっていた息を吐いた。分かっているつもりでも、族から何度も「いずれは孝太の」と言われるうち、自分の判断に自信が持てなくなっていたのだ。

「援助については、何を誰との約束で支払っているか理しましょう。すでにじた契約の支払いと、今の任の援助は分けて考える必があります」

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。桐野は私が作った覧を見て、塾代と活費の振り込みはまず止のを確に伝え、学や通信会社との契約関係は個別に確認するよう勧めた。蓮斗の学びを突然断ち切ることが目ではないと伝えると、桐野もうなずいた。

「私は、蓮斗に学をやめてほしいわけではありません。でも、何も言わずにし続けることも、もうできないんです」。私はそう言って、毎の活費援助を次回から止めること、塾とスマホの契約を理することを決めた。学費については、保護者である孝太たちが学と相談できるよう、これまでの支払記録を渡すことにした。支援制度の申請や分納の相談先も、桐野が面にまとめてくれた。

のことは、もっとがかかった。私が売却を希望すると、桐野は「ご族がんでいる以、すぐていってもらえるわけではありません」と説した。まず退について協議し、できる期限や荷物の扱いを文にすること、それまでは勝に鍵を替えたり荷物を処分したりしないことを確認した。私はか程度の猶予を提案したが、それも相との話しいが必だと理解した。

「私、息子たちに悪をしたいわけじゃないんです。ただ、あのでまた緒に暮らすことはできません」。私がそう言うと、桐野はしだけ声を柔らかくした。

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「でしたら、その気持ちをにめましょう。何を取り戻すかは、幸子さん自が決めていいんです」。私は弁護士への依頼に署名し、連絡窓を事務所へ本化することにした。

帰り、千鶴は私の歩幅にわせてゆっくり歩いた。「幸子、顔がし変わったわね」と言われ、私は首をかしげた。「怖くないわけじゃないの。でも、何をしたらいいか分かったから」。そう答えると、千鶴は何度もうなずいた。私は駅のでさないを買い、夫の写真のそばへ飾ることにした。

桐野は座の引き落とし先を変更する際、未払いをまないよう契約名義と請求期を確かめるよう注した。私はその説を聞いて、ただおを止めればよいわけではないと理解した。孝太たちに必な報を渡し、自分の責任と相の責任を分けることが切だった。

そのの夕方、桐野から話が入った。真理恵がの名義変更について相談予約をしていた事務所へ、私自は依頼していないと伝える準備ができたという。私は「お願いします」と答え、携帯話を置いた。これからは、私が黙っていることを同だとわせない。そう決めた最初の歩だった。

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