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"孫に「ここに居たければ黙れ」と言われた私が、翌朝家を出た理由" 第10話

空の弁当箱

私がをた朝、蓮斗はいつものに階段をりてきた。炊飯器のランプが消え、台所に噌汁の匂いがしないことに気づいたが、最初は私が寝坊したとったらしい。蔵庫をけても弁当箱はなく、卓には枚の便箋だけが置かれていた。「お世話になりました。幸子」。その文字を見ても、蓮斗はすぐには事態を理解できなかった。

真理恵は便箋を読み、何度も私の携帯話にかけた。つながらないと分かると、「ちょっとかけただけでしょう。帰ってきたら話せばいいわ」と言い、蓮斗にコンビニで昼を買うように伝えた。孝太は無言で便箋を持ち、夜に私が病院へくと言ったときの自分の返事をいしていた。母親がていくほど追い詰められていたことを、ようやく考え始めたのだった。

数、桐野から族宛てに面が届いた。私が当面帰宅しないこと、連絡は代理を通すこと、今の任の銭援助を終すること、居の扱いについて話しいを求めることが記されていた。真理恵は面を読みめるうちに声を荒げた。「族のことに弁護士なんて。お母さん、私たちを脅してるつもりなの」。孝太はそれを取りげ、私の名が署名された最のを何度も見返した。

「脅しじゃないだろ。母さんは、もう緒にめないと言ってるんだ」

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孝太がそう言うと、真理恵は驚いた顔をした。これまで夫は、母親との揉め事になると決まって自分の側にってくれていたからだ。真理恵は「だって、今さらをろなんて言われても困るわ」と言い、学費と活費の覧を机へ広げた。私がに百万円以していたことを、彼女はっていた。けれど、私がその支を止める能性だけは考えていなかった。

蓮斗のスマホも、すぐに使えなくなったわけではなかった。契約の名義と支払いを確認する続きが始まり、次の更までに両親が契約を引き継ぐか、しく契約する必があると通された。塾についても、私が支払うのは当分までと伝えられた。蓮斗は初めて、毎にしているものの費用を誰が負担していたのかを具体な数字でった。

「父さん、俺の学費って、そんなにばあちゃんがしてたの」

孝太はすぐに答えられなかった。自分の料から払っているつもりだった費や交通費も、の費も、母親の座から引き落とされていたものがなくない。真理恵に計を任せきりにし、母親へ礼を言うことさえ妻任せにしてきた。通帳をくたびに、孝太は自分がらなかった額のきさに顔を曇らせた。

さらに、の名義変更の相談予約についても連絡が来た。

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所者本のが確認できない以、名義移転を提とした続きはめられないという、ごく当然の説だった。真理恵は「ただ相談するだけだったのに」と繰り返したが、孝太は「母さんに黙っていたのが違いだった」と言った。蓮斗はそのやり取りを聞きながら、あの夜、友達に見せた相談メモをいしていた。

孝太は、母親の部の戸をけた。押し入れには使い慣れた布団が残り、机のだけがきれいに片づいていた。いつも母親が着ていたカーディガンも見当たらず、単なる散歩ではないことが分かった。孝太は引きしに触れず、戸を閉めた。今まで母親の気持ちを尋ねなかった自分が、ここへ来て勝に私物を調べることはできなかった。

学から帰った蓮斗は、いつもなら私が用していたおやつのない台所でち尽くした。階の自分の部にがろうとすると、階段のゲートが目に入った。あれを付けたのは母親だが、してほしいと言ったことは度もない。蓮斗はゲートをけ、しばらくそのにっていた。ので閉めされていたのは誰だったのか、初めて考えたのだった。

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