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"孫に「ここに居たければ黙れ」と言われた私が、翌朝家を出た理由" 第16話

賃のある暮らし

転居先が決まったのは、私がをてからか半ほどたったころだった。孝太たちが選んだのは、駅からバスで分のところにある階建ての賃貸宅だった。取りはLDKで、蓮斗の個はなくなる。賃と共益費をわせると毎万円を超え、敷や引っ越し代も必だった。孝太は産会社から受け取った見積を卓に広げ、初めて自分たちだけの暮らしの費用を数えた。

「こんなに払うなら、今のにいたほうがいいじゃない」

真理恵は何度もそう言った。孝太は以なら、妻の嫌を損ねないように母親へ相談しただろう。けれど今回は「今のは母さんのだよ」と繰り返した。「俺たちが借りるの賃は、俺たちで払う。母さんがしてくれた分を、これからも当てにするのはやめよう」。真理恵は返事をせず、見積の端を指で折り曲げた。

蓮斗はしい取り図を見て、リビングの隅に置く予定のベッドを指さした。「俺、ここで寝るのか」。孝太は「しばらくはな。机は窓際に置けるように考える」と答えた。蓮斗は満を言いかけたが、み込んだ。祖母のでは、階の広い部をで使い、掃除も洗濯もしてもらっていた。あれは自分に当然与えられるものではなかったのだ。

孝太は計を見直し、使っていない料サービスを解約し、分割払いの残額を覧にした。

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真理恵にも、買い物の支を隠さず話してほしいと頼んだ。彼女は最初、監されているようで嫌だと反発したが、今までのやり方では暮らしていけないことは分かっていた。はいをかけて話しい、計を毎緒に確認することにした。

学の学費についても、孝太は担当者と相談をねた。利用できる支援制度は世帯の状況や申請期によって異なるため、すべてが解決したわけではない。それでも分納の続きがみ、蓮斗がすぐに学を変えなければならない状況は避けられた。孝太は帰宅してそのことを伝え、「これは父さんと母さんの責任だから、おは勉を続けろ」と言った。

蓮斗はその夜、台所で洗い物をした。真理恵が「そんなことしなくていい」と言うと、「ばあちゃん、ずっとやってたんだろ」と答えた。真理恵はを止め、息子の背を見た。蓮斗は皿を枚落としそうになり、慌てて両で支えた。簡単そうに見えた事にも、慣れないにはがかかる。私が毎朝に起きていた理由を、あの子はしずつり始めていた。

私は桐野から転居先が決まったと聞き、ほっとした。息子族がむ所を失うことは望んでいなかったからだ。ただ、孝太たちの計が厳しいと聞いても、もう財布をこうとはわなかった。

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困ったときに自分たちで相談し、暮らし方を変えることは、族を捨てることとは違う。私はようやく、その違いを言葉にできるようになっていた。

孝太はしい部の寸法を測り、蓮斗の勉机が入る位置を何度も確かめた。自分が子どものころ、母親が狭い台所で宿題を見るための所を作ってくれたことをいした。が広いから族が落ち着くわけではない。限られた所でも、互いに声をかけて暮らすことからやり直すしかないとった。

夜、千鶴と夕をべながら、私は「蓮斗の机は置けるのかしら」とつぶやいた。千鶴は箸を置き、「気になるのは当然よ。でも、そこから先は孝太さんたちが考えることね」と言った。私は笑ってうなずいた。配することまでやめる必はない。ただ、配のたびにおをしたり、して戻ったりする必もないのだ。

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