みかん小説
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"花嫁のいない結婚式" 第4話

空港へのハイウェイとえた記

ホテルの寄せには、請通り個タクシーが台、アイドリングの排気音をく響かせて待していた。 駆け寄ってきた運転が、私のただならぬ雰囲気を察したのか、無言でトランクをけ、型のスーツケースを素く積み込んでくれた。 部座席に滑り込み、いドアが閉まる。

「どちらまで向かいましょうか」 運転がおずおずとバックミラー越しに尋ねてくる。 私は窓のを仰いだ。オレンジのナトリウム灯に照らされたリゾートホテルの壁が、たい夜のに聳えっている。、あの所で私は「理の妻」という役柄を与えられ、台ので殺されるはずだったのだ。 私はをしっかりと見据え、淀みない声で告げた。

「羽田空港の国際線ターミナルまでお願いします。速を使って、番いルートで」

「かしこまりました。首都湾岸線へ入りますね」

タクシーが滑らかに発し、華やかなホテルのが背へと猛スピードでざかっていく。 私の膝のには、部から持ちしたあのステンレス製の保温容器が置かれたままだった。 運転がちらりとミラー越しに目をやり、気遣わしげに声をかけてくる。 「お客様、夜遅くまで変ですね。お夜のお弁当ですか?」 「……ええ。そんなところです」

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私は自嘲の笑みを浮かべ、めかけた蓋にそっと指先を滑らせた。 もはやこれは、彼をいやって作ったの証などではない。きを失い、私の愚かさと盲目さを嘲笑うためだけに残された、れな残骸だった。

私は内の暗がりのでスマートフォンを操作し、国際発本部の社用携帯へ本のメッセージを打ち込んだ。

『夜分遅くに変失礼いたします。商品企画部の川由です。先ご提示いただきましたシンガポール支社への赴任の件、もしまだ席が空いているのであれば、非とも私に担当させていただけないでしょうか。からでも現へ向かう覚悟がございます。勝なお願いとは々承しておりますが、ご検討のほど何卒よろしくお願い申しげます』

送信ボタンを押す指先は、驚くほど静止していた。 画面の青いを見つめていると、送信からわずか分、スマートフォンのバイブレーションが激しく座席を震わせた。 表示された名は、本部本だった。 私は息をえ、通話ボタンをスワイプした。 「はい、川です」

『川君か! こんなに驚いたよ。……君、は結婚式じゃなかったのかね?』 本部の困惑と警戒の入り混じった声が響く。当然の反応だった。 「結婚は、すべて取りやめました。私の方な判断ではなく、これ以婚姻関係を継続することが法に能な事態が発したためです。

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警察汰や銭トラブルではありません。ただ、私は私のを自分の名でき直すことを決めました」

話の向こうで、本部が息を呑む音が聞こえた。 『……そうか。君がそこまで言い切る以、相応の理由があるのだろう。プライベートにく踏み込むつもりはない。結論から言おう。あのポストは、まだ正式な任が決まっていなかったんだ。君のを継ぐ予定だった候補者が先週辞退してね、私の方でもを抱えていたところだった』

暗ので、目のを塞いでいた巨な壁が、ガラガラと音をてて崩れっていくような覚を覚えた。

『の朝番で役員会に緊急議として諮る。私の推薦枠を使えば、続きは最で済むはずだ。……君は今、どこにいる?』 「羽田空港へ向かっています。朝番の便で国し、現で待するつもりです」 『よし。現法の代表には私から直接連絡を入れておく。仮の宿泊先と執務スペースの配を急がせよう。川君、待っているぞ。君の作った商品を、アジアのに響かせてみせろ』

「……はい! ありがとうございます!」

話を切った瞬、窓のを流れる暗黒ののに、京湾の帯の無数のプラントの灯が宝のように煌めいた。 私は誰かの操り形ではない。私は、川由というの専職であり、自分のでを踏みしめてきる権利を持ったなのだ。

ハイウェイの継ぎ目を越えるタクシーの振が、私を過から逆の速度で引きしていくのをじていた。

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