みかん小説
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"花嫁のいない結婚式" 第14話

内容証の撃

翌、曜の午。 京・千代田区にあるホテルチェーン『グランドリゾート・ホールディングス』の本社ビル。 企画発部のフロアは、週半ばの業務に追われる社員たちのキーボードの音で満たされていた。 そのフロアの入に、黒い腕章をつけた郵便局の配達員が現れたのは、午分のことだった。

「失礼いたします。企画発部の黒田瞬様へ、本限定受取の内容証郵便の配達に参りました」

フロアの線が斉に入へと注がれた。 デスクでパソコンに向かっていた瞬が、怪訝そうに顔をげ、ちがった。 「あ……はい、僕ですが」 受領印を押して受け取ったのは、本郵便の厳な封緘が施された、ずっしりとい角形号の封筒だった。 差の欄には、太い活字でこう印字されていた。 【百法律事務所 弁護士・佐藤真由美】 【被通:黒田 瞬 殿】

瞬の顔から、サーッと血の気が引いていった。 「おい黒田、なんだそれ? 弁護士からだぞ……?」 隣の席の同僚が審そうに覗き込む。 「い、いや……何でもない! ちょっとした民事の続きの類だよ!」 瞬は狼狽しながら封筒を胸元に抱え込み、逃げるようにフロア奥の個ミーティングルームへと駆け込んだ。

ガタガタと震えるでペーパーナイフを入れ、封筒を引き裂く。

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から現れたのは、裁判所の準備面と見紛うばかりの、然としたフォーマットで作成された数ページに及ぶ内容証通だった。

『――冠省。当職は、川由氏の正当な代理として、貴殿に対し本面をもって厳に抗議し、以の通り法な請求を通いたします。 貴殿は、婚約者である由氏に対し、の元婚約者・野織氏の結婚計画を隠蔽したまま流用し、由氏を「代わり」として扱っていた事実、ならびに式の直まで由氏に虚偽の事実を告げて野氏と複数回の貞密会をねていた事実が、客観証拠によりとなりました。 これらは民法のな法為であり、婚姻予約の破綻に関する全責任は貴殿に帰属します。 よって、式より請求されているキャンセル料百万円の全額を貴殿が負担すること、ならびに社内および共通のに対して流布した「由氏がキャリアのために逃した」という悪質な虚偽事実の即撤回と謝罪文の掲示を求めます。 期限内に誠ある回答なき、直ちに管轄裁判所へ損害賠償請求訴訟を提起いたします』

「な……んだと……!?」

瞬の喉から、掠れた鳴が漏れた。 添付されていた証拠資料の束。 そこには、彼が必に隠し通していた青いノートの記述と完全に致する式の相談シート、タヒチ旅のアカウント履歴、そして青のフレンチの領収が、解像度の画像で並んでいた。

「なんで……なんで由がこれを持ってるんだ!? あの夜、部ので聞いてただけじゃないのか!?」 瞬はを抱え、脂汗を垂らしながら子から転がり落ちそうになった。 彼が「何もらない従順な形」と侮っていた元婚約者は、ただ逃げたのではなかった。 彼がこれまで積みげてきたすべての嘘を完全に包囲し、逃げのない檻のへ彼を叩き込むための爆弾を、完璧な精度で仕掛けていたのだ。

さらに、追い討ちはそれだけにとどまらなかった。 同じ刻、横浜内の黒田の実にも、まったく同じ内容証郵便が配達されていたのだ。 「瞬! 体どういうことなのこれは!!」 息子の社用携帯に狂ったように話をかけてきた母親・美津子の絶叫が、受話器から鼓膜を破らんばかりに響き渡った。

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