みかん小説
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"花嫁のいない結婚式" 第17話

母たちの対決

野織の決定な陳述が突きつけられたことで、瞬の雇った代理弁護士は完全に旗を揚げた。 依頼が真っ赤な嘘をつき、自らの倫紛争と虚偽の事実で弁護士をも欺いていたことが発覚した以、これ以争えば弁護士自の懲戒問題に発展しかねなかったからだ。 「折半の求を取りげ、全額負担で示談に応じるよう説得します」と相方弁護士から連絡が入ったまさにそのの夕方―― 本の私の実に、最の見苦しい嵐が吹き荒れていた。

午、神奈川県郊にある川の実。 インターホンがけたたましく鳴り響き、母がると、そこには豪奢な毛皮のコートを着た瞬の母親・美津子が、老舗菓子の巨な桐箱の菓子折りを両で抱えてっていた。

「まあ、由さんのお母様! ご無汰しております!」 美津子は、先の話での罵声を完全に忘れたかのような、取って付けたような満面の笑みを浮かべて玄関にがり込もうとした。 「あのはお互いに気がっていて、し言葉が過ぎましたわねえ。若いの些細なすれ違いですもの、親がに入って丸く収めましょうとって伺いましたのよ。ほら、座の名の羊羹ですの」

母は、敷居を跨ごうとする美津子のを、たい線でピシャリと制した。

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「黒田さん。何の御用でしょうか」

「何のって……決まってるじゃないですか! キャンセル料の百万円のことですよ!」 美津子は急に声を潜め、れっぽい猫なで声をした。 「あれね、弁護士さんなんか通さずに、親同士の話しいで綺麗に半分ずつしいましょうよ。由さんだって、式の当に急にいなくなったんですもの、半分は責任があるでしょう? うちの瞬もく反省してますし、由さんがシンガポールから帰ってきたら、改めて内輪だけでさなお式を挙げ直せば――」

「お引き取りください」 母の凛とした声が、美津子の言葉を容赦なく遮った。 母は玄関の飾り棚から、彩子が事にプリントアウトして届けておいた、あの『系列照表』と『野織の陳述』の束を取りし、美津子の先へと突きつけた。

「これは……何ですの?」 「あなた方の息子さんが、うちの娘を『代わり』と呼び、元婚約者と密会をね、式やハネムーンのプランまで過の女のものを使い回していたかぬ証拠です」 母の差しは、刃物のように鋭かった。 「うちの由は、あなたの息子さんのために、自分のキャリアを度は捨てたのですよ。その娘の真を蹴にし、代わり呼ばわりしておいて……どの面をげて『半分せ』などと言えるのですか?」

美津子は陳述の文字に目を落とし、みるみるうちに顔面を潮させた。

「な、なによこれ! こんなの、誰かが捏造した――」 「名誉毀損で訴えられたいのですか?」 母が歩踏みした。 「もしこれ以、うちの娘や私どもに無礼な接触を続けるのであれば、この類の束を、あなたの旦様のご親族や、息子さんの会社の役員全員に内容証で送付いたします。黒田の誇る『素らしいご柄』とやらが世にどう評価されるか、試してみますか?」

美津子は喉を詰まらせ、ヒッという引き攣った鳴をげた。 「さあ、その汚らわしいお菓子を持って、今すぐお帰りなさい!」 母が玄関のドアを勢いよくけ放つ。 美津子は菓子折りを取り落としそうになりながら、転げるようにしてのへと逃げしていった。 川の防線は、最の撃によって完全に勝利を収めたのだった。

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