"機内で私を叩いた息子の愛人、空港で知った私の正体" 第3話
話の愚息と偽りの凱旋
「託様、コックピットより回線をお繋ぎしております。ファーストクラスにご搭乗の様と名乗るお客様が、緊急の通話を求めておられます」
パーサーが差しした受話器をひったくるように奪い取ると、は瞬でかい被害者の声を作って泣き叫んだ。
「もしもし、託!? ううっ……私、ので酷い目に遭わされているの! ファーストクラスにいる見らぬ老いぼれ女に絡まれて、席を譲るようお願いしたら、いきなり罵倒されて暴されたのよ! 顔は腫れがって、お腹の赤ちゃんまで激しく痛むの……! 怖くてたまらないわ!」
受話器のスピーカーから、聞き慣れた息子の鳴り声がキャビン全体に響き渡った。
『なんだと!? 俺の女にをした奴がいるのか!? どこのどいつだ、俺の縄張りであるメトロ航空ので、俺の婚約者と未来の跡取りを虐める奴は!』
託の声だった。違いなく、玉が塩にかけて育て、に会社を預けた実の息子だった。
玉は無言のまま、たい線で受話器を見つめている。
は勝ち誇った顔で、玉を指差しながら受話器に甘えた声を吹き込む。
「その老いぼれ女、私が託の妻になるって言ったら『棒猫』って侮辱したのよ! 乗務員もグルになって私をいじめて……託、お願い、この女たちを全員クビにして!」
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受話器の向こうで、託が激昂して息を荒げた。
『パーサー、聞こえているな! は俺の最の婚約者だ! 彼女を傷つける奴は、この託を敵に回したと得ろ! その無礼なババアを今すぐエコノミーの最列に引きずりろし、に座して謝罪させろ! 着陸したら俺が警察を呼んで、全員タダじゃ済まさないからな!』
は受話器を突き返し、角を醜く吊りげた。
「聞いたでしょう!? 託様が責任を取るっておっしゃったのよ! さあ、乗務員、何突っってんのよ! このババアの腕をねじりげて、私のに跪かせなさい!」
乗務員たちは青ざめ、きが取れずにいた。目ので毅然と座る齢の女性が放つ圧倒な威圧と、社直々の絶対命令の狭で完全に直している。
玉はゆっくりとちがった。
乱れたを正すこともなく、ただ歩、のへと踏みす。
「託」
玉がく、凛とした声で発した。
受話器の向こうが瞬、自然に静まり返った。
『……え? 今、誰の声だ……? 母さんに……似て……』
「託、あなた、誰のおかげでその社の子に座っていられるとっているの」
『ひっ……!? ま、母さん……!? いや、そんなはずはない! 母さんの帰国はのはずだ! おい、、その女は誰だ! 誰が母さんの真似をしてるんだ!』
託の狼狽した声が漏れ聞こえた瞬、は嘲笑して通話ボタンを乱暴に切断した。
「ハッ! 往際の悪いババアね! 託のお母様のフリをしてそのを切り抜けられるとでもったわけ!? 会はね、プライベートジェットで凱旋帰国されるのよ! あんたみたいな般の民に乗ってくるはずがないでしょ! 嘘をつくのも概にしなさい!」
は玉の胸元にを伸ばし、襟元から覗いていたペンダントを引きちぎろうとした。
「そのっぽい首飾りも寄越しなさいよ! 私の慰謝料の部にしてやるわ!」
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