みかん小説
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"空の米びつと一合の嘘" 第5話

台帳の裏側

がけきらない夜け、勇は正吾と緒に集積所の裏へった。正吾はこっそり持ってきたに、数か分の荷の発刻をいていた。「のだけやない。このつの配所へく分も、青い紐や」。そのには千枝の妹がむ区の米もあった。勇は目を通した。袋が度古い乾物倉庫へ寄ると、で米がしたがなっていた。

「何をしてるんや」。背からい声がした。鶴田だった。勇と正吾が振り返ると、運転はを倉庫の脇へ押しやった。「物を盗むつもりなら、警察へ突きす」。勇は逃げなかった。「あんたが運んでる袋、途で何してるか見せてくれ」。鶴田の顔から血の気が引いた。「おの母親は分かってるはずや」。その言に勇はを疑った。

鶴田はしばらく黙っていたが、突然鳴った。「わしが悪者になったら済むんか!」。そしての荷台を指さした。「袋のの青い紐は、ここでつけとるんやない。の帳から来るにはもうついとる。あの倉庫へ寄れ言うのも、わしの考えやない」。勇が「誰の指図や」と聞くと、鶴田は首を横に振った。「言うたら、うちの娘が働いてる堂にまで迷惑がかかる」

昼、勇は母と千枝、をに、納入の控えを枚ずつ並べた。町内会館を借りたのは千枝だった。

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軒くの受者が集まり、部の奥には配事務の係員も座った。は余裕のある顔で、「運送の途でさが変わることもある。で保管するうちの損耗もある」と説した。だが勇は「毎回、同じようにずつないのはなぜです」と問い返した。

フミはそこで初めてちがった。「私がなく渡しました」。部がざわついた。「米がらんとってて、皆さんには全部受け取った印を押してもろうた。これは私の違いです」。千枝がった。「謝って済むとうてますか」。フミはをげたまま、「済むとはってません」と答えた。そして勇を見た。「息子が調べた分も、私がらんふりした分も、全部見てもろうてください」

が机を叩いた。「ここの女将が認めたんや。話は終わりやろ」。しかし勇はもう枚のを差しした。「終わりやない。ここには受け取ってへんのに印を押さされたがおる」。田所トキの名を読みげると、の表が凍った。「あのは受領してます」。勇は「本から聞きました」と返した。「誰から、何のために印を押せと言われたかも」。

係員がちがり、に別での説を求めた。千枝たちは気に勢いづいた。しかしフミだけは顔をげなかった。勇は母がまだ何かを恐れているとじた。その、奥に控えていた若い帳係の佐野が、ふいにをいた。

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「さん、納入の控えに付いてる、あの赤い訂正印はどこで押したんです」。フミはを震わせた。「配事務所で……」。佐野は首を振った。「違います。その印は、の係が持ってたものです」

が「余計なこと言うな!」と鳴る。佐野は続けた。「もうかに紛失届がてる。なのに今の控えにも押してある。誰かがなくなった印を使い続けてるんです」。会館の空気が変わった。帳面の部がから作り替えられている能性がたのだ。は子を引き、「こんな茶番に付きってられん」と言ってへ向かった。

その、戸にいた信が叫んだ。「その印、ばあちゃんのに持ってきたやつや!」。誰もけなくなった。は枚のをした。夜、トキの枕元へ置かれていたものだった。そこにはフミが今まで見たことのない別の数量がかれている。勇がを受け取った、がの首をつかんだ。「子どもが勝な真似するな」。信は振りほどき、「これ、米さんのせいにするためのやろ!」と叫んだ。

勇はの裏を見て息を止めた。訂正の指示とともに、ひとつのの名が赤く囲まれていた。のではない。千枝の子どもたちが通う学へ、用の材料を納めている業者の名だった。余分に記された米のき先が、ようやく数字で現れた。

しかしそこに添えられた付は、まだ配が届いていないはずの来のものだった。

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