"夫のいない四日間" 第7話
空っぽの部と届いた通
沖縄から京へ戻る格夜便の座席で、博之はを縮めていた。
裕子に逃げられ、空港のベンチで途方に暮れていたところ、偶然持っていた学代の旧友に泣きついて座し、片の航空券代だけをなんとか面してもらったのだ。成田空港から自宅までの賃すらギリギリで、腹は減り、喉はカラカラに渇き、全は汗と脂で汚れ切っていた。
(に帰りさえすれば……里美に座して謝れば、なんとかなるはずだ……)
博之の浅ましい脳内には、まだそんな甘い期待が渦巻いていた。
のがある。美という子供がいる。浮気の証拠を握られたとはいえ、誠誠「魔が差した、もう度としない」と泣きつけば、いつも優しく穏やかだった里美なら、最には許してくれるはずだ。賃も費も払わずに済む、あの適な活に戻れるはずだ。
最寄り駅からで歩き、見慣れたマンションのエントランスをくぐる。エレベーターでがり、がの玄関ドアのにった。
「里美! 美! 悪かった、俺が悪かった! けてくれ!」
ドアノブにをかけ、鍵穴に鍵を差し込もうとした。
しかし、鍵は入らなかった。シリンダーが真しいものに交換されていたのだ。
「え……? なんで鍵がかないんだ……?」
審にった博之がドアノブをガチャガチャと激しく揺らすと、ドアの郵便受けの隙に、通のい封筒がテープで貼り付けられているのが目に入った。
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宛名は『田博之様』。
震えるで封筒を引き剥がし、からつ折りの便箋を取りす。そこには、私の徹な跡で、必最限の事実だけが記されていた。
『この部は、本付で賃貸契約を解約し、退続きを完しました。あなたの荷物はすべて、沖縄へくに井裕子さんのご自宅へ郵送済みです。今の連絡は、すべて私の代理弁護士を通じてってください。私や美への直接の接触は、接禁止命令の対象となります』
「た、退……!? 解約したって……どういうことだよ!?」
博之は狂乱してドアを叩いた。
隣の部のが審そうにドアをけ、「うるさいですよ! 警察呼びますよ!」と鳴りつける。
その、エントランスの集ポストの方から、音がづいてきた。
スーツを着たの男性が、封筒の束をに歩いてくる。
「田博之さんですね」
「え……? あんた、誰だよ!」
男性は懐から枚の名刺を取りした。
『法律事務所 弁護士・田康弘』
「田里美様の代理を務めております、弁護士の田です。里美様から依頼を受け、あなたに対する婚請求、貞為に基づく慰謝料請求、ならびに無断で使用されたクレジットカード利用代の損害賠償請求をお届けにがりました」
差しされた分い内容証郵便の束。
表に記された損害賠償および慰謝料の計額の数字を見た瞬、博之の膝が音をてて崩れ落ちた。
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『、百万円也』
「ろ……百万……!? 払えるわけないだろ! 俺は無職なんだぞ!」
「払えなければ、法段に移するまでです。すでにあなたの名義の全財産の調査、および今の与債権に対する差し押さえの執準備に入っております」
田弁護士のの籠もらない徹な声が、暗い共用廊に響き渡る。
「里美は……美はどこにいるんだ!? 会わせてくれ! 族だろ!」
「族を自ら捨てたのは、あなたの方です」
弁護士は類を博之の胸元に押し込むと、軽蔑の差しを瞥だけ残し、踵を返してエレベーターへと消えていった。
誰もいない、鍵のかないドアの。
たいコンクリートのにへたり込み、博之は震えるでを抱えた。
彼が築きげてきたの庭も、父親としての尊厳も、らかな活も、すべては彼自の浅ましい欲望によって、完全な燼へと帰していたのだ。
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