みかん小説
本棚

"大家だった姑の逆転" 第4話

「暮らしの無職は邪魔です」

私たちがんでいるのは、世帯が入るさな賃貸アパートのだった。夫が、私たち族の将来のために建てたものだ。夫はさな会社を経営しており、私が義両親との同居でを壊しかけたことをきっかけに、い切って別の所へ移る決断をした。

「俺に何かあっても、君がむ所と収入だけは残るようにしたい」

夫はそう言っていた。その言葉通り、アパートは夫がくなったあとも私と息子の活を支えてくれた。ただし、賃貸経営は座っているだけでおが入るほど簡単ではない。修繕、税、空、設備交換。私は昼夜働きながら管理会社ともやり取りし、息子を育ててきた。

嫁は、その事をどこまでったのだろう。

「この、お母さんの部を掃除したに見つけました」

そう言われて、背がたくなった。私の寝の引きしには、アパート関係の類をまとめた封筒がある。賃の細、修繕記録、建物の権利関係を確認するための類。普段は触る必のないものだ。

「私の部を?」

「掃除ですよ。だってお母さん、何もしないじゃないですか」

嫁は悪びれなかった。それどころか、今まで隠していたりを気に吐きすように言葉をねた。

「賃収入があるんですよね。それなのに、どうして彼をあんなに働かせてるんですか? 昼も夜も働いて、に帰るのは毎遅い。

広告

お母さんはももらって、賃も入って、それででは何もしない。おかしくないですか」

私はを疑った。

息子が働くのは、自分のだった。結婚して庭を持った以、自分の収入で活したいと本が望んでいる。私は毎、自分の活費を自分で負担していたし、息子に遣いをねだったことも、活費をせと迫ったこともない。むしろ結婚も、の維持費のかなりの部分を私が負担していた。

「息子が働いているのは、私が働かせているからじゃないわ」

「でも結局、子れできない母親って、収入面でも子どもに頼るじゃないですか」

嫁はで笑った。

「正直に言いますね。暮らしの無職は、私たちの活の邪魔です。事な彼のことをうなら、このアパートからてってください」

私はしばらく返事ができなかった。

同居したいと言ったのは嫁だった。私が「でんだら」と勧めた、「お母さんを支えたい」と言ったのも嫁だ。それなのに、今では私が息子にしがみついて居座っていることになっている。

「私がいつ、息子に養ってもらったの?」

「言いづらいなら、私から彼に言ってあげますよ。アパートも、お父さんの遺産も、彼のものなんでしょう? だったらお母さんには、ちゃんとした介護施設に入ってもらえばいいじゃないですか」

広告

介護施設。

私はまだで買い物にもけるし、常活に介助も必ない。それなのに嫁のでは、私はもう「片づけるべき寄り」らしかった。

りより先に、妙な静けさがきた。私は洗いかけの皿を最まで洗い、を切った。布巾でを拭いてから、嫁のほうを向く。

「あのね。何か勘違いしているみたいだから、ひとつだけ言っておくわ」

「何ですか」

「ここのは、息子じゃないのよ」

嫁のが半きになった。

「……え?」

「それから、私の部を掃除してくれたのはありがとう。でも、引きしの奥まで勝に見たのなら、それは掃除とは言わないわ」

嫁の肩がぴくりといた。

「アパートの類、引きしの奥にしまってあったでしょう?」

「彼が持つべきものを隠してるほうが悪いんじゃないですか」

「どうして息子が持つべきなの?」

「だって、ここは彼の――」

「私のものよ」

私は寝へき、保管していた類を取りした。戻ってきて、テーブルのに置く。嫁は面に顔をづけ、そこに記された所者の名を何度も見直した。

「ほら。私の名でしょう」

その瞬、玄関の鍵がいた。

「ただいま」

息子が帰ってきた。

嫁はを握りしめたまま、勢いよくちがった。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: