みかん小説
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"式1時間前の略奪と百八十万円" 第6話

「先輩が美しいって言ってくれると、私まで嬉しくなっちゃいます」

その屈託のない笑顔を見つめながら、俺は昨の式での来事をいしていた。妹のを握りしめ、姉の言葉から俺を奪いったの、彼女のあの決の横顔を。

「……姉さん、昔からああいうに言うんだ」

こよりがお茶を啜りながら、静かに語り始めた。

「私が自分で何かを決めると、あまりばないんです。私のこと、まだ何もでできない子供だとってるから……」

「昨のこよりちゃんは、俺よりずっとしっかりしてたよ。俺なんか、が真っになって何も言えなかったのに」

「昨は……怖いとか、でどうなるとか、考える暇がなかっただけです。ただ、あのまま先輩がで取り残されるのだけは、絶対に嫌だったから」

朝を終え、俺がへ向かう準備をしている、こよりはテキパキと卓を片付けていた。

彼女が学代から、何をい、どんな目で俺を見ていたのか。このの俺は、まだそのさをまるでらなかった。

数の学の制作展示。

暗い講評会の片隅で、学のこよりは、自分の作ったさな舗模型のにち尽くしていた。

「ここ、まだ直せてなくて……の作品を見た方がいいといます」

講評に来た教授たちに酷評され、縮こまっていた彼女のに、当学の俺がふらりと歩み寄った。

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「……この通、ずいぶんと広く取ってあるね」

俺が模型の面を指先でなぞると、彼女はおずおずと顔をげた。

「あ、それ……私のおばあちゃん、が悪くて杖を使ってて。おの真んで方向を変える、狭い通だとすごく変そうだったから……」

「そっか。じゃあ、ここがこの模型ので番事なところだね」

「でも……見た目がだって、さっき先に言われちゃって」

「が使うと、その良さが分かるんじゃないかな。君がちゃんと説してくれたから、俺にはその景が見えたよ」

俺はしゃがみ込み、彼女の目線にわせて笑いかけた。

「俺、具を作ってる野坂蒼介。今度、完成したところも見に来ていいかな」

そのの会話を、彼女がずっと胸の奥底に切にしまい込んでいたことを、俺はる由もなかった。

のい引き戸をけると、械油と削り節のたい匂いが満ちていた。

作業台のには、先週からをつけていた宮の事務所からの発注品――舗用の陳列棚の部材が、然と積まれていた。

具箱をけ、ノミをに取った瞬、ポケットのスマートフォンがけたたましく鳴った。

画面に表示された名は『宮宗郎』だった。

呼吸をつし、通話ボタンを押す。

「……はい、野坂です」

『昨の件は、もう落ち着いたか?』

受話器の向こうから、何事もなかったかのような宮の落ち着いた声が聞こえてきた。

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「件をお願いします」

『今の発注についてだがね、し考え直そうとってね。かりも、君と現で顔をわせるのは気まずいと言っていてね』

「今受けている件は、契約通り予定通りに仕げて納品します。未清算の請求の覧も、本にメールで送ります」

『待てよ。全部切るとは言っていないだろう。君がもうしになって、こちらのを理解するなら、仕事はいくらでも回してやれるんだぞ』

宮の声音に、らかな優越と脅しが混ざり始めた。

「次の仕事は、内容と条件を見て、俺が決めます」

『……で営業して、客が取れるとっているのか? 僕が見せ方を作り、客へのパイプを作ってきたからこそ、君の具が売れてきたんだぞ。職がで突っっていたところで、誰がを払う?』

その言葉には、痛いほどの事実が含まれていた。

作ることに没するあまり、価格の交渉も、顧客へのアプローチも、すべて宮のようなに丸投げしてきたのは紛れもない俺自だった。

だが、ここでをげてしまえば、俺は、自分のでつことができなくなる。

「お世話になった仕事があることは謝しています。ですが、これからの仕事のやり方まで、あなたに決めてもらうつもりはありません。失礼します」

宮が何かを言いかけるに、俺は自ら通話終のボタンを押した。

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