みかん小説
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"運転手は何歳?教室に響く告発" 第1話

がりのたい夜気が、営業所の古びたアスファルトからちっていた。

型種免許を取得して、沿いの方都である湊町をる緑交通の線バス運転、佐々健は、詰所のタイムレコーダーにいタイムカードを差し込んだ。ガシャンという質な属音が、午から午半まで続いたい仕業の終わりを告げる。制を脱ぎ、両で顔をこすると、のひらから微かにディーゼルオイルと、握りしめていたハンドルカバーのゴムの匂いがした。

点呼台で運管理者の厳しいアルコールチェックを受け、呼気濃度ゼロの判定ランプを確認する。

「佐々さん、今もご苦労さんでした。は朝の番線だから、には点呼だよ。無理せんようにな」

「ありがとうございます。お疲れ様でした」

代半ばの当直主任にくをげ、健はロッカーから私物のリュックを取りした。くたびれたナイロン製のバッグのには、空になった保温筒と、今朝に自分で作った塩むすびのアルミホイルが入っている。

歳。妻の裕子を悪性リンパ腫でくしてが経った。当まだ歳だった息子の颯太は、今のに学になった。所にむ義理の妹夫婦や学童保育の力を借りながら、がむしゃらにハンドルを握り続けてきた歳だった。

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へ向かう最終の線バスに般乗客として揺られ、宅の留所でりる。灯のが濡れた面に滲む坂を、健はしを引きずるようにして登った。の着座姿勢で、腰の奥にはいつも鈍い鉛を埋め込まれたような痛みが沈殿している。だが、築のさな借の玄関にかりが灯っているのを見た瞬、その疲労の膜が枚、剥がれ落ちるような気がした。

鍵をけてドアを引くと、をくすぐったのは、わずかに醤油の焦げた匂いだった。

「颯太、ただいま」

「……お父さん、おかえり」

居のちゃぶ台に向かって座っていた颯太が、さく顔をげた。

テーブルのには、留守番のに所の叔母が届けてくれたのであろう煮物の鉢と、ラップをかけられためたご飯、そしてかれたままの連絡帳と箱が並んでいた。

健は洗いうがいを済ませ、作業着の着をハンガーに掛けながら居に入った。いつもの颯太なら、健が帰宅すれば真っ先に学での来事や、拾ったどんぐりの話、あるいはバスの種についての質問を浴びせてくるはずだった。幼い頃から、父親の運転する型バスの姿を見げるのが好きなだった。

しかし今夜の颯太は、ひどくしかった。まるで何かな秘密を体の奥底に隠し持ち、それがからこぼれ落ちてしまうのを必で堪えているかのように、さく背を丸めている。

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「どうした、颯太。宿題、難しかったか?」

健がちゃぶ台の向かいに腰をろし、優しく声をかけると、颯太の肩が微かにねた。

「ううん……おわったよ」

「そうか。晩飯、ちゃんとべたか? よし、お父さんも温めてべるから、緒に茶碗洗おうな」

ちがろうとした健の界の端に、ランドセルのから半分びしていた、くしゃくしゃに丸められた枚の藁半が映った。

普段の颯太は、テストでもプリントでも几帳面につ折りにするか、連絡袋に綺麗に収めて持ち帰る性格だった。くなった裕子に似て、どこか神経質なほど几帳面なところがある息子が、これほど無造作にを丸めて突っ込んでいること自体が異様だった。

健は何気ない仕を装いながら、その片に指を伸ばした。

「これ、今のテストか?」

「あ……っ!」

颯太が弾かれたようにを伸ばしたが、健の指先の方がわずかにかった。

しわくちゃになったを広げると、番に『算数・たしかめテスト(文章題にくなろう)』という朝体の見しがあった。の名欄には、震えるような跡で『ささき そうた』とかれ、きく赤いペンで『85点』とつけられている。

減点されていたのは、最の問だけだった。

そこには、奇妙な、しかしなら度はどこかのクイズ本や算数の導入で目にしたことのあるような問題が印刷されていた。

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