みかん小説
本棚

"毒蛇から社長を救った男を笑った人事部長" 第3話

本の超層タワービルをた。

初の温かいが、私の頬をかすめた。

私は広の片隅にあるベンチへと向かった。

ベンチへ腰をろし、巨なガラスのビルを見げた。

華やかな観とは裏腹に、その奥底にはい淀みが広がっていた。

先ほど面接で受けた郷田の嘲笑が蘇った。

に散らばった履歴の景が、脳裏に浮かんだ。

自官としての10を否定されたことへのりはない。

むしろ、あのような男が事の頂点に座っていることへのい危を覚えた。

私は広をき交うアークイノベーションの社員たちを静かに観察した。

すれ違う社員たちのくは、うつむき加減でに歩いていた。

誰もが同僚と親しい言葉を交わすこともなかった。

張った表を崩す者はいない。

社内を覆っていたのは、張り詰めた恐怖と苦しい沈黙であった。

私は広の入り付に線を移した。

そこには、警備を着た初老の男性が汗を拭いながらっていた。

その胸元には、先ほど斡旋先に指定された蒼井総管理のワッペンがあった。

そこへ、胸に社員証をげた若い男性社員が歩み寄っていくのが見えた。

仕ての良いスーツを着たその若社員は、健太の取り巻きの1であった。

若社員は初老の警備員を指差した。

周囲に響くような圧な声で鳴りつけた。

広告

「おい、寄せの誘導が遅いぞ」

若社員は警備員を睨みつけた。

「郷田部のお客様が到着したらどうするつもりだ。契約を切られたくなかったらもっとキビキビけよ」

初老の警備員はくをげた。

何度も「申し訳ありません」と繰り返していた。

若社員はで笑った。

乱暴な取りでビルのへ戻っていった。

理尽な関係と、を利用した横暴が常茶飯事となっている証拠であった。

私は胸ポケットに収めた通信のを確かめた。

静かに息を吐きした。

ベンチからちがろうとしたそのだった。

私の私物のスマートフォンが震えた。

私は画面を確認した。

アークイノベーションの本社代表番号が表示されていた。

私は通話ボタンを押し、元に当てた。

受話器の向こうから品な笑い声が響いた。

「おい、お、まだビルの周りをうろついているのか」

声の主は事部の健太であった。

背からは、類をめくる音と郷田の押し殺したような笑い声が聞こえた。

私は極めて平坦な声で尋ねた。

「何かご用でしょうか」

健太は調子に乗ったように言葉を続けた。

「いや、さっきはたく追い返しちゃって悪かったとってさ」

健太は笑いを噛み殺しながら言った。

「どうだ。部が優しいから特別にもう1度だけチャンスをやるって言ってるんだよ」

広告

私は表を変えずに聞き返した。

「チャンスですか」

健太は得げに答えた。

「ビルのにあるゴミ集積の清掃だ。は1000円ちょっとだけど、無職の元自官にはお似いの仕事だろう」

健太はさらに条件を付け加えた。

「ただし条件があってさ、今すぐ面接に戻って座しなきゃいけないんだよね」

採用権をおもちゃのように弄んでいた。

の尊厳を削り取って楽しむ卑劣なであった。

私は表をつも変えず、静に問い返した。

「そのご提案は、アークイノベーション事部としての正式な採用選考ですか」

健太は瞬だけ言葉に詰まった。

すぐに苛ちをわにして声を荒げた。

「せっかくけをかけてやっているのに、しはありがたがったらどうなんだよ」

私は静かに告げた。

「正規の面接記録として残る内容でないのであれば、お受けすることはできません」

話から、はっきりとした舌打ちの音が響いた。

健太は吐き捨てるように言った。

「ちっ、本当にげのない筋肉バカだな」

健太は鳴った。

「もう度と助けてやらないからな。野垂れにしろ」

乱暴に話が切られた。

通話終の無質な子音が鳴り響いた。

私は通話履歴を保した。

相の浅ましい言を記録した音声データを厳に保全した。

事実をありのままに積みねることこそが、最も確実な武器となるからだ。

私はビルをれた。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: