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"毒蛇から社長を救った男を笑った人事部長" 第9話

美咲ははっきりと告げた。

「優秀な技術者が律で採用となり、実務経験のない者ばかりが入社している異常事態を放置できません」

郷田はを鳴らした。

嘲けるような笑いを浮かべた。

「放置できない、ですか」

郷田は美咲を見した。

「現の事もらない若輩の社が、偉そうにを挟む筋いはありませんよ」

郷田は自信たっぷりに言った。

「採用とは単なる点数わせではなく、組織への適性を総に判断する度な業務です」

郷田は胸を張った。

「私が選んだ材こそが、が社の成を支える柱となるのですよ」

郷田は歩踏み込んだ。

美咲を見ろすように顔をづけた。

「それに、親グループである神グループの向を忘れたわけではないでしょう」

郷田のから、聞き捨てならない言葉がびした。

「神グループの首脳陣は、が社の急激な混乱を望んでおられません」

郷田は脅迫めいた声をした。

「これ以、事部に言いがかりをつけて社内を引っ掻き回すなら、資を引きげると警告されています」

郷田は美咲を睨みつけた。

「親グループの向に背いてまで、無駄な調査をするおつもりですか」

私の名を騙り、架空の脅迫を盾にして社を追い詰めようとする。

卑劣極まりないであった。

神グループの最総帥である私が、現の腐敗を容認する指示などすはずがない。

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この男は自らの裏利権を守るため、親グループの板を勝に悪用していたのである。

美咲は唇をく噛み締めた。

悔しさを堪えるように拳を握りしめた。

「神グループが、正を見逃すような指示をされるはずがありません」

美咲は気丈に言い返した。

「が社がここまで成できたのは、真面目に技術を磨いてきた現の社員たちのおかげです」

美咲は郷田を睨み返した。

「裏採用で会社を私物化するような為を、私は絶対に許しません」

美咲の毅然とした反論を聞き、郷田の顔から嘲笑が消えた。

郷田の瞳に凶暴なが宿った。

「先だけは達者なことだ」

郷田は懐から1枚の面を取りした。

美咲の目のに突きつけた。

「の臨取締役会において、社信任決議案を提いたします」

郷田は酷に告げた。

「役員会の過半数はすでに私の見に賛同しています」

郷田は勝利を確信したように言った。

「あなたの経営責任を追及し、代表権を剥奪する続きを執りいます」

突きつけられた解任の予告をにしても、美咲は歩も退かなかった。

美咲は面から目を逸らさなかった。

「私を解任したいのであれば、法な続きに従って正当にってください」

美咲は揺るぎない声で言った。

「ですが、私が社である限り、正の追及をやめることは決してありません」

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郷田は舌打ちをした。

苛ちを隠そうともせずに背を向けた。

「せいぜい、そのがりがいつまでもつか見物だな」

取り巻きの幹部たちを引き連れ、郷田は乱暴な音をててっていった。

廊に静寂が戻った。

美咲は張り詰めていた糸が切れたように、壁に寄りかかった。

く息を吐きした。

その横顔には、1で巨な悪と戦い続ける者の孤独が滲んでいた。

美咲は周囲に誰もいないことを確かめた。

胸元にゆっくりとを伸ばした。

ブラウスの襟元から、にる細いチェーンを引きした。

その先端に結ばれていたのは、方形のチタン製の板であった。

軍用規格の認識票、すなわち自隊のドッグタグであった。

美咲はそのたい属を両で包み込むように握りしめた。

胸元にく押し当てた。

静かに目を閉じ、祈るように祈りを捧げた。

その姿を、私は物から見つめた。

あのドッグタグの表面に刻まれた微細な傷と識別番号は、私の記憶と完全に致していた。

2の奥摩ので、救助活の混乱ので現に落としてしまった私の予備の認識票であった。

美咲はあの過酷な遭難から還して以来、このさな属片を肌さずにつけていたのだ。

絶体絶命の危ので命を繋いでくれた救助者のを、彼女は片も忘れていなかった。

社内の全ての役員が敵に回り、孤無援の境にたされながらも、彼女は信を曲げていなかった。

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