みかん小説
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"出世ゴルフの朝、沈黙した妻" 第1話

初の淀んだ気が寝の遮カーテンの隙からい込み、暗い部の空気をたく押し包んでいた。枕元に置かれた目覚まし計の液晶表示は、午分を指している。 野真は、綿密にえられたダブルベッドの端に静かに腰掛け、乱れのない姿勢のまま壁のデジタル計を見つめていた。その表には、焦りも、怯えも、りすらも浮かんでいない。あるのは、く澄み渡ったの面のような、絶対な静寂だけだった。

隣のベッドでは、夫の俊介が分い羽毛布団を巻き込み、折、酒焼けした喉から豚の鳴き声のようなな鼾を漏らしている。微かにいた元からは、昨晩煽るように流し込んでいたシングルモルトの熟成と、胃の腑から逆流してきた酸っぱい呼気が混ざりって漂っていた。 俊介の枕元、サイドテーブルのには、昨夜彼自がこれ見よがしに磨きげたスマートフォンの黒い画面が鎮座している。その画面は暗いままだ。夜、彼は自に閉じこもる直、真を威圧するためにスマートフォンをマナーモードに設定し、アラームの音量バーをゼロに引きげていた。自分が目覚まし計をセットしたという事実だけで満し、端末が音をてない設定になっていることなど、酔したでは確認すらしていなかったのだ。

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俊介の起予定刻は、午分だった。 すでに以が経過している。

真はちがり、音をてずにリビングへと向かった。素の裏に触れる無垢材のフローリングは、かつて彼女がリノベーションの際に枚枚触りを確かめて選んだものだった。そのリビングの隅、専用のスタンドにてかけられているのは、鮮やかなエメラルドグリーンのヘッドカバーを被せられた、最型の特注ドライバーである。 シャフトには俊介のイニシャルが刻印され、ヘッドのチタンは朝の微を浴びて鈍く輝いている。定価で万円を超える限定品。俊介が「これさえあれば、橘専務のドラコンを確実に奪える」と豪語し、嬉々としてに入れた代物だった。

本は、俊介が勤める証プライムの宅設備器メーカー「タチバナ設」における、に度の最事――創業者族のであり、社内の実権をに握る専務取締役・橘栄之助主催の親睦ゴルフコンペの当であった。 催所は、千葉県成田の奥に位置する超名コース。スタートは午分、受付始は午ちょうど。現までは都内のこのマンションから、首都速と関自をばしても順調にいって半はかかる。

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渋滞を考慮すれば、午にはをしていなければ到底にわない計算だった。 このコンペは、単なる週末の社内レクリエーションではない。来期の事で営業第部の次ポストを狙う俊介にとって、橘専務に直接顔を売り、ライバルである同期の樫を蹴落とすための、社運ならぬ「命運」を賭けた台だった。何ヶもから休のたびに練習へ通い詰め、鏡のでスイングを繰り返し、真に対して「おが俺のを引っ張らなければ、俺は代のうちに次、代半で役員コースだ」と幾度となく刷り込んできた、その決定なだった。

真はキッチンカウンターに置いた自分のスマートフォンをに取った。画面をタップし、緑のチャットアプリをく。 トークルームの最部に固定された夫のアカウントをくと、昨夜の々しいやり取りが画面に焼き付いていた。

『おみたいな何の稼ぎもない寄虫が、の黒柱である俺の昇がかかったにらない愚痴を垂れ流すな!』 『母さんがを援助しろと言ったら、実のを売ってでもすのが嫁の務めだろ。しはを使え』 『俺の邪魔をするな。おの顔を見るだけで反吐がる。度と俺の界に入るな、話しかけるな』 『もし言でも話しかけてきたり、余計なしをしたら、そので婚だからな。

つで放りしてやるから覚悟しろ』

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