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"出世ゴルフの朝、沈黙した妻" 第3話

しかし、真がじろぎもせず徹な瞳でそのを見据えると、俊介のは宙で泳ぎ、激しい気とともにテーブルの板を拳で叩きつけた。

「おい真!! てめえ、何だとってんだ!! なんで起こさなかった!!」 唾沫が真の頬のすぐ横をかすめてんだ。 「おい! 聞いてんのかコラ! 今が何のかってんだろ!? 橘専務のコンペだぞ! 受付はだ! 今からたって、どう逆ちしたって半を過ぎる! 専務の組のスタートににわない! 俺のが終わるんだぞ! なんで起こさなかったんだって聞いてんだよ!!」

声が狭いリビングに反響し、窓ガラスを微かに震わせる。俊介の額には青筋が幾筋も浮きがり、握りしめた拳は刻みに震えていた。 真は、取り乱してを忘れた夫の顔を、まるで物園の檻のにいる見らぬ獣を観察するかのような、底えのする平坦な目で見つめ返した。そして、静かに元のスマートフォンを持ちげ、画面を俊介の目のに突きつけた。

「午分に、LINEをお送りしましたけれど」 真の声は、さざ波ひとつたない面のように静かだった。 「『起きるだよー』と、確かにお伝えしました」

「はあぁぁぁ!? ふざけんな!!」 俊介はスマートフォンを叩き落とさんばかりに腕を振り回した。 「LINEだと!? 寝てるにLINE送ってどうすんだよ! 部に入ってきて俺を叩き起こすのが当たりだろうが! 声をせ! 体を揺らせ! 枕を引っぱがせ! それが妻の役目だろうが!!」

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「それはできません」 真は淡々と言葉を継いだ。 「昨夜、あなたが私に何とおっしゃったか、もうお忘れですか? 『俺の界に入るな、話しかけるな。言でも話しかけてきたり、余計なしをしたら、そので婚だ』――そう鳴りつけて、寝の鍵を内側からお閉めになったのは俊介さん、あなた自です」

俊介の喉が、ヒュッと引き攣った音をてた。 「な……」

「さらに、ご丁寧にもメッセージでもを押してくださいましたね。『おからの言葉は言も聞きたくない。話しかけたら婚だとえ』と。私は、の黒柱であるあなたの絶対な命令に従ったまでです。で話しかければ婚になると脅されていた以、私に許された連絡段は、文字による最限の業務連絡だけでした。鍵のかかった部のドアを叩くことも、声をすことも、あなたへのな契約違反になりますから」

「屁理屈を……屁理屈をこいてんじゃねえぞ!!」 俊介の顔面は、りと恐怖と屈辱が入り混じり、赤からへと変していった。彼は剥きしの歯をギリギリと鳴らし、真の胸ぐらを掴もうとを乗りした。 「そんな都のいい解釈が通用するか! おがわざとやったんだ! 俺の世を邪魔するために、わざと仕組んだんだろ! この悪魔が! 性悪女め!!」

真は微だにしなかった。

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ただ、たく透き通った瞳で、俊介の狂態を真っ直ぐに射すくめた。 「悪魔なのは、どちらでしょうか。病気の義父の介護をすべて私に押し付け、私のき父の遺産を奪おうとし、夜に暴力を振るって『話しかけるな』と罵倒した夫に対して、私は約束通りをらせるメッセージを送りました。これ以、私に何を望まれるのですか?」

「黙れ! 黙れ黙れ黙れ!!」 俊介はを塞ぎ、狂乱状態でリビングを駆け回った。 「もういい! てめえの顔なんか度と見たくない! 婚だ! 慰謝料も銭もやらん、今すぐこのから叩きしてやる! そのに専務だ……専務に話を……クソッ、なんて言い訳すりゃいいんだ!!」

俊介は震えるで自分のスマートフォンを操作し始めた。しかし、慌てふためく指先はパスコードの入力すら何度も違え、苛ちのあまり端末をソファーに投げつけた。 「事故だ……首都で玉突き事故に巻き込まれたことにする……いや、親父が倒れたことに……クソッ、どっちも裏を取られたら終わりだ!」 俊介は洗面所へび込み、顔も洗わずにうがい薬をに含んですすいだ。寝癖のついた髪にをつけて乱暴に撫で付け、リビングに戻るや否や、ポロシャツのボタンを掛け違えながらゴルフウェアに腕を通す。 スタンドから特注のドライバーを引っこ抜き、キャディバッグを肩に担ぐと、俊介は玄関のドアノブを乱暴に回した。

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