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"奪われた手柄と残された受領印" 第3話

「発表用……?」

話の向こうで、霞が当然のように吐き捨てる。

『この頼んだでしょ? 省吾君の説が見栄えよくなるようにえるやつ。あなたは自分で話すより、裏で作る方が向いてるんだから』

と同じ言葉、と同じ淡な響きだった。

こちらの返事を待つこともなく、方に通話がブツリと切れるところまで、記憶と完全に致していた。

あの獄のような会議は、われる。

俺はまだ、すべてを奪われ、に迷うの点にっていた。

壁に掛けられた予定表へ目をやると、ぎっしりとき込まれた枠のに、俺自の私用はつもしていなかった。

会社の捗確認、霞から頼まれた資料作成、休に押し付けられたシステムの障害対応。

俺自のであるはずなのに、俺自が自分のために決めた予定が何つない。

「……今は、朝ご飯をべよう」

声にして呟き、俺はちがって台所へ向かった。

蔵庫のドアをけ、残っていた卵を割ってフライパンで丁寧に焼き、パンをトースターに入れた。

温まったトーストと目玉焼きを皿に乗せ、テーブルに運んで静かにへ運ぶ。

噛み締めるうちに、目から自然と粒の涙が零れ落ちて、トーストのに落ちた。

何か特別な級料理のがしたわけではない。

ただ、の求に追われることなく、自分ので用した温かい事を咀嚼しているという事実だけで、胸が震えた。

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事の途で霞からの催促のメッセージが画面をらせたが、俺は最のパンのひとかけらをみ込むまで、画面に触れなかった。

それだけで、ほんのしだけ、自分が自分のをきている実を取り戻せた気がした。

しおりが遺した言葉が、鮮に脳裏に蘇る。

結末を選ぶのは、俺自だ。

未来の俺が倒れて識を失ったあとに何が起きたのか、その先のことは何もらない。

それでも、今度こその踏み台ではなく、自分のためにき抜いてみせる。

俺は未読のまま放置されていたメッセージの通欄をいた。

椎名凛からの、仕事の誘いのメッセージだった。

これまでは会社が忙しいからと、ろくに話も聞かずに断り続けてきた相だ。

まずはこのの声を、途で焦って切ることなく、最までじっくりと聞いてみたいとった。

翌、会社の会議には、あのと全く同じ顔ぶれが揃っていた。

成瀬が机のに真しい企画を並べ、得げに胸を張っている。

「発表資料、こっちで見栄えよく直しておきました。担当者は俺、責任者は課にしてあります」

榊原課が満そうに頷き、隅に座る俺を指先で牽制するように睨みつけた。

「牧野は表にないので、本番で余計なしはするなよ。企画の柄をどう分配するかは、会社が適切に判断することだ」

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俺は静かに息を吸い込み、机のの資料を瞥してからをいた。

「わかりました。どうぞ、ご自由に」

予の素直な返答に、課と成瀬が怪訝そうに眉をひそめた。

俺は元のメモ帳をめくり、の顔をまっすぐに見据えた。

「確認ですが、本システムの対な発表責任者は、成瀬さんと榊原課のおということで相違ありませんね?」

成瀬が苛ちを隠さずに机を叩いた。

「なんだよ、そのトゲのある言い方は」

俺は表を変えずに淡々と返した。

「今の問いわせ窓を社内に対して確にするためです。それから、僕は本付で退職を申し入れます」

鞄からあらかじめ用しておいた退職願と、引き継ぎ項目の覧表を取りし、机の央へ滑らせた。

「退職だと?」

課が目を見張り、成瀬がで笑った。

「そんなに自分の名を消されたのが悔しかったんですか?」

俺は成瀬の言葉をに介さず、正面を見据えたまま言葉を続けた。

「今は今の正式な担当窓を決定するために参りました。僕の名を切さないという方針であるならば、退職の緊急保守担当からも僕の名を完全に除してください」

榊原課が慌ててを乗りし、机のの類をで押さえた。

「待て。週の本番発表だけは、裏方として責任を持って伝え。

それが無事に終われば、辞めるなり好きにすればいい」

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