"奪われた手柄と残された受領印" 第6話
椎名はメニューをき、俺のへそっと滑らせた。
「そのに、メニューを見てください。お腹が空いているに事な返事をもらうのは、私、苦なんです」
彼女はおのグラスをに取り、んでから、俺がメニューを決めるまで静かに待ってくれた。
く答えをさなければ失礼になるのではないかという迫観に囚われ、俺はメニューを握りしめたまま数秒固まっていた。
「……ハンバーグで」
椎名はふわりと目を細めて笑った。
「よかった。私もそれにしようとっていたところです」
注文を終えた、俺は気になっていた疑問をにした。
「椎名さんは……僕が今、会社を辞めたことをっていたんですか?」
椎名は真剣な差しで首を横に振った。
「いいえ。牧野さんから今のメッセージをいただいて、初めてりました。私が以からお声をかけていたのは、純粋にあなたと緒に働きたかったからです」
「僕は、の会社でく評価されていたわけではありませんよ」
椎名はしだけ目を伏せ、懐かしむように語り始めた。
「ヶの同技術会議を覚えていますか? 取引先の舗の方が、仕様の説を聞いている途で、とても困ったような顔をされていたんです」
俺の脳裏に、当の景が鮮に蘇った。
「受け渡しの担当者が、帯によって交代するパンさんでしたね」
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「ええ。のたちがスケジュールの話ばかりしているで、牧野さんは会議を止めて、その方に直接聞いたんです。『番忙しい帯、誰がこの画面を見るんですか?』って」
俺は線を落とした。
「……現で使えないものを納品してしまったら、番困るのは現で働くたちですから」
椎名はを乗りし、確信に満ちた声で告げた。
「私も、そういうものを作りたいんです。牧野さんが作ってくださった資料のに、私がずっとりたかった現への答えがありました」
運ばれてきた湯気をてる鉄板のハンバーグをに、俺は運んで、わずく息を吐きした。
肉の柔らかな温もりが、空っぽだった胃袋に染み渡っていく。
椎名は詮索するような質問を切せず、ただナプキンを俺の元へ静かに寄せてくれた。
「以にも、事に誘ってくださいましたよね。ずっとお返事できなくて、申し訳ありませんでした」
椎名は微笑んだ。
「ご飯のお誘いなら、いつでも効ですよ。お仕事の返事は、また別のでも全く構いませんから」
周目のでは、俺はこの席に座ることすらできなかった。
まだ何つ契約を交わしたわけではないのに、ここでは最まで、温かい料理をゆっくりとわってべていていいのだ。
その頃、元の会社の発では、成瀬が画面に向かってキーボードを叩いていた。
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「牧野さんのいたプログラムを見ましたけど、無駄な確認処理がすぎるんですよ。舗を跨ぐ処理だって、もっとシンプルに縮できます」
ろから画面を覗き込む榊原課が、顎をしゃくった。
「発表会がいんだ。余計な警告メッセージはすべて消しておけ。見せたいのは、注文が素く処理されるスピードだからな」
成瀬は順のページをめくり、嘲笑った。
「この順、全舗への括切り替えは分な検証のにうこと、なんて慎すぎる注きがありますけど、牧野さんは配性すぎるんですよ。舗でくなら、舗でも百舗でも同じです。ほら、見てください」
これは、にわれた社内調査のログによって判した事実だった。
俺がった、成瀬は全が確認されていた既の定版コードを使わず、画面のレスポンスがく見えるように処理を勝にき換えていた。
舗ごとに注文を厳密に区別するための突処理も、エラーを通する警告能も、すべて邪魔なものとして削ぎ落とされていた。
榊原課が満そうに頷いた。
「よし、その変更した版を発表用として正式に採用する。責任者は私だ。社内記録もその通りに残しておけ」
成瀬が揉みをしながらをげた。
「ありがとうございます。これなら本番で余計な説をする必もありませんね」
霞も画面を覗き込み、堵のため息を漏らした。
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