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"奪われた手柄と残された受領印" 第11話

「牧野さん。休に、本当にやりたいことって何ですか? が取れたら、という制約なしで教えてください」

俺は温かいカップを両で包み込み、ゆっくりと考えた。

「朝、アラームに追われずにゆっくり起きたいです。散歩をして、温かいスープをんで、夕方になったに『が嫌じゃないな』とえたら、それだけで分です」

椎名は静かに目を細めた。

「それ……私も、全く同じことがしたいです」

「椎名さんは、いつも完璧で余裕があるように見えますけど」

「そう見せるのが、しだけ得なだけですよ。までいとは限りません」

ふと見ると、彼女の差し指にさな絆創膏が貼られていた。

「その怪は?」

「厨に置くテスト端末の固定具を、昨夜自分で組みてたにし擦りむいてしまって」

俺はわずを乗りした。

「今度は、俺にも声をかけてください。伝えることがあったはずです」

椎名はカップを見つめ、しだけ目を伏せた。

「休なのに、またお仕事の話を見つけてしまいましたね」

「椎名さんが言ってくれたんじゃないですか。呼んでもらえたら嬉しいって」

彼女はさく息を呑み、それから嬉しそうに頷いた。

自分のコーヒーカップをしだけ滑らせ、俺のカップのすぐ隣へと寄せる。

カチリと、微かな陶器の触れう音が鳴った。

その頃、元の会社では、致命な破綻の予兆が現実のものとなっていた。

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会議で画面を睨みつけていた成瀬が、を抱えていた。

「舗で同テストを実施した結果、注文の受け取り先が件もテレコになっています。これ、本番までに直せますか……?」

成瀬は焦燥をわにして言い訳を並べた。

「舗側から送られてくるデータのフォーマットが揃っていないんですよ! 現の入力ミスに決まってます!」

霞が青ざめた顔で類をめくった。

「でもこれ、友が残していった注事項にいてあった『舗複の条件』と全く同じじゃない……」

成瀬が鳴り声をげた。

「その資料の話ばかりするの、やめてくれませんか!? じゃあ何ですか、辞めた牧野さんが正しくて、俺が違ってるって言いたいんですか!?」

榊原課が机を力任せに叩いてをした。

「落ち着け! 今さら発表会の程を延ばすなんて言いしたら、役員にも取引先の経営陣にも説がつかん! 当は、指定した特定の舗だけでかせばいいだろう」

霞が眉をひそめた。

「取引先の役員は、まったく同じ操作で全国の舗へ元展できるかどうかを見極めたいとおっしゃっていましたよ」

課は酷な決断をした。

「当は、事に正常作を確認した舗のデータだけをリアルタイムで見せる。の舗の連携画面は、あらかじめ用した録画映像を流して紹介するんだ。

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それでこのを乗り切る」

成瀬が胸を撫でろした。

「本番が終わってから裏で直せば、誰も困りませんよね」

具が発したという確なログは、確かにシステムに残されていた。

現の担当者からも、延期やテスト範囲の縮を求める切実な見が提されていた。

だが、課はそのすべてを握りつぶした。

誰のプライドと面子を守るかが、実際にシステムを利用する舗の注文を守ることよりも優先されていた。

週がけた曜の朝、椎名のオフィスの空気が張り詰めていた。

共同創業者の男性が、苦渋に満ちた表で類を机に置いた。

「ベンチャーキャピタルからの投資の条件、今週に回答が必だそうだ。条件は、展示会までに予約管理だけでなく決済能まで全て実装し、料版として即座に提供を始することだ」

俺は発のスケジュール表を指差して即座に指摘した。

「今は、舗での受け渡し導線の実検証をっている最です。決済能まで追加してしまっては、全性の確認が到底にいません」

椎名が真剣な表で資料をめくった。

「分かっています。ただ、この資が決まれば、テスト用の端末を増やせますし、今の発資にもきな余裕がまれます。追加の画面設計を私がすべて担当すれば、牧野さんの作業負荷を増やさずに済むはずです」

共同創業者がを押した。

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