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"奪われた手柄と残された受領印" 第12話

「本当に、それでスケジュールににうのか?」

椎名は帳をく握りしめた。

「仕様を精査してからお返事します。まだ、請けいの約束はしません」

翌朝、オフィスへ社すると、昨までなかった分い決済システムの仕様が、椎名のデスクのにく積みがっていた。

ホワイトボードの予定表を見ると、彼女の欄だけが夜までぎっしりと埋め尽くされている。

俺は彼女のデスクのへ歩み寄った。

「この能追加、もう決まったことなんですか?」

椎名はパソコンから目をさず、で答えた。

「まだです。私がで仕様を調べているところです。牧野さんは、現のベーカリーでのテストを予定通りめてください」

俺は歩踏み込んだ。

「昨のお約束では、今の午に厨側の画面設計を緒に確認するはずでしたよね」

椎名はを止め、申し訳なさそうに線を伏せた。

「ごめんなさい……今はしだけ、待っていただけますか?」

彼女の表は静を保っていたが、デスクの隅に置かれたコンビニのパンの袋は、昼を過ぎても未封のまま放置されていた。

かつて、俺がの会社で命を削りながらやっていたことと、全く同じ景だった。

俺は静かに子を引き、彼女のに腰をろした。

「椎名さん。今は先にご飯をべにきませんか?」

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椎名は画面を見つめたまま、頑なにキーボードを叩いた。

「あとしでキリがつきますので、牧野さんは先にっていてください」

その台を、俺はの職で何千回と繰り返してきた。

そして、その『あとし』が通りに終わったことなど、度たりともなかったのだ。

「調べること自体を止めたいわけではありません」

俺は彼女の目をしっかりと見つめた。

「ただ、これをで抱え込んで、で完成させるつもりなら、僕にも相談してほしいんです」

椎名の指がキーボードので止まり、いを宿した瞳が俺を捉えた。

「……私は、あなたに無理をさせたくないんです」

「それで椎名さんが倒れてしまったら、僕がここで緒に働くがなくなってしまいます」

椎名の声が、初めて鋭く尖った。

「私には、この会社を続させる責任があるんです! 理なものを綺麗に作るだけでは、来のあなたのお料すら払えなくなってしまうんですよ!」

俺は怯まずに言葉を返した。

「はい。だからこそ、契約の条件と残された猶予を、僕にも共してほしいんです」

「共したら、あなたはまた『自分が全部やります』って言いすに決まっています!」

「の僕なら、そう言ったかもしれません。でも今は違います。今できる現実な範囲を、緒に話しって決めたいんです」

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椎名は唇を噛み締め、悔しそうに顔を背けた。

「……簡単に決められるくらいなら、最初からこんなに悩んでいません!」

初めて聞く、彼女のを剥きしにした叫びだった。

オフィスに静寂が落ち、椎名はすぐにに返ったように両で元を覆った。

俺が失望してちれば、またきりに戻ってしまうと怯えているように見えた。

「……すみません。あなたにをぶつけるようなことではありませんでした」

俺は首を横に振った。

「言ってくれて、本当によかったです。いつも僕の困りごとばかり聞いてもらっていましたから」

椎名はく息を吐きし、ぽつりぽつりと本音を語り始めた。

「私……の職で、必な品質確認を司に止められたことがあるんです。『仕事が遅い、余計なをかけるな』と言われて……それがどうしても許せなくて、この会社をちげました」

「だから今度は、誰のも借りずに、自分で完璧に確認しようとしていたんですね」

椎名の瞳が微かに潤んだ。

「『できません』と言ってしまったら、誰も私についてきてくれなくなる気がして……牧野さんまで、私を頼りないだと見限ってしまうんじゃないかと、怖かったんです」

俺は穏やかに微笑んだ。

「椎名さんが晩で何でも完璧にこなせる魔法使いだから、ここへ来たわけじゃありませんよ」

椎名はさく瞬きをした。

「……じゃあ、どうしてですか?」

「僕が『まだ途です』と言った、らずに待ってくれたからです。できないことを、無理に隠さなくてもいい所だとえたからです」

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