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"奪われた手柄と残された受領印" 第15話

俺は元の退職の控えを見つめながら返した。

「退職に引き継ぎの説をい、総務ち会いのもとで受領のサインをいただいております。退職の無償対応をわない旨についても、課ご自が署名捺印されています」

受話器の向こうで、課の声のトーンが変わった。

『なら払う! 次の発表会では、おの名をに載せてやる! それで文句はないだろう!?』

「復職も、今回の消し作業の支援も、切お引き受けいたしません」

課の呼吸が荒くなり、恫するような声が響いた。

『お……うちの会社と揉めて喧嘩別れしたという悪評が業界に広まれば、次の職でも困ることになるぞ。よく考えろ!』

俺は静かに、しかし力く告げた。

「システムに関する必な事実確認であれば、会社の正式な調査窓を通じて面でご連絡ください。事実関係を問われれば、提済みの記録に沿って正確にお答えします。それでは、失礼します」

通話を切り、スマートフォンを机のに置いた。

正しく断ることができたはずなのに、指先は氷のようにたくなっていた。

正しい選択をしたからといって、過の恐怖が瞬で消えってくれるわけではないのだ。

ふと顔をげると、椎名が温かいお茶の入ったマグカップを持って、俺のにっていた。

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「し、の空気を吸いにきませんか?」

俺は肩を落とし、さくをげた。

「すみません……の会社のトラブルが、こちらにまでびして迷惑をかけてしまうかもしれません」

椎名は俺のデスクの横に屈み、穏やかな瞳で俺を見つめた。

「どんなお話だったのか、詳しく教えていただけますか? 必であれば、うちの会社として正式に事実関係の確認をいますから」

俺はお茶をすすり、息を吐いた。

「俺が残したプログラムがかなかったと主張していました。でも、引き渡した版からコードをき換えているはずなんです」

椎名は優しく頷いた。

「わかりました。もし会社宛てに確認を求められたら、落ち着いて記録通りにお答えしましょう。私は今、あなたに無理をしての会社を助けにってほしいとは微もいません」

誰かに嫌われることと、居所を失って追いされることは、俺のでいつも同じ恐怖として結びついていた。

だが、椎名は俺の言い訳や音を、最まで静かに聞き届けてくれた。

翌朝、俺たちはベーカリーの厨で、しい試作端末のテストをっていた。

主が焼きがったパンのトレイを棚に置き、画面のボタンを差し指で押した。

「あれ? 来がったところでここを押すんだったよね? ……押したら、売りのレジ画面から注文が消えちゃったよ」

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俺は慌ててレジ側の端末を確認した。

「消えた……? 主さん、この注文の商品は、まだお客様にお渡ししていませんよね?」

主は袋を指差した。

「袋はここにあるよ。私はただ、厨で準備ができたっていう図のつもりで押したんだけどねえ」

俺は画面のエラーログを見つめた。

「こちらの仕様では、そのボタンを押すと『すべての受け渡しが完した』という扱いになってしまいます」

椎名が静かに俺の肩にを置いた。

「牧野さん。度、テストを止めましょう」

俺は厨用の『準備完』ボタンと、売り用の『お渡し完』ボタンの画面のを、別々に設定していた。

俺自は、の違いで別の操作だと分に説したつもりになっていた。

だが、準備で慌ただしくき回る主にとって、忙しいにを判別する余裕などなく、ただ押しやすい所にあるきなボタンを反射に押してしまっていたのだ。

「……僕の説が、完全にりていませんでした」

俺はをげ、画面を通常モードへと戻した。

「今は、この状態での使用を止してください。これまでのの伝票の運用に戻します」

主は申し訳なさそうに眉をげた。

「ごめんねえ、せっかく作ってくれたのに、私が押し違えちゃったばかりに……」

俺は首をきく横に振った。

「謝らないでください。普段通りの忙しい仕事のでかしてみて、こうして問題点が分かったこと自体が、今のテストのきな成果ですから」

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