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"奪われた手柄と残された受領印" 第21話

「俺が体調を崩して休みたいと言ったを、君は覚えているかい? せっかく事にく約束をしていたも、君の資料を作るためにアパートでで作業をさせられた」

「それは……あのは仕事が忙しかったからで、私だけじゃなくて……」

「うん。あの、嫌だとハッキリ断れなかった俺も悪かったよ。でも、今はハッキリ言える」

俺は彼女の目をまっすぐに見つめた。

「復縁はしない。君の資料も、度と作らない」

成瀬が悔しそうに歯ぎしりし、捨て台のように吐き捨てた。

「たまたま次のさな会社でくいったからって、調子に乗って偉そうに……! その椎名って女だって、あんたが都よく使える駒だから拾っただけに決まってるだろ!」

俺は成瀬を真正面から見据えた。

「椎名さんは、僕が実証実験で設計ミスをして失敗したにも、隣で緒に次の改善策を考えてくれました。できなかったことを隠せと命令されたことは、度もありません」

課が必に叫んだ。

「会社に残るの連の活まで困るんだぞ! そこまで見捨てるのか!?」

「そのたちを守るための経営判断は、今その責任ある役職に就いている方々がしてください。僕が戻って、またで無理を引き受ける形にはしません。今いる社員が休める体制を、会社自が作ってください」

霞が震える声で最の問いを投げかけてきた。

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「……本当にもう、私のところには戻ってきてくれないの?」

「戻らないよ」

俺はきっぱりと告げた。

「柄も、発表のれ台も、すべて君たちが望んだ通りにしたはずだ。これからは、自分たち自の仕事として向きってくれ」

俺は礼し、踵を返した。

ロビーの向こう側で、椎名が荷物の入った段ボール箱を抱えて待っていてくれた。

目がうと、彼女は何も言わず、元にあった荷物をつに置いた。

「待っているがいますので、これで失礼します」

その、元の会社は部の専保守会社へ額の費用を支払ってシステムのて直しを依頼せざるを得なくなった。

検証作業も、顧客への説も、タダで誰かが代わりに引き受けてくれるような甘い仕事ではなかったのだ。

社内の会議では、連のように責任のなすりつけいが続いていた。

「この部委託費用は、もっと削減できないのか!? 牧野がいた頃は、あいつで全部回していただろう!」

「で回していたからこそ、引き継ぎにあれほど膨な検証項目が並んでいたんですよ! 俺だって全部は把握しきれませんでした!」

「おが『自分で分かる』と豪語したから任せただろうが!」

「課だって、警告をして発表会ににわせろと命令したじゃないですか!」

霞がを塞いで叫んだ。

「もうやめて! 言った言わないを繰り返したって、友はもう戻ってこないのよ!」

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榊原課は管理責任を問われて格処分となり、成瀬は部ベンダーの厳しい管理で、変更したコードの洗いし作業に追われ続けた。

取引先への全舗導入は完全にとなり、会社は失った信用の回復に追われた。

あるの夕暮れ、霞はデスクで、残された報告資料の画面を見つめていた。

「省吾君、私の報告資料、しだけ見てくれない……?」

隣の席の成瀬は、画面を睨みつけたまま乱暴にキーボードを叩いた。

「今、俺の方がそれどころじゃないんです! 自分の仕事くらい、自分でできませんか!?」

霞は何も返せず、ただ暗転した画面を見つめた。

誰かが先回りしてバグを見つけ、黙って直してくれていた温かなは、もうどこにも残っていなかった。

誰かの名を甘えて呼べばすべてが解決した々は、度と戻らなかったのだ。

展示会のをて、夕暮れのを歩きながら、俺は椎名の元を見た。

「荷物、くないですか?」

椎名は嬉しそうに微笑んだ。

「丈夫です。牧野さんと半分ずつ持っていますから」

ふふっと彼女が声を漏らした。

「お話、ちゃんとお別れできたんですね」

「はい。もう度と戻らないと、はっきり伝えました」

椎名はを見据えたまま、静かに告げた。

「あなたがご自で決めたことなら、私はその決断をから尊します」

彼女は「よかった」

とも「当然だ」とも言わなかった。

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