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"二千四百万の罠と偽りの解雇" 第2話

赤い録音ボタンをタップし、マイクが央を向くようにして、静かにテーブルのへと置いた。

その作を目の当たりにした黒川部の眉が、ピクリとそうにねがった。

「おい、瀬。何をしている」

「今ここでわれている説を、正確に記録しています」

「瀬、それはどういうつもりだ。会社の許なく録音するなど、勝な真似が許されるとっているのか」

「になって言った言わないの掛け論にならないためです。正当な理由による解雇なら、記録されても困らないはずですよね」

佐伯部が居悪そうにじろぎし、私と黒川部の顔を交互に見比べた。

「瀬さん、そこまで頑なにならなくても……話しいで円満に解決できるもあるはずです」

「では、解雇理由を具体なと事実を記した文として、今すぐこので交付してください」

私の求に対し、黒川部はすぐには答えず、ただ忌々しそうに唇を噛みしめた。

私は元の通に度だけ線を落としてから、淡々と追及を続けた。

「ここには『な報管理違反』とあります。私は体、どの報を、いつ、どのように正に扱ったのですか」

「……会社の密報だ」

「具体に、どの案件の、何の報ですか」

「今ここで、その詳細のすべてをいちいち説する必はない」

「社員を懲戒解雇するであるにもかかわらず、ですか」

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黒川部の語気が、次第に荒々しく荒げていく。

「お、自分が今どういうにたされているのか、本当に分かっているのか」

その言葉をにした瞬、私は初めて彼の濁った瞳を真っ向から見据えた。

このの、この職で数え切れないほどにしてきた、忌まわしい声の調子だった。

理尽な仕事を押し付けるも、自分たちのミスによる責任をこちらへ転嫁するも、私が血の滲むいでした成果を横取りするも。

黒川部はいつも最には同じ捨て台を吐いて、私を言いくるめようとしてきたのだ。

『自分のを考えろ』と。

私はテーブルのに置かれたスマートフォンの画面が、微かなを放ちながら録音を刻んでいるのを界の端に収めた。

そして、静かに息を吸い込み、澄んだ声で告げた。

「では、神矢会を呼んでください」

部の空気が、瞬にして凍りついた。

黒川部も佐伯部も、まるで理解できない言語をにしたかのようにを半きにして沈黙した。

最初に静寂を破ったのは、困惑しきった佐伯部だった。

「……神矢会を? 瀬さん、どうしてこんな末端の事のに、会のお名がてくるんですか」

「私の解雇理由は、神矢会の面で直接お伺いします」

私の迷いのない言葉を聞いて、黒川部の元が歪んだ。

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さっきまでの苛ちに満ちた表ではなく、分相応な求を嘲笑う、品な笑いだった。

「瀬、おも焼きが回ったな。神矢会はおのような平社員が呼びつけて、ホイホイと来るようなじゃないんだよ」

「それなら、内線で確認してください」

「何をだと?」

「神矢会に、商業再企画部の瀬咲という社員をっているかどうか、今すぐ直接お尋ねください」

黒川部の顔から、張り付いていた笑いが瞬に消え失せた。

しかし、すぐに引に子の背もたれに体を預け直し、嘲るように吐き捨てた。

「るわけがないだろう。うちの会社に何百の社員がいるとっているんだ」

「でしたら、内線本で確認すれば、すべてすぐに終わる話です」

佐伯部は困惑した表を浮かべ、元のスマートフォンを持ったまま激しく躊躇していた。

私はそれ以、彼らを急かそうとはしなかった。

元の計の針を見つめながら、私はこれまでの自分の歩みを静かにいしていた。

入社したばかりの頃の私なら、こんな気な態度にることなど、到底考えられなかったはずだ。

当は、目のにある仕事を誠実に、愚直にやり遂げさえすれば、それで正当に評価されると信じ込んでいた。

私が都マネジメントに入社したのは、ののことだった。

学を卒業し、ごく般な卒採用のルートを通って入社した。

誰もがるような流の名学をたわけでもなければ、社内に特別なコネを持っていたわけでもない。

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