みかん小説
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"クラウドが暴いた午前一時の密会" 第3話

涙で濡れた睫毛が、痛々しく張り付いている。

職員の女性が、持参した柔らかいおくるみで悠真を包み込む。

「お母さん、しっかり治してくださいね。悠真ちゃんは、私たちが切にお世話しますから」

処置のドアが閉まり、息子の気配が完全に消えた。

その瞬、張り詰めていた糸が切れ、私はベッドので声を押し殺して泣き崩れた。

そして――拓が処置のに姿を現したのは、それからさらに以が過ぎた、夜分のことだった。

「あー、すまんすまん! いやあ、会のあとの渋滞が本当に酷くてさ! 携帯も充切れちゃってさあ!」

自ドアがき、悪びれる様子もなく入ってきた拓は、だらしなく首元を緩めたポロシャツ姿だった。

その体から、微かに漂ってきた匂い。

夜の匂い。台の焼きそばのソースの匂い。

えたビールの麦芽の匂い。

そして――私のものとは全く違う、甘ったるいバニラ系ののり。

拓はベッドに横たわる私を見るなり、処置を見回して怪訝そうに眉をひそめた。

「あれ? 悠真は? どこったの?」

私は乾ききった目で、このを共に過ごしてきた男の顔を、まるで初めて見る怪物のそれを見るように見つめ返した。

獄のような夜は、まだ始まったばかりだった。

処置の張り詰めた空気の、拓は私の異様な線に気づいたのか、わずかに気まずそうにのを擦った。

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「なんだよ、志保。そんな怖い顔して見るなよ。俺だって遊びにってたわけじゃないんだぞ? 規クライアントの部がさ、どうしても祭りの桟敷席で接待しろって聞かなくてさ。断れるわけないだろ、俺たちの活がかかってるんだから」

すらすらと吐きされる嘘。その元には、っすらとだが、祭りの夜特の浮かれた揚の残りが張り付いていた。

「……悠真は、いないよ」

私の喉の奥から絞りされた声は、自分でも驚くほどく、え切っていた。

「は? いないって、どういうことだよ。児科の病棟にでも預けたのか?」

「児童相談所のに、連れてかれたの」

「……あ?」

拓のきが完全に止まった。目を見き、抜けにを半きにしている。

「じ、児童相談所? はあ!? 何言ってんだよ志保! なんでそんなとこに悠真を渡すんだよ!」

「あなたがに来なかったから」

私は点滴の刺さった腕をシーツのに投げしたまま、の起伏を切排した声で続けた。

「私が運ばれたのは。あなたはかに来ると言った。病院からも何度も話した。でもあなたはなかった。付が変わっても、を過ぎても来なかった。

ヶの赤ん坊が、このるい救急で以泣き叫び続けていたの。病院の規則で乳児を般病棟に泊めることはできない。

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私が入院治療を受けるためには、児相の保護に頼るしかなかったのよ」

「だからって、児相なんて袈裟だろ!」

拓は突然、逆したように声を荒らげた。周囲のカーテンの向こうから、別の患者や護師の気配が張るのが伝わってくる。

「警察とか児相とか、そういう公の関汰にしたら所や会社にどうわれるか、しは考えろよ! ちょっと遅れただけじゃないか! が混んでたんだから抗力だろ!? 護師に頼んで朝まで見てもらえば済む話だったじゃないか!」

「抗力?」

私は乾いた笑いを漏らした。唇の端が裂け、鉄のがのに広がる。

「夜半まで連絡本寄こさず、酒と台の匂いをさせて現れることが、あなたの言う抗力なの?」

「っ……!」

拓は息を呑み、反射に自分の襟元をで覆い隠した。その仕そのものが、自らの罪を何よりも雄弁に物語っていた。

「と、とにかく! 今すぐ児相に話して取り消せ! 俺が迎えにくって言えば返してくれるだろ!」

「返してくれるわけないでしょう」

処置のカーテンが勢いよくけ放たれた。そこにっていたのは、当直の初老の男性医師だった。そのは、氷刃のように鋭く拓を射抜いていた。

「ご主ですね。私は当直医の松永です。夜の乳児保護措置は、保護者による育児放棄、すなわちネグレクトの疑いが極めて濃であると判断されたに執される法続きです。

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