"箱根の盲点" 第1話
箱根の盲点
12の京は、どこか落ち着かない空気に包まれている。
のイルミネーションが夜を彩り、々の取りがに慌ただしくなる季節。
樋司は、麹町の事務所でぬるくなった缶コーヒーを啜りながら、窓のを眺めていた。
事務所というほどパックなものではない。
雑居ビルの3階、8畳ほどの部に、古い製デスクとスチール本棚を押し込んだだけの空だ。
壁には何も飾っていない。
依頼が来たに余計な報を与えたくないという理由もあるが、単に面倒なだけだった。
話が鳴ったのは、午2をし回った頃だった。
「樋先でいらっしゃいますか? 宮原亮介と申します。産コンサルタントをしております」
落ち着いた男の声だった。
焦りはなく、丁寧すぎるほどの敬語がについた。
こういう話し方をするには2種類いる。
育ちの良いか、育ちの良さを演じているか。
宮原は簡潔に件を述べた。
最何者かに尾されている。
自宅周辺で審な両を複数回目撃した。
先週にはポストに差の封が届き、には「箱根の件、忘れていませんよ」とだけ印刷されたが入っていた。
「警察には相談されましたか?」
「ええ、ただ具体な脅迫文言がないということで、被害届は受理されませんでした」
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樋は缶コーヒーをデスクに置いた。
このの相談は珍しくない。
尾と脅迫の組みわせは、抵、か憎にきつく。
「来週、箱根に張がございまして、リゾート発の案件で現の関係者と打ちわせがあります。正直なところ1でくのがです。先に同をお願いできないかと」
ボディガードの依頼でしたら専の業者を紹介しますが――。
「いえ、そういうことではないんです」
宮原の声がしだけくなった。
「物理な危害を恐れているのではありません。尾している物が誰なのか、何が目なのか。箱根滞に尾者が現れたら、その正体を突き止めていただきたいのです」
翌、宮原は事務所を訪れた。
40代、紺のチェスターコートにグレーのマフラー。
髪はくえられ、鏡の奥の目は穏やかだった。
名刺には『宮原産コンサルティング 代表取締役』とあり、所は港区青。
樋はまず封の現物を確認した。
普通にレーザープリンターで印字された文。
封筒は販の封筒で、消印なし。
指紋を調べるはあるが、警察がかない以、民では限界がある。
「箱根の件というのは、今めているリゾート発のことだといます」
宮原は説した。
箱根湯本区の旧旅館用を再発し、国観客向けの級リゾートホテルを建設する計画。
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宮原はその案件のコンサルタントとして、用売買調を担当している。
「元には反対派もいらっしゃいましてね。古くからの旅館経営者の方々は資本による発をよくっていない。特に『湯本館』という老舗旅館のご主、戸田克彦さんが反対運のになっておられます。観協会の会もされている方です」
樋は帳にきつけた。
『戸田克彦 湯本館 観協会会 発反対派の物』
「戸田さんとの関係は?」
「直接お会いしたことは2度ほど。発計画の説会と、個別のご挨拶に伺ったです。穏やかな方ですが、発には確に反対のです」
宮原はスマートフォンを取りし、写真を見せた。
自宅マンションのに止まった黒いセダン、都内ナンバーのトヨタか。
「このを3回、別々のに見ています。3回目はらかに私の帰宅を待っていた。エンジンをかけたまま止まっていて、私がマンションに入るとりりました」
樋は写真を拡した。
ナンバーは読み取れる。
このの両はレンタカーであることがい。
調べればいい。
「宿泊先は『荘』という旅館です。曜から2泊3。旅館は先方が配してくれたもので、発予定のくです」
提示された報酬は、当、交通費、宿泊費込みで相の1.5倍だった。
「危険を伴う能性があるので、めにお支払いしたいとっています」
報酬がすぎる依頼には、抵、依頼が言わない事がある。
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