"箱根の盲点" 第7話
2133分、帰着。ルームサービス済み』
それともう1つ。
昨尋ねた湯本館の事務。
壁の古い写真、机のの薬ケースと老鏡、そして席をした3分、宮原が部を見回していたこと。
それらは記録としては残っているが、のある報としては理されていなかった。
その記録が再びを持つのは3週のことだった。
がけてもない1の午、事務所の話が鳴った。
若い女性の声だった。
「樋先でいらっしゃいますか? 突然の話で申し訳ございません。戸田真帆と申します」
戸田。
樋の識が瞬で箱根に戻った。
「父は12に箱根でくなりました。湯本館の主だった戸田克彦の娘です」
「じております。お悔やみ申しげます」
話の向こうで真帆がさく息を吸う音が聞こえた。
「先、父の因について調べていただけないでしょうか? 臓発作で自然ということになっていますが、私にはどうしても納得がいかないのです」
「なぜそういに?」
「父は確かに脈の薬をんでいましたが、主治医は軽度で命に関わるものではないとおっしゃっていたんです。それが突然臓発作で。しかもくなったのが、ちょうどリゾート発の話が詰めを迎えていた期で」
真帆の声がしくなった。
「父がくなってから、発計画が気ににんでいるんです。
広告
反対運のがいなくなったから」
樋は缶コーヒーをデスクに置いた。
12の箱根、宮原の依頼、過剰な報酬。
点と点がまだ線にはならない。
だが何かがこちらを向いて座っている覚があった。
「お話を聞かせてください」と樋は言った。
真帆は翌事務所を訪れた。
30代半、化粧のない顔に疲労のが見えた。
喪ではなかったが、黒いコートに黒いマフラーというち姿が、に伏しているのそれだった。
「父は63歳でした。確かに脈の持持病はありましたが、主治医の美希先は毎回の検診で定しているとおっしゃっていました。薬も予防なもので、篤な状態ではなかったんです」
樋は帳をきながら聞いた。
「診断にはなんと?」
「急性全。検はありましたが司法解剖はわれませんでした。傷がなく持病があり、63歳という齢。警察は事件性なしと判断しました。お父様がくなった、発計画がんでいるとおっしゃいましたが……」
真帆の表がくなった。
「父がくなって2週に、観協会の臨総会がありました。公認の会に選ばれたのは発に賛成派の方です。父が集めた署名も陳もなくなりました。先、県の発許がりたと聞いています」
「発のコンサルタントに宮原亮介という物がいますが、ごですか?」
広告
「名は聞いたことがあります。父が『京からコンサルタントが来た』と話していました。直接会ったことはありません」
樋は真帆の依頼を引き受けた。
報酬は最限でいいと言ったが、真帆は「正規の料をお支払いします」と譲らなかった。
真帆が帰った、樋はデスクに向かい、帳を最初から読み返した。
12の箱根、3の記録、宮原の言、、会った物。
全てが系列でき留められている。
まず宮原亮介の背景を調べた。
『宮原産コンサルティング』。
設は5。
代表取締役は宮原亮介。
主取引先に、箱根リゾート発の事業主体である『リゾート発株式会社』の名があった。
資本50億円のデベロッパーだ。
発計画の概を調べると、湯本の敷が発予定の核に含まれていた。
戸田が反対していたのは湯本館を潰されるからではなく、湯本館そのものが発対象だったからだ。
戸田が反対を続ける限り計画はまない。
戸田がいなくなれば計画はむ。
実際にんだ。
次に荘に話をかけた。
宮原が宿泊したのルームサービスの記録を確認したいと伝えた。
旅館側は個報を理由に渋ったが、樋が戸田のに関する調査であると説すると、担当者が確認してくれた。
「宮原様のお部からルームサービスのご注文があったのは215分です。
おにぎり2つと漬け物、蕎麦茶。
広告
おすすめ作品
-
完結第14話
「死産」と告げた院長と20年目の出生記録
20年前、出産した娘を「死産でした」と告げられた私・佐藤しず子。しかし私は、麻酔の中で確かに聞いた産声を一度も忘れられなかった。 真実を確かめるため、私は清英産婦人科医院の清掃員として20年間働き続け、誰にも気づかれず院内の秘密を探ってきた。そんなある夜、若い看護師から「まだ間に合います。あなたの娘さん生きています」と書かれた紙を渡される。 やがて地下の保管庫へ忍び込んだ私は、自分の出産記録の隣に「佐藤女児――転送」と記された手帳を発見する。 さらにそこには複数の新生児と金銭の記録まで残されていた。娘を奪ったのは誰なのか。そして病院は20年間、何を隠してきたのか。見下され続けた“掃除婦”は、集めた証拠を手に院長・安藤剛と対峙する――。真相|修羅場2.1万字5 407 -
完結第21話
日本一情の深い父の裏の顔
妹がサービスエリアで姿を消して5年。全国を巡り「日本一情の深い父親」と称賛される父から、私は古いワゴン車を譲り受けた。だが車内の清掃中、妹の指定席だったシートベルトが事故の衝撃で「4センチ」伸びきっているのを発見する。さらに奥底から見つかったのは、刃物で切断された妹の防犯ブザーだった。父に問いただすと、かつてない冷酷な声で「今すぐ車を処分しろ」と脅され――。私は父の狂気と真実を暴くため、ある決断を下す。ミステリー|裡の顔|真相|行方不明3.1万字5 75 -
完結第15話
全盲の義母が言い当てた味噌汁の色
「お味噌、白味噌に変えたでしょう?」。11年前の事故で全盲になったはずの義母・かず子が、漆塗りの椀を抱えて微笑んだ。亡き実母への後悔から、365日欠かさず介護と手料理を捧げてきた嫁の私。だが翌朝、ゴミ袋の底から現れたのは、手つかずのまま無残に捨てられた私の料理と、1万8千円の銀座高級寿司やフレンチのデリバリーレシート30枚だった。夫は「お前の味付けが悪い」と冷笑し取り合わない。孤立無援の中、弁護士の助言を得た私はある罠を仕掛ける。そして勝手口の前で義母が放った「ある一言」で、11年間の嘘が音を立てて崩れ去る――。嫁姑|真相2.3万字5 3039 -
完結第25話
底辺受付嬢を見下す役員たちの誤算
父の会社は、最も信頼していた人間の裏切りによって無惨に食い物にされた。巨額の負債を背負い、絶望の中で病に倒れた父。私はその冷酷な真相を暴くため、ハーバード大の博士号を隠し、ただの「受付嬢」として敵の中枢である星空グループに潜入した。 誰からも見下され、理不尽な侮辱に耐え忍ぶこと3年。息を潜めて集めた証拠が示したのは、あまりにも残酷な真実だった。父を破産に追い込み、私から全てを奪った黒幕の正体は、父が家族のように慕っていた古参役員だったのだ。 「黒幕は役員会の中にいる」――私を守るため、父が命懸けで残してくれた最期のメッセージを知った時、胸の奥の悲しみは絶対的な冷酷さを持つ復讐の炎へと変わった。私の素性を知る新社長のハルトや、父の旧友たちと共に、私は決して逃れられない完璧な包囲網を密かに築き上げていく。 そして迎えた運命の役員会。全てを掌握したと信じ、私の前で勝ち誇る黒幕。だが彼はまだ知らない。無力な受付嬢だと思っていた私が、彼を社会的死の淵へと突き落とす致命的な罠を仕掛けていたことを。仮面を脱ぎ捨てた時、強欲な悪魔を地獄の底へと引きずり下ろす、容赦なき反撃が幕を開ける――。因果応報|真相|修羅場3.8万字5 1809 -
完結第21話
母がナイフで砕いた自分の名前
母の七十歳の祝いで、私は家族に尽くし続けた母に自分の人生を取り戻してほしい一心から、ケーキのプレートに書かれた夫の姓を削り落とし、母の旧姓を書き直した。これで母は喜んでくれるはずだった。しかし母は青ざめ、「誰が戻りたいなんて言ったの」と私を睨みつけると、ナイフを掴んで自分の名前を何度も突き刺し粉々に叩き割った。家族全員から責め立てられた私は、母の部屋で底面を無残に削り取られた大量の人形を見つける。怒り|兄弟姉妹|真相|親子関係|修羅場3.1万字5 137 -
完結第20話
偽りの仕送りと緑の通帳
専業主婦の佐藤真美は、長年にわたり傲慢な義母・君代から「無収入の居候」と見下され続けてきた。夫の減給により進学を断念し、誇りを持って介護職に就いた二十歳の娘・奈々までも、義母は「高卒の無能な孫」と親戚の前で嘲笑する。さらに君代は「長男の嫁・恭子を見習い、毎月十五万円を仕送りしろ」と理不尽な要求を突きつけてきた。耐えかねた真美が恭子に相談すると、長男一家の仕送りに隠された信じがたい事実が判明する。義母の言う通り「見習う」ことを決意した真美は、夫の浩一を巻き込み、スマートフォンに収めたATMの振込画面の写真と、タンスの上の空の茶封筒を使ったある計画を仕掛ける。だが、疑念を深めた義母が「緑の銀行通帳」を差し出し、記帳を命じたことで事態は急転する――。嫁姑|真相3.0万字5 721 -
完結第30話
一万八千円の伝票
病を克服し、身なりを隠して自らのホテルへ宿泊客として訪れたオーナー・佐藤かず子。亡き夫と四十年にわたり心血を注いできた老舗ホテルは、かつての温もりを失い、強欲な支配人・中村の私欲に侵されていた。 きっかけは、わずか千八百円の粗末な昼定食に突きつけられた「一万八千円」の法外な伝票。中村たちは気の弱そうな高齢客を狙って組織的なぼったくりを繰り返し、さらにはホテルそのものを外資系ファンドへ売り飛ばそうと目論んでいた。 無力な老婆と侮られ、嘲笑と脅迫を受けるかず子。だが彼女の手には、亡き夫の誇りである一本の「蒔絵万年筆」と、深夜に掴んだ決定的な「裏帳簿」の証拠があった。誇りを泥靴で踏みにじられた元女将の、静かなる大反撃が今、幕を開ける――。職場逆転|真相4.6万字5 6317 -
完結第19話
三十二人目の卒業写真
教職を退いた夜、三十年前に送り出した最初の教え子たちが開いてくれた送別会で、私は三十一人分の感謝の手紙を受け取った。だが自宅で数え直すと、名簿にない三十二通目の白い封筒が混ざっていた。便箋には「全員が卒業しました。私一人を残して」とだけ記されていた。翌日、私が困惑して生徒たちに当時の記憶を尋ねると、誰もが存在を否定し、深夜の受話器の向こうから「あの子のこと、墓場まで隠し通すつもりですか」昭和|ミステリー|因果応報|真相2.8万字5 176 -
完結第25話
一度も抱かれなかった娘
出産翌日に姿を消した妻の代わりに、私は男手一つで娘を育ててきた。「母親は抱っこも拒んで逃げた」と言い聞かせ続けて五年。カルテの保管期限が切れ、産院に呼び出された私の前に置かれたのは、妻が失踪直前に提出した母子同室申請書と一枚のガーゼだった。申請書の最下段には私の拒否印が押されており、持ち帰った鞄からこぼれ落ちた布を拾い上げた五歳の娘は、ピンクの刺繍を指でなぞりながら私を見上げた。夫婦|真相|行方不明|親子関係3.8万字5 142 -
完結第19話
全員が揃えた同じ嘘
小学五年の秋、担任の女性教諭が突然退職し、学校は精神の病気だと説明した。だがその日の放課後、私を含めたクラス二十三人の児童は、それぞれの家庭で「先生は午後三時に帰りました」と全く同じ嘘を親に答えた。口裏を合わせた覚えはない。半年後、唯一何も言わずに転校していった無口な少女が、私の机の引き出しに一枚のメモを残した。そこには『先生は三時のとき、まだ地下室にいました』と記されていた。ミステリー|裡の顔|真相|行方不明2.8万字5 95