"用済みと言われた妻" 第2話
夜勤けに子どもの弁当を作ったもありました。夫の急な来客のために、疲れた体を引きずって台所にった夜もありました。私のしわも髪も、怠けてできたものではありません。
「それに比べて俺はまだまだ現役だ。会社でも部として頑張っている。まだを楽しむがある。おと緒に老いていくなんて、考えただけでもぞっとする」
夫の言葉は、刃物のように私のを切り裂いていきました。
しかし、議なことに涙はませんでした。
「おの稼ぎ。あれは俺が管理してきたから貯まったんだ。おみたいな世らずに任せていたら、とっくに使い果たしていただろう」
その言葉には、さすがに反論しそうになりました。
けれど私は唇を結び、ぐっとこらえました。
今は彼の本音をすべて聞くだと直したのです。
「老の面倒?冗談じゃない。俺はまだ60歳だ。これから第2のを楽しむんだ。おの介護なんてまっぴらごめんだね」
その、夫のスマートフォンが震えました。
画面に瞬映った名は「真由」。
見覚えのない女性の名でした。
夫は慌てたようにスマートフォンを裏返しましたが、その仕で私はすべてを悟りました。
夫はし咳払いをして、き直ったように言いました。
「実はな、俺にはしいのパートナーがいる。
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30歳の素敵な女性だ。彼女は俺を本当にしてくれている。おみたいに目当てじゃない。純粋なだ」
「目当て」
その言葉に、私はわず失笑してしまいました。
30以働き続け、全収入を計に入れてきた私が、目当てだというのでしょうか。
夫は私の反応に気づかないまま、を見るような顔で続けました。
「真由とは1に会った。彼女といると、俺は20歳も若返った気分になれる。これが本当のというものだ」
どうやら夫は、その真由という女性に完全にを奪われているようでした。
「だからおには悪いが、きれいさっぱり別れてもらいたい。もちろん慰謝料なんて払うつもりはない。これは性格の致による婚だからな」
性格の致。
25、何1つ文句を言わず尽くしてきた私に対して、今さらその言葉を使うのでしょうか。
夫はさらに続けました。
「財産分与も必ない。こののローンは俺の名義だし、預だって俺が管理してきた。おには何の権利もない」
そこまで聞いて、私はようやく理解しました。
夫は用周到に準備してきたのです。
私を無文で追いすために。
「ただ、俺も鬼じゃない。けとして1週の猶予をやる。そのに荷物をまとめて、実にでも帰ればいい」
私の実は、5に両親が界してから空きになっています。
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そんなことも忘れているのでしょうか。
夫はちがり、茶封筒から類を取りして私のに置きました。
婚届には、すでに夫の署名と印鑑が押されていました。
私の欄だけが空でした。
「これに判を押せばすべて終わりだ。お互いしいを歩もうじゃないか」
私は婚届をに取り、じっと眺めました。
はく、文字は械でした。
これが25の結末なのだとうと、議なくらいはえていきました。
「1つだけ確認させてください」
私は顔をげました。
「本当に、私との25は無価値だったのですか?」
夫は瞬だけ目を逸らしました。
けれどすぐにたい表に戻り、吐き捨てるように言いました。
「そんなものはとっくに消費期限切れだ。おは分役目を果たした。もう用済みだ」
用済み。
その言葉を聞いた瞬、私の決は固まりました。
涙もりも、もはや必ありませんでした。
「承いたしました。にはていきます」
夫は満そうに頷き、いつものように会社へかけていきました。
玄関のドアが閉まる音を聞きながら、私は静かに微笑みました。
夫はらないのです。
3から、私が密かに準備をめていたことを。
真由という女性のも、実はずっとから把握していたことを。
そして、このも預もも、彼がっているほど簡単には奪えないことを。
夫が社した、私はしばらくリビングのソファに座っていました。
窓から差し込む朝のが、テーブルのの婚届をく照らしていました。
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