"橋の下で見つけた孫" 第5話
現も、3分のパスポートも、航空券も全部あいつが持っていた」
里子の背筋をたいものがった。
「俺は美咲を抱いて、1、2と待ち続けた。最終搭乗のアナウンスが流れて、話をかけても源は切られていた。カウンターにって名を告げたら、ゆかりは搭乗者リストに載っていて、はもう陸しただった」
空港で待ち続ける剣太と美咲の姿が、里子の脳裏に浮かんだ。
「あの女は、2を捨てたのね」
剣太は頷いた。
「翌、どこへけばいいのかも分からず空港にいたら、らない番号から話があった。ゆかりだった」
彼は唇を噛みしめた。
「話の向こうで、あいつは笑ってた。『見たことか。母親じゃなくて私を信じた罰よ。あんたみたいな馬鹿、悔すればいい。2度と探さないで』って」
その瞬、剣太は再び泣き崩れた。
里子は2を力いっぱい抱きしめた。ゆかりへのりが、体の内側で炎のように燃えがった。
けれど、それ以に、違ったを信じ、全てを失った息子へのしみが胸を締めつけた。
里子はちがった。
「きましょう。お母さんのに」
剣太はためらった。
「母さん、俺にそんな資格はない。母さんを傷つけて、ひどいことを言ったんだ」
里子はその言葉を遮り、彼のを握った。
「あなたは私の息子よ。この世の何があっても、その事実は変わらない。
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さあ、剣太。緒に帰りましょう」
里子は美咲のを握り、剣太を連れてのバスターミナルへ向かった。
もう2度と、のには戻さない。
そうに誓いながら。
鎌倉へ向かうバスので、美咲は疲れ切ったように里子の膝へを預けた。
さなは、里子の指を固く握ったままさない。細くたい指先から、それでも必に里子へしがみつこうとする力が伝わってきた。
隣に座る剣太は、黙って窓のを見ていた。夜の灯が痩せた横顔を照らし、3にはなかった苦悩の皺を浮かびがらせる。
しばらくして、剣太はぽつりぽつりと話し始めた。
「最初の数が、番つらかったよ。分を証するものが何もなかった。免許証も保険証も、美咲の母子帳も、全部ゆかりが持ってった。だからアパートも借りられないし、まともな仕事も見つからなかった」
「どうやってきてきたの?」
里子は尋ねるのが怖かった。
剣太は窓から線をさずに答えた。
「事現で雇いの仕事を頼んだ。でも分証がないなら面倒はごめんだって断られた。最初の夜は、公園のベンチで寝た。がってきて、美咲を抱えてシャッターがりたの軒に逃げたんだ」
美咲はのでさくじろぎした。
「美咲は夜に『ママ』って泣いてた。俺は抱きしめることしかできなかった」
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里子は唇を噛んだ。
「どうして話してくれなかったの。1本話をくれたら、すぐに駆けつけたのに」
剣太は赤い目で里子を見た。
「したかったよ。公衆話ので、ゴミ箱から拾った10円玉を握って、ずっと震えてた。でも、あの俺が言った言葉がかられなかったんだ。『端で物乞いすることになっても、2度と頼らない』って。母さんに失望されるのが怖かった。息子失格だってわれるのが怖かったんだ」
里子は剣太の傷だらけのを取った。
「お母さんが、そんなことうはずないじゃない。あなたは私の息子よ。何があってもしてる」
剣太は俯き、肩を震わせた。
バスが鎌倉駅に着く頃、空はみ始めていた。
里子は2を連れてへ歩いた。まだのない通りに、焼きたてのパンのりが漂っていた。
「母さん、俺、本当にここに入っていいのかな」
自宅兼舗である「甘鈴」の古いので、剣太はち止まった。
里子は鍵をけ、を押した。
「ここはあなたのよ。いつだってそうよ」
のは3とほとんど変わっていなかった。使い込まれたのテーブル、壁の古い柱計、そして正の遺。
美咲は清潔で温かい部を見回し、さな声で言った。
「パパ、今夜はここで寝られるの?」
里子は美咲を抱きげた。
「今夜だけじゃないわ。これからはずっと、ここがあなたのおよ」
最初にしたのは、呂を沸かすことだった。
里子は美咲の汚れたを脱がせ、痩せた腕やの痣を見て胸を締めつけられた。
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