"雨の美容室ローズ" 第6話
そして、かつてローズがあった所。
そこにはに渡った、別のが入っていましたが、それもくは続かず、ここ数は空きのまま放っておかれていました。
古びた建物はにさらされて傷み、もはや貸すこともむこともできないり様になっていました。
ついに、その建物が取り壊されることになりました。
4のあるれたでした。
が運び込まれ、作業員たちが古い建物をしずつ解体していきます。い、町の片隅にひっそりとっていた赤い庇のは、こうしてその役目を終えようとしていました。
作業はいのほか取りました。
古い建物というのは、図面通りにはいかないものです。や壁のから、わぬものがてくることも珍しくありません。
そのも、1の作業員が2階の板を1枚ずつ剥がしていたのことでした。
「ん、なんだこれは」
板と梁の隙に、何かが落ち込んでいました。
作業員がを伸ばして引っ張りしてみると、それは分く埃をかぶった1冊の古い帳面でした。
表には、すっかりあせた字で「予約帳」とかれています。
ページをめくると、几帳面なきの文字で、客の名と来の付やがびっしりとき込まれていました。
付を見ると、10。
あの2003のものでした。
どうやらその帳面は、を畳むの片付けのどさくさで棚の裏からへ滑り落ち、そのまま10、誰の目にも触れず眠り続けていたものらしいのです。
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そして、その帳面のから、はらりと1枚の写真がこぼれ落ちました。
作業員が拾いげると、それは古いインスタントカメラの写真でした。
いにあったせいで縁は黄ばみ、表面には染みが浮いていましたが、映っているものはまだはっきりと見て取れました。
映っていたのは1の男でした。
痩せて背のい、50歳の男。どこか疲れたような青い顔をしています。そしてその男は、写真に収まることに慣れていないのか、元だけでぎこちなく笑っていました。
写真の裏を返すと、そこには女らしい柔らかな跡で、こうかれていました。
「田さん 福島」
ただ、それだけでした。
作業員は、その予約帳と写真を現責任者に渡しました。
責任者は最初、ただの古いごみだろうといました。けれど、ふとこの所が昔、方事件のあった美容だったことをいしたのです。
「これは警察に届けた方がいいかもしれないな」
そうして、その帳面と写真は元の警察署に届けられました。
らせは巡り巡って、美佐さんのもとにも届きました。
美佐さんは、この36歳になっていました。
あのから10。母を探し続けた々は、いつしかの奥にしまい込んだい傷のようになっていました。表向きは普通に働き、普通に暮らしている。けれど6が来るたびに、胸の奥がしくしくと痛む。
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そんな10でした。
警察から「お母さんのの解体現で古い予約帳と写真が見つかった」と連絡を受けた、美佐さんの臓はどきりとねました。
「写真……どんな写真ですか」
美佐さんは取るものも取りあえず、警察署へ向かいました。
署ので、美佐さんはガラスのケースに入れられた古い写真と対面しました。
黄ばんで染みの浮いた1枚のインスタント写真。
そこに映る、痩せた青い顔の男。
美佐さんには、その顔にまったく見覚えがありませんでした。
「この、りません。母のりいでしょうか」
写真の裏の「田さん 福島」という文字。
それは紛れもなく、母の跡でした。
母がこの男のためにわざわざ写真を残したということ。それは、この男があの最の客だったことをしているのかもしれません。
美佐さんは、ふとあるのことをいしました。
あの事件の、母を懸命に探してくれた無な刑事、さんです。
美佐さんはすがるようないで、刑事の所を尋ねました。
10ものことです。もう異してしまったか、退職してしまったかもしれません。けれど調べてみると、刑事はまだ県内に残っていました。を取り、定もでしたが、今も現にいところで輩の指導などに当たっているとのことでした。
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