"席のない結婚式" 第3話
私は黙って聞いていました。
「失礼ですけど、方の方とは話がわないんですよ」
その言葉を聞いても、私はただ静かにっていました。
なぜなら、その瞬にはもう何かが終わっていたからです。
麗華の言葉が終わると、健太郎がさくうなずきました。
その姿を見た瞬、私は胸の奥がたくなりました。
息子は否定しませんでした。
つまり同じ考えだったのです。
「正直に言うよ」
健太郎がもう度をきました。
「父さんと母さんには謝してる」
私は黙って聞きました。
「学もしてもらったし、居の資も援助してもらった」
健太郎は続けます。
「でも、それとこれとは別なんだ」
夫が尋ねました。
「別とは?」
健太郎は迷いなく答えました。
「ステータスだよ」
私は静かに息を吸いました。
「麗華の父さんの会社に入ることになってる。将来は役員になれるかもしれない」
健太郎は言いました。
「そのためには柄も事なんだ」
私は目を閉じました。
幼い頃の健太郎が浮かびました。
をして泣いていた夜。
運会で転んで泣いていた。
受験にそうな顔をしていた夜。
学格のに抱きしめた瞬。
全部が昨のことのようでした。
あの子は優しい子だった。
そう信じていました。
けれど今、目のにいる息子は違いました。
「つまり私たちは邪魔なのね」
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私が静かに言うと、健太郎は目をそらしました。
「そういう言い方は……」
言葉を濁します。
しかし否定しません。
それが答えでした。
私ので何かが静かに終わりました。
りではありません。
絶望でもありません。
ただ、つの代が終わったのです。
そこへ麗華の父親が歩いてきました。
級なスーツをにつけた威圧のある男性でした。
彼は私たちを見るとで笑いました。
「まだいらっしゃったんですか」
私は何も言いません。
「今はお引き取りください」
彼は当然のように続けました。
「この式の費用は私が負担しておりますので」
夫が静かに尋ねました。
「費用を全額ですか」
「ええ」
男は胸を張りました。
「この規模の式です。方の活者には無理でしょう」
周囲のゲストたちがしたようにうなずきます。
「総額は千百万円です」
会がざわつきました。
男は得げでした。
「私のようなでなければせない額ですよ」
麗華も誇らしげな顔をしています。
健太郎も同じでした。
私はその様子を見ながらいました。
息子は完全に勘違いしている。
おのきさとの価値を。
位と格を。
全て混同してしまっている。
私は夫を見ました。
夫も私を見ていました。
言葉はありません。
けれど気持ちは同じでした。
もう分だったのです。
私は夫の名を呼びました。
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「あなた」
夫はさくうなずきました。
「帰ろうか」
私は微笑みました。
「ええ」
私たちは誰にも反論しませんでした。
誰も責めませんでした。
ただ静かに背を向けました。
その姿を見て、健太郎はらかに堵していました。
麗華もほっとした顔をしています。
麗華の両親も満そうでした。
厄介なが消える。
そうったのでしょう。
けれど私たちの表は穏やかなままでした。
りも憎しみもありません。
ただ静かな決だけがありました。
ロビーへると、私たちはソファに腰をろしました。
理のがっています。
シャンデリアのが静かにり注いでいました。
私は夫を見ました。
「あなた」
夫は胸ポケットからスマートフォンを取りしました。
そしてつの番号へ話をかけました。
「私だ」
夫の声は穏やかでした。
「ああ。例の件だ」
い会話でした。
しかし、その声にはみがありました。
話を切ると、今度は私がバッグからスマートフォンを取りしました。
「田さん、私です」
私は秘へ連絡しました。
「はい。お願いします」
それだけ伝えて話を切りました。
夫が微笑みます。
私も微笑みました。
「これで良かったんですよね」
私が尋ねると、夫は静かに答えました。
「ああ」
そして続けました。
「あの子には学ばなければならないことがある」
私たちはロビーで静かにお茶をみました。
窓のではの差しが庭園を照らしています。
会のでは、まだ誰も何もらないまま披宴の準備がんでいました。
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