"128万円の断絶通知" 第2話
翌朝、まだ暗いうちに目が覚めた。支度はすでに終わっている。鏡ので髪をえ、くを差した。
玄関で靴を履くとき、ふと卓の封筒を見た。
同じはずのさが、しだけ軽くじた。
をると、朝の空気はひんやりとしていた。くで聞配達のバイクの音が聞こえる。
私はゆっくり歩きした。
で病院へ向かうは、っていたより静かだった。
このの私は、まだらなかった。
この封筒のの数字が、私のこれからをきく変えることになるなんて。
病院の朝はかった。
受付のにつと、まだはなく、い壁と消毒液の匂いだけが静かに漂っていた。どこか現実のい空だった。
番号札を受け取り、私は待の子に腰をろした。膝のには、茶い封筒を置いている。
を見なくても、数字はに浮かんでいた。
万円。万円。万円。万円。
半で百万円。
名を呼ばれるまでのが妙にくじた。
私は線を落としたまま、指先で封筒の端をなぞった。
「杉沢さん?」
声をかけられ、顔をげると、栗林恵がっていた。
昔、同じ職で働いていた女性だ。今は税理士事務所に勤めていると聞いている。
昨夜、私は通帳の写真を送って相談していた。
「来てくれたの」
私が言うと、栗林は静かにうなずいた。
「気になって。
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数字がし自然だったから」
栗林は隣に座り、封筒ののコピーを取りした。
額の欄を指先でなぞりながら、さく息をつく。
「帯が揃いすぎてる。全部、平の昼。同じATM」
私は黙って聞いていた。
「あなた、そのにしてた?」
「してないわ。最はほとんどにいたもの」
「カードは?」
「にあるはず」
栗林は度だけ私の顔を見た。
「……持ちされてる能性がある」
その言葉を聞いた瞬、胸の奥がわずかに揺れた。
予していたはずだった。
けれど、誰かのから言葉として聞かされると、急に現実のみが増す。
「確認する?」
栗林は静かに尋ねた。
私はすぐには答えなかった。
確認するということは、曖昧にしていたものを、はっきりさせるということだ。
誤解かもしれない。
族だから。
そうえば、まだ引き返せる気もした。
その、スマートフォンが震えた。
美咲からだった。
《入院費、自分で払ってね。もう限界だから》
い文章だった。
説も言い訳もない。ただ、それだけだった。
私は画面を見つめたままけなくなった。
「限界」という言葉だけが、のに残った。
どちらの限界なのか、聞かなくてもわかる気がした。
私が頼ること。
私が来ること。
それ自体が負担なのだと、言われている気がした。
「杉沢さん」
栗林の声がしだけくなった。
「これは族の問題じゃない。
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おの問題は、ちゃんと線を引かないといけない」
私はゆっくり息を吐いた。
のことをいしていた。
美咲の通帳を預かり、料を管理し、結婚にもをした。
あのの私は、本気で娘を守っているつもりだった。
けれど、結果として奪ったのは、娘の自由だったのかもしれない。
今度は逆のだ。
「確認するわ」
そう言うと、自分の声はったより落ち着いていた。
栗林はうなずき、帳をいた。
「に照会すれば利用履歴がる。によっては防犯カメラも確認できる」
「そこまでは……」
私は言葉を止めた。
栗林は静かに言った。
「事にしたいんじゃない。事実をるだけ」
その言葉は、議と胸にまっすぐ落ちた。
やがて名が呼ばれ、私はちがった。
い廊を歩きながら、度だけち止まる。
封筒をき、のを見る。
万円。万円。万円。万円。
数字は変わらない。
変わらない現実だけが、静かにそこにあった。
説の扉ので、私はふと考えた。
ここでやめることもできる。
何もらなかったことにして、また同じように関わり続けることもできる。
孫のためだとえば、耐えられないことではないのかもしれない。
けれど、その先にあるのは、きっと同じことの繰り返しだ。
扉の向こうから、護師の声がした。
私は目を閉じ、く息を吐いた。
そして静かに扉を押した。
その瞬、もう戻りはできないと、はっきりわかった。
術は、っていたよりく終わった。
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